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第156話 様子見
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「改めて、おいらはチェイス。これからよろしくお願いします!」
「ああ。」
「それで、どうやってコルムを殺すんですか…?」
「まずは人質にされてる魔狼族を保護して…それからコルムと俺とを結界を囲って一対一かな。」
「確かにそれなら被害も少ないですし確実ですね。」
「…そうか。」
グレイから聞いた魔狼族の特徴が頭から離れず、未だチェイスたちが何かを企てているのではないかと不安に感じる。
…できれば策略も何もなかったらいいのだが。
「チェイスたちは少しここで待っていてくれ。」
「わかりました。」
俺は一度第三者の意見を聞くべく、玉座に戻った。
「グレイ、影から出てきていいぞ。」
「はっ!」
「魔狼族との会話は頭に入っているな?」
「はい。」
「単刀直入に聞く。罠だと思うか?」
「いえ。体温の変化、呼吸の乱れ、視線の動き、どれを見ても正常でした。おそらく事実だと思われます。」
「演技だった可能性は低いか?」
「はい。しかし、ゼロとは言い切れません。申し訳ありません。」
「いや、良い。参考になった。」
吸血鬼族曰く、人間の血の味は体調だけでなく感情にも関係しているらしい。
美味しい血を判別するために日頃から人間観察を行っているため、洞察力が高いのだ。
「さて…グレイ、俺一人で突入しても大丈夫だと思うか?」
「恐れながら、以前説明しました通り魔狼族は油断なりません。ステータスが勝っていても負けると言う事例が相次いでいますので…」
「そうか…じゃあグレイはどういった構成がいいと思う?」
「そうですね…もし罠だった場合に備え、出来ることならアンデッド軍総員が欲しいところです。」
「なっ…!!」
いくらなんでもそれは過剰戦力じゃないか?
せいぜい俺と吸血鬼十人がいれば大丈夫だと踏んでいるのだが…
しかしグレイの顔には一切余裕の表情はなく、むしろ焦りや不安の色が見える。
「…そこまで危険視しているのか?」
「はい。…私めは以前吸血鬼を統括する身でした。何もが順風満帆に進み、生活に潤いが出てきた頃…魔狼族の襲撃を受けました。」
「っ…!!まさか資源が豊かになるのを狙って襲われたというのか?」
「…敵の魔狼族本人がそう言っておりました。」
ヴァルハラ帝国もちょうど人間との交流が生まれ、豊かになり始めた時期だ。
…まさか本当に罠なのか?
「ダグラス様、彼らと契約を結ぶのは如何でしょうか?そうすれば直接的な反抗はできなくなります。」
「…だがこちらも奴隷契約を結んでしまったらコルムと同じだ。」
「いえ、契約というのは名付けのことです。」
「…名付けにそんな効果があったのか?」
「はい。」
てっきり名付けとは個体ごとの判別を可能とし、能力を強化する物だと思っていた。
「そうだな…名付けはしておこうか。…でもやっぱりアンデッド軍を?」
アンデッド軍が外に出ると、ヴァルハラ帝国の警備が甘くなってしまう。
もし俺の結界が破られたら民たちは蹂躙されてしまう。
「ではダグラス様と吸血鬼軍でどうでしょうか?名付けの効果で大分戦力が上がっていますし…」
「そうしよう。…だが流石に守りながら戦うのは難しいぞ?」
「安心してください。危なくなったらすぐに”影移動”を行使してダグラス様の元に逃げますので。」
「わかった。…絶対に誰も死なせるな?」
「はっ!」
話がまとまったところで、俺は結界外の魔狼族達の元へ”転移”した。
「チェイス、他の魔狼族達にヴァルハラ帝国移住を少しでも早く知らせたい。そのためにお前らに名付けをしてもいいか?」
「なっ、名付けをして頂けるんですか?」
「ああ。ヴァルハラ帝国の民は全員名付けしてる。」
「すごいですね…わかりました!兄者達も良いですよね?」
「ああ!これで強くなってコルムに仕返しできるぜ!!」
これは名付けの効果を知らないのか…?
はたまた純粋に喜んでいるのか…?
俺は疑心暗鬼になってしまった。
とりあえずチェイス→チェイスのように、全員を同じ名前で名付けをし直し、俺の支配下に加えた。
「おぉ…!コルムに名付けされた時より力が強く…!!」
「コルムより俺の魔力量の方が多かったんだろう。」
「本当に力が溢れてくる…!!これならおいらたちだけでコルムを倒せそうだ…!!」
「流石にそれは危険だから俺に任せておけ。」
「分かりました!!おいら達は捕まってる魔狼族の保護ですよね?」
「ああ。よろしく頼むぞ。」
「お任せください!!」
チェイス達が素なのか演技なのか、やはりわからない。
魔狼族の集落に行ったら分かるか。
「出発は明朝だ。お前らは一度集落に戻って変化がないか見てきてくれ。」
「そうですね…わかりました!」
「気をつけてな。」
「はい!」
チェイス達と別れ、俺は玉座に戻った。
「さて…チェイス達を観察するか。」
これはグレイの提案で、裏切るかどうかを見定めるための作戦だ。
もしチェイス達が他の種族や魔狼族に接触したら黒、偵察だけしたら白だ。
『さて…どう出るか。』
「ああ。」
「それで、どうやってコルムを殺すんですか…?」
「まずは人質にされてる魔狼族を保護して…それからコルムと俺とを結界を囲って一対一かな。」
「確かにそれなら被害も少ないですし確実ですね。」
「…そうか。」
グレイから聞いた魔狼族の特徴が頭から離れず、未だチェイスたちが何かを企てているのではないかと不安に感じる。
…できれば策略も何もなかったらいいのだが。
「チェイスたちは少しここで待っていてくれ。」
「わかりました。」
俺は一度第三者の意見を聞くべく、玉座に戻った。
「グレイ、影から出てきていいぞ。」
「はっ!」
「魔狼族との会話は頭に入っているな?」
「はい。」
「単刀直入に聞く。罠だと思うか?」
「いえ。体温の変化、呼吸の乱れ、視線の動き、どれを見ても正常でした。おそらく事実だと思われます。」
「演技だった可能性は低いか?」
「はい。しかし、ゼロとは言い切れません。申し訳ありません。」
「いや、良い。参考になった。」
吸血鬼族曰く、人間の血の味は体調だけでなく感情にも関係しているらしい。
美味しい血を判別するために日頃から人間観察を行っているため、洞察力が高いのだ。
「さて…グレイ、俺一人で突入しても大丈夫だと思うか?」
「恐れながら、以前説明しました通り魔狼族は油断なりません。ステータスが勝っていても負けると言う事例が相次いでいますので…」
「そうか…じゃあグレイはどういった構成がいいと思う?」
「そうですね…もし罠だった場合に備え、出来ることならアンデッド軍総員が欲しいところです。」
「なっ…!!」
いくらなんでもそれは過剰戦力じゃないか?
せいぜい俺と吸血鬼十人がいれば大丈夫だと踏んでいるのだが…
しかしグレイの顔には一切余裕の表情はなく、むしろ焦りや不安の色が見える。
「…そこまで危険視しているのか?」
「はい。…私めは以前吸血鬼を統括する身でした。何もが順風満帆に進み、生活に潤いが出てきた頃…魔狼族の襲撃を受けました。」
「っ…!!まさか資源が豊かになるのを狙って襲われたというのか?」
「…敵の魔狼族本人がそう言っておりました。」
ヴァルハラ帝国もちょうど人間との交流が生まれ、豊かになり始めた時期だ。
…まさか本当に罠なのか?
「ダグラス様、彼らと契約を結ぶのは如何でしょうか?そうすれば直接的な反抗はできなくなります。」
「…だがこちらも奴隷契約を結んでしまったらコルムと同じだ。」
「いえ、契約というのは名付けのことです。」
「…名付けにそんな効果があったのか?」
「はい。」
てっきり名付けとは個体ごとの判別を可能とし、能力を強化する物だと思っていた。
「そうだな…名付けはしておこうか。…でもやっぱりアンデッド軍を?」
アンデッド軍が外に出ると、ヴァルハラ帝国の警備が甘くなってしまう。
もし俺の結界が破られたら民たちは蹂躙されてしまう。
「ではダグラス様と吸血鬼軍でどうでしょうか?名付けの効果で大分戦力が上がっていますし…」
「そうしよう。…だが流石に守りながら戦うのは難しいぞ?」
「安心してください。危なくなったらすぐに”影移動”を行使してダグラス様の元に逃げますので。」
「わかった。…絶対に誰も死なせるな?」
「はっ!」
話がまとまったところで、俺は結界外の魔狼族達の元へ”転移”した。
「チェイス、他の魔狼族達にヴァルハラ帝国移住を少しでも早く知らせたい。そのためにお前らに名付けをしてもいいか?」
「なっ、名付けをして頂けるんですか?」
「ああ。ヴァルハラ帝国の民は全員名付けしてる。」
「すごいですね…わかりました!兄者達も良いですよね?」
「ああ!これで強くなってコルムに仕返しできるぜ!!」
これは名付けの効果を知らないのか…?
はたまた純粋に喜んでいるのか…?
俺は疑心暗鬼になってしまった。
とりあえずチェイス→チェイスのように、全員を同じ名前で名付けをし直し、俺の支配下に加えた。
「おぉ…!コルムに名付けされた時より力が強く…!!」
「コルムより俺の魔力量の方が多かったんだろう。」
「本当に力が溢れてくる…!!これならおいらたちだけでコルムを倒せそうだ…!!」
「流石にそれは危険だから俺に任せておけ。」
「分かりました!!おいら達は捕まってる魔狼族の保護ですよね?」
「ああ。よろしく頼むぞ。」
「お任せください!!」
チェイス達が素なのか演技なのか、やはりわからない。
魔狼族の集落に行ったら分かるか。
「出発は明朝だ。お前らは一度集落に戻って変化がないか見てきてくれ。」
「そうですね…わかりました!」
「気をつけてな。」
「はい!」
チェイス達と別れ、俺は玉座に戻った。
「さて…チェイス達を観察するか。」
これはグレイの提案で、裏切るかどうかを見定めるための作戦だ。
もしチェイス達が他の種族や魔狼族に接触したら黒、偵察だけしたら白だ。
『さて…どう出るか。』
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