異世界転生録if~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
110 / 186

第110話 煩悶

しおりを挟む
真祖が去って行った後、俺は困惑して立ち尽くしていた。



『……っ!?そうだ、みんなは!?』



”レーダー”で見てみると、既に戦闘を終えて遠くで集合していた。



『…とりあえず合流するか。』



皆に今の俺の顔は見せられない。

何とか気持ちを切り替え、普段通りを装って”転移”した。



「おうダグラス!!そっちはどうだった?」



「悪い…逃げられた…」



「そうか…こっちは三人とも無傷で倒したぞ!!」



「少し相手の様子がおかしかったわ。」



「うん。俺の敵はよくわからない言葉を発しながら泣いていたしな。」



「あれは滑稽だったな!!もしかしてカルファに怯えてたんじゃないか!!ガハハハッ!!!」



「師匠!!!!」



「な、なんだよダグラス。そんな怖い顔して…」



「え…?」



先程の真祖の悲しそうな顔が脳裏によぎり、怒りを出してしまったみたいだ。

混乱していくつもの感情が交錯している。



「なんでもない…怒鳴ってすまなかった…」



「いや、いいんだけどよ…ダグラス大丈夫か?」



「さっきから何か思いつめたような顔をしてるけど…真祖に逃げられたことをそんなに気負わなくていいわ。」



「ああ…ありがとう。」



自分でも感情がコントロールできなくなってしまった。



「…帰ろうか。」



「ええ…」



屋敷に”領域転移”し、俺はそのまま装備を脱いで自室のベッドに飛び込んだ。



『魔族は悪じゃないのか…?人族と同じように暮らしているやつもいるのか…?分からない…!!!何も分からない…!!!』



今までに感じたことが無いほどどす黒い感情に飲まれていた。

ステータスを”鑑定”したが、状態異常などはなかった。



『どうすれば落ち着くんだ…!!!!!!』



ふと、一番嫌なことに気が付いてしまった。

そして一気に血の気が引いた。



『…今日倒したヴァンパイアの中で過去に悪事をした報告があったか…?いや、ない!!!!』



俺は今日、罪のない者を何千人も殺してしまったのだ。

何も悪いことをしていないのに、ただ”存在する”というだけで彼らの日常を壊してしまった。



『どうして…!!!どうしてもっと早く気づかなかったんだ…!!!』



世の中の常識を何も疑わずに飲み込んでしまった結果だ。

原因がわかってもこの感情が収まることはなく、ただただ悶えた。



「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」



結界を展開し、その中で暴れまわった。

しかし、どんなに結界に攻撃しても気持ちが静まらない。



ステータスを開いて”冷静S”を習得すると、何とか落ち着くことができた。



『…まずは魔物、魔族について知る必要があるな。それに俺の魔人化か…』



考察してみると、魔人化は人族が習得できるスキルと魔物スキルとの数量比で進行していることが分かった。

試しに一番上にあった”掃除S”と”調理S”を習得してみると、人族:魔物=54:46になっていた。



『魔人化はひとまず、今までに溜まったSPを大量に消費してできるだけ人族に近づこう…』



それから”精霊魔法S”や”斧S”といった戦闘系から”洗濯S”や”土木工事S”など、生活に関係するスキルなどを合計30個習得した。



これによって人族のパーセンテージは72まで上昇した。



『ひとまずはこれでいいか…』



次は魔物、魔族の生活実態調査だ。

30個の中には”千里眼S”や”ホログラム化S”、”ピン立てS”など、遠くから正確に観察できるスキルを習得した。



『とりあえず真祖の位置に”ピン立て”して”ホログラム化”で映し出そう。』



彼は既に新たな古城に着いており、眷属を生成していた。



『眷属を作るには人間とか死体とか媒介があった方が簡単なのに…全て魔力で生み出しているのか…』



俺は”神聖魔法”で倒したヴァンパイアたちは無理やり眷属にされた元人族だと勝手に勘違いし、解放していると思いながら殺していた。



『俺は殺人鬼…いや、大量殺人鬼だ…』



倒した彼らの経験値は既に吸収され、中にあった魔石も”魔石吸収”してしまった。

俺はたくさんの屍の上に立っているということを自然と悟った。



『何か…何でもいい…償いを…!!!!』



俺の心はボロボロだ。

何を信じていいのか分からず、挙句の果てには自分すらも信じられなくなっていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...