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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 4 ⑤
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本当に、なにが楽しくて火種になりそうなものばかりを内側に招き入れたがるのか。皓太が明確に拒絶すれば諦めるだろうが、今のタイミングだと期待はできそうにない。
なにせ、皓太が必要以上に気を回し続けている。皓太の性格を鑑みれば、そうしたくなる感情もわからなくはないが、と考えたところで、向原は出入口のほうに目をやった。
「あれ、向原」
扉を開けたのは、予想どおりの顔だった。扉に手をかけたまま、「来てたんだ」と呟く。その複雑そうな調子に、ふっと笑みをこぼす。
「いないほうがよかったのか?」
「そういうわけじゃないけど」
こちらを見とめたときに浮かべていたはずの戸惑いをきれいに消し去って、成瀬がほほえんだ。
「最近よく外出てたから、珍しいなと思って。それだけ。あ、皓太と篠原は会議。三十分くらいで戻ってくるとは思うけど」
そう告げて、ぱたんと扉を閉める。そのまま自席に着いて溜まった書類に目を通し始めている様子は、似非くさいくらいいつもどおりのものだった。
意識も警戒もしていませんよと言わんばかりのそれに、そう、とだけ頷いて会話を終わらせる。
――まぁ、篠原だろうな。
その、意図せずふたりきりになってしまったという戸惑い以上の気まずさの原因は。やたらと気にしていたから、なにか余計なことを言ったのだろう。
そこまで気にする必要もないだろうに、本当に人がいいとしか思えない。成瀬にしろ、本質的な部分を変える気がないのだから、気に留めなければいいのに、こうして中途半端に気に留めることがある。
自分より篠原のほうがまともだと思っているからだ。それは、まぁ、そうではあるだろうが。
「そういえば」
なんでもない調子で話しかけられて、軽く視線を向ける。
「このあいだ、うちの一年助けてあげたんだって? 茅野が言ってた。珍しいこともあるもんだな、とも言ってたけど」
「目の前で馬鹿が馬鹿やってたからな」
「また、そういう言い方する」
手元に視線を落としたまま、こちらを見ようともしていなかったが、それでも、普通に返事があったことに、ほっとしていることはわかった。
そういうところが、本当に中途半端だ。
だから、苛立ちばかりが増える一方なのだろうか。
「まぁ、でも、よかった」
「よかった?」
「その子にとってもよかったなって思うし、……これは個人的にだけど、行人が仲良くしてる子だから、よかったなと思うよ」
気にするだろうから、と続いた台詞は、どこか他人ごとのようでもあった。
「生徒会の人間としてだと、昼間に普通に歩いてただけで上級生に絡まれるような状況は正すべきだ、になるんだろうけど」
なにせ、皓太が必要以上に気を回し続けている。皓太の性格を鑑みれば、そうしたくなる感情もわからなくはないが、と考えたところで、向原は出入口のほうに目をやった。
「あれ、向原」
扉を開けたのは、予想どおりの顔だった。扉に手をかけたまま、「来てたんだ」と呟く。その複雑そうな調子に、ふっと笑みをこぼす。
「いないほうがよかったのか?」
「そういうわけじゃないけど」
こちらを見とめたときに浮かべていたはずの戸惑いをきれいに消し去って、成瀬がほほえんだ。
「最近よく外出てたから、珍しいなと思って。それだけ。あ、皓太と篠原は会議。三十分くらいで戻ってくるとは思うけど」
そう告げて、ぱたんと扉を閉める。そのまま自席に着いて溜まった書類に目を通し始めている様子は、似非くさいくらいいつもどおりのものだった。
意識も警戒もしていませんよと言わんばかりのそれに、そう、とだけ頷いて会話を終わらせる。
――まぁ、篠原だろうな。
その、意図せずふたりきりになってしまったという戸惑い以上の気まずさの原因は。やたらと気にしていたから、なにか余計なことを言ったのだろう。
そこまで気にする必要もないだろうに、本当に人がいいとしか思えない。成瀬にしろ、本質的な部分を変える気がないのだから、気に留めなければいいのに、こうして中途半端に気に留めることがある。
自分より篠原のほうがまともだと思っているからだ。それは、まぁ、そうではあるだろうが。
「そういえば」
なんでもない調子で話しかけられて、軽く視線を向ける。
「このあいだ、うちの一年助けてあげたんだって? 茅野が言ってた。珍しいこともあるもんだな、とも言ってたけど」
「目の前で馬鹿が馬鹿やってたからな」
「また、そういう言い方する」
手元に視線を落としたまま、こちらを見ようともしていなかったが、それでも、普通に返事があったことに、ほっとしていることはわかった。
そういうところが、本当に中途半端だ。
だから、苛立ちばかりが増える一方なのだろうか。
「まぁ、でも、よかった」
「よかった?」
「その子にとってもよかったなって思うし、……これは個人的にだけど、行人が仲良くしてる子だから、よかったなと思うよ」
気にするだろうから、と続いた台詞は、どこか他人ごとのようでもあった。
「生徒会の人間としてだと、昼間に普通に歩いてただけで上級生に絡まれるような状況は正すべきだ、になるんだろうけど」
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