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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 4 ④
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「そのあたりはお互いさまだろう」
皮肉をあっさりと笑い飛ばしてから、ふと思い出したような調子で茅野が苦笑した。
「成瀬もな。そういう思考の十分の一でもいいから持つようになれば、多少は変わる気がするんだが」
ちらりと視線を向けると、茅野が苦笑いのまま額のあたりを指で叩いてみせた。
「なかなかだったぞ、このあいだも」
「あぁ」
「自分を大事にする気がないということを、よくよく思い知った気分だ」
元からわかっていたことだけどな、といかにも呆れたように笑うのにつられて、少し笑ってしまった。それも本当にそのとおりで、幾度となく思い知っていることだったからだ。
「いいのか、笑いごとで」
「笑いごとだろ。そんなもん、やられるほうが悪い」
即座に切り捨てた反応にか、茅野がまた笑った。今度はどこかおかしそうに。
「ひっくり返せないと判断した時点で、びっくりするくらい無抵抗だったぞ」
黙ったままのこちらを気にするでもなく、おまけに、と聞いてもいない情報を寄こしてくる。
「そのあとも、かたちばかりの文句は言っていたが。まぁ、いいけど、以外に本気でなにも思ってなさそうだったしな。さすがに気になって、『気を抜きすぎじゃないか』と言ったら、よくわかっていない顔をしていたが」
それもまた容易に想像のつく話だった。
「だろうな」
「簡単に殴られてやるやつでもないし、やられたらやり返すんだろうが、それもまぁ、本当にやられっぱなしは性に合わないというプライドだけの問題で、べつにどうでもいいんだろうな、あれは」
にじんだやるせなさが、夜の寮の廊下に沈んでいく。壁にもたれたまま、向原はそっと息を吐いた。
自分の言動に対して、そういう声を出される理由を、わかろうとはしないのだろう。
「昔から、そうだ」
いちいち腹を立てるのも馬鹿らしくなる程度には、昔からなにひとつ変わらない。応じた声は、そんなつもりはなかったのに、諦め半分の調子になってしまった。
こぼれた舌打ちに、おまえまで必要以上に溜め込むなよ、と言って、茅野が笑った。
*
体制が変わるなら、人員増やしたほうがいいはいいだろうな。
自分以外に誰もいない生徒会室で仕事を片づけながら、向原はそんなことを考えていた。
そもそも最低限に絞っていたのは成瀬の意向であって、生徒会全体の意向であったわけでもない。そういう意味では役員の顔ぶれが変われば、変わっていくのだろうが。
――それにしても、榛名ね。
人員不足の補填で入れたいという話を聞いたときは、どうかと思ったが、身内びいきもここまでくれば、さすがとしか言いようがない。
皮肉をあっさりと笑い飛ばしてから、ふと思い出したような調子で茅野が苦笑した。
「成瀬もな。そういう思考の十分の一でもいいから持つようになれば、多少は変わる気がするんだが」
ちらりと視線を向けると、茅野が苦笑いのまま額のあたりを指で叩いてみせた。
「なかなかだったぞ、このあいだも」
「あぁ」
「自分を大事にする気がないということを、よくよく思い知った気分だ」
元からわかっていたことだけどな、といかにも呆れたように笑うのにつられて、少し笑ってしまった。それも本当にそのとおりで、幾度となく思い知っていることだったからだ。
「いいのか、笑いごとで」
「笑いごとだろ。そんなもん、やられるほうが悪い」
即座に切り捨てた反応にか、茅野がまた笑った。今度はどこかおかしそうに。
「ひっくり返せないと判断した時点で、びっくりするくらい無抵抗だったぞ」
黙ったままのこちらを気にするでもなく、おまけに、と聞いてもいない情報を寄こしてくる。
「そのあとも、かたちばかりの文句は言っていたが。まぁ、いいけど、以外に本気でなにも思ってなさそうだったしな。さすがに気になって、『気を抜きすぎじゃないか』と言ったら、よくわかっていない顔をしていたが」
それもまた容易に想像のつく話だった。
「だろうな」
「簡単に殴られてやるやつでもないし、やられたらやり返すんだろうが、それもまぁ、本当にやられっぱなしは性に合わないというプライドだけの問題で、べつにどうでもいいんだろうな、あれは」
にじんだやるせなさが、夜の寮の廊下に沈んでいく。壁にもたれたまま、向原はそっと息を吐いた。
自分の言動に対して、そういう声を出される理由を、わかろうとはしないのだろう。
「昔から、そうだ」
いちいち腹を立てるのも馬鹿らしくなる程度には、昔からなにひとつ変わらない。応じた声は、そんなつもりはなかったのに、諦め半分の調子になってしまった。
こぼれた舌打ちに、おまえまで必要以上に溜め込むなよ、と言って、茅野が笑った。
*
体制が変わるなら、人員増やしたほうがいいはいいだろうな。
自分以外に誰もいない生徒会室で仕事を片づけながら、向原はそんなことを考えていた。
そもそも最低限に絞っていたのは成瀬の意向であって、生徒会全体の意向であったわけでもない。そういう意味では役員の顔ぶれが変われば、変わっていくのだろうが。
――それにしても、榛名ね。
人員不足の補填で入れたいという話を聞いたときは、どうかと思ったが、身内びいきもここまでくれば、さすがとしか言いようがない。
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