119 / 186
第119話 グレイ=ブラッド
しおりを挟む
正直、罪のない真祖の眷属たちを誤解して殲滅したときから罪悪感を感じ続けている。
そして、後ろめたく感じているため協力を仰ぎに行くのが怖い。
『…ええい、ままよ!!』
俺は覚悟を決め、真祖の住む城の前に”転移”した。
すると、転移した目の前には何とも言えない光景が広がっていた。
「…真祖、何をしてるんだ?」
「見ての通り、農作業でございます。」
真祖も眷属も皆、農作業の服を着て畑を耕していたのだ。
もしかして俺がヴァンパイアたちを倒してしまったせいだろうか。
「…すまないことをした。」
俺は深々と頭を下げて謝罪した。
謝罪程度で許されるとは思っていないので、これからできるだけ手伝いをして償っていきたい。
「ど、どうか頭を上げてください!!!貴方様が頭を下げるなどあってはならないことです…!!」
真祖はまだ俺のことを魔王の器だと認識しているようで、ずっと畏まっている。
ただ”鑑定&略奪”スキルで魔王と同じ領域に達しただけだというのに。
「何か償いをさせてくれないか…?」
「そんな…貴方様に償わせるなど…」
「どうか償わせてくれ。そうしたいんだ。」
「貴方様がそうお望みなら…では、私めのことを名前で呼んでいただけないでしょうか…?」
「分かった。えっと…」
「はっ失礼しました…グレイ=ブラッドでございます。」
「じゃあグレイ、すまなかった。」
俺はもう一度深く頭を下げて謝罪した。
「い、いえ!!それより、何か大事な用があってこちらにいらしたのでは?」
「そうだった。グレイは魔王の噂を知っているか?」
「はい。眷属の蝙蝠たちから聞いております。」
「単刀直入に聞く。グレイは過激派か?穏健派か?」
「私めはどちらかというと穏健派でございます。」
俺はその事実を知り、少しほっとした。
もし過激派だったならば、こんなに話した仲なのに敵対する羽目になっていた。
「して、穏健派の理由は?」
「はい。私めはこれと言って争いを求めておりません。ヴァンパイア特有の吸血衝動には駆られますが、魔物や動物の血でも十分に我慢できますので…」
「そうか…それで、魔王の目星はついているのか?」
「…?私めの目の前にいらっしゃるのが次期魔王候補者ですが…?」
「それは…俺を指して言っているのか?」
「し、失礼しました!!何か癇に障ったでしょうか…?」
「いや、そうじゃない。俺が魔王候補者だということか?」
「はい。」
一体どういうことだ。
先程述べた通り、俺は”鑑定&略奪”で魔物スキルを習得した結果魔人化が進んでいるだけだ。
ただ俺の戦闘スタイルが魔王の特性である魔物スキルの行使とたまたま被っただけで、魔王因子は持たないはずだ。
『…っ!?まさか…』
嫌な予感がしたので恐る恐る自分自身を”鑑定”してみた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
名前 ダグラス=アイザック 種族 人族 性別 男 Lv.341
称号
異世界転生者 …………… アンデッドの天敵
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺のステータスの称号欄に”魔王”の文字はなかった。
一旦胸をなでおろすことができた。
「なぁグレイ、今自分を”鑑定”してみたが魔王の文字は見当たらなかったぞ。」
「えっ!?そうですか…いやしかし、魔王様と同じ能力を持っていることには変わりありません!!」
「それは…そうだが。」
「私めは既に貴方様にお仕えすると心に決めております!!万が一本当の魔王と対立することになっても、私は貴方様にお仕え申し上げます!!」
「そうか…それはありがとう。」
「もったいないお言葉でございます…」
グレイのことを以前は敵視していたが、今となっては忠実な配下だ。
「そうだ、せっかくだからグレイのことを教えてくれ。」
「仰せの通りに。」
グレイに一瞬、辛そうな表情が浮かんだ気がする。
「物心ついたのは古の時代の戦争が終結した後でした。両親は戦争で命を落としたようで、気が付けば私めの周りには母が雇った世話係しかおりませんでした。」
グレイの目に悲しみが見え隠れしている。
「そして私めはすくすくと成長していき、成人したころ世話係と死別しました。私めが眷属を作ったのはこの時が初めてでした。…ただ単純に話し相手が欲しかったのです。」
少し笑った気がした。
どうやらその日々は楽しいものだったようだ。
「それから何度か他種族に襲われることがありましたが、眷属を作って一緒に暮らして…そして今に至ります。」
「そうか…色々苦労してきたんだな。」
「ありがとう…ございます…私めはその言葉を聞けただけで満足です…!!」
グレイはただヴァンパイアの真祖に生まれただけで中身は人族と何ら変わらないと、改めて実感した。
そして、後ろめたく感じているため協力を仰ぎに行くのが怖い。
『…ええい、ままよ!!』
俺は覚悟を決め、真祖の住む城の前に”転移”した。
すると、転移した目の前には何とも言えない光景が広がっていた。
「…真祖、何をしてるんだ?」
「見ての通り、農作業でございます。」
真祖も眷属も皆、農作業の服を着て畑を耕していたのだ。
もしかして俺がヴァンパイアたちを倒してしまったせいだろうか。
「…すまないことをした。」
俺は深々と頭を下げて謝罪した。
謝罪程度で許されるとは思っていないので、これからできるだけ手伝いをして償っていきたい。
「ど、どうか頭を上げてください!!!貴方様が頭を下げるなどあってはならないことです…!!」
真祖はまだ俺のことを魔王の器だと認識しているようで、ずっと畏まっている。
ただ”鑑定&略奪”スキルで魔王と同じ領域に達しただけだというのに。
「何か償いをさせてくれないか…?」
「そんな…貴方様に償わせるなど…」
「どうか償わせてくれ。そうしたいんだ。」
「貴方様がそうお望みなら…では、私めのことを名前で呼んでいただけないでしょうか…?」
「分かった。えっと…」
「はっ失礼しました…グレイ=ブラッドでございます。」
「じゃあグレイ、すまなかった。」
俺はもう一度深く頭を下げて謝罪した。
「い、いえ!!それより、何か大事な用があってこちらにいらしたのでは?」
「そうだった。グレイは魔王の噂を知っているか?」
「はい。眷属の蝙蝠たちから聞いております。」
「単刀直入に聞く。グレイは過激派か?穏健派か?」
「私めはどちらかというと穏健派でございます。」
俺はその事実を知り、少しほっとした。
もし過激派だったならば、こんなに話した仲なのに敵対する羽目になっていた。
「して、穏健派の理由は?」
「はい。私めはこれと言って争いを求めておりません。ヴァンパイア特有の吸血衝動には駆られますが、魔物や動物の血でも十分に我慢できますので…」
「そうか…それで、魔王の目星はついているのか?」
「…?私めの目の前にいらっしゃるのが次期魔王候補者ですが…?」
「それは…俺を指して言っているのか?」
「し、失礼しました!!何か癇に障ったでしょうか…?」
「いや、そうじゃない。俺が魔王候補者だということか?」
「はい。」
一体どういうことだ。
先程述べた通り、俺は”鑑定&略奪”で魔物スキルを習得した結果魔人化が進んでいるだけだ。
ただ俺の戦闘スタイルが魔王の特性である魔物スキルの行使とたまたま被っただけで、魔王因子は持たないはずだ。
『…っ!?まさか…』
嫌な予感がしたので恐る恐る自分自身を”鑑定”してみた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
名前 ダグラス=アイザック 種族 人族 性別 男 Lv.341
称号
異世界転生者 …………… アンデッドの天敵
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺のステータスの称号欄に”魔王”の文字はなかった。
一旦胸をなでおろすことができた。
「なぁグレイ、今自分を”鑑定”してみたが魔王の文字は見当たらなかったぞ。」
「えっ!?そうですか…いやしかし、魔王様と同じ能力を持っていることには変わりありません!!」
「それは…そうだが。」
「私めは既に貴方様にお仕えすると心に決めております!!万が一本当の魔王と対立することになっても、私は貴方様にお仕え申し上げます!!」
「そうか…それはありがとう。」
「もったいないお言葉でございます…」
グレイのことを以前は敵視していたが、今となっては忠実な配下だ。
「そうだ、せっかくだからグレイのことを教えてくれ。」
「仰せの通りに。」
グレイに一瞬、辛そうな表情が浮かんだ気がする。
「物心ついたのは古の時代の戦争が終結した後でした。両親は戦争で命を落としたようで、気が付けば私めの周りには母が雇った世話係しかおりませんでした。」
グレイの目に悲しみが見え隠れしている。
「そして私めはすくすくと成長していき、成人したころ世話係と死別しました。私めが眷属を作ったのはこの時が初めてでした。…ただ単純に話し相手が欲しかったのです。」
少し笑った気がした。
どうやらその日々は楽しいものだったようだ。
「それから何度か他種族に襲われることがありましたが、眷属を作って一緒に暮らして…そして今に至ります。」
「そうか…色々苦労してきたんだな。」
「ありがとう…ございます…私めはその言葉を聞けただけで満足です…!!」
グレイはただヴァンパイアの真祖に生まれただけで中身は人族と何ら変わらないと、改めて実感した。
0
あなたにおすすめの小説
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -
花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。
魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。
十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。
俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。
モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる