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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 12 ⑤
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「正直なところ、俺も、そこまで考えてたわけじゃないから、ちょっと心苦しいというか。そんなこと言い出したら、俺だってすごい自分都合な理由だし、一緒にするなって話かもしれないけど、成瀬さんも、たぶんそうだよ」
「……」
「向原さんも、篠原さんもね。茅野さんもそうじゃないかな。まぁ、もちろん、その上で、自分の選択の責任は自分で取ろうと思ってると思うし、ここが、自分たちの思う良いものになればいいと思ってることも事実だとは思うけどね」
そんなもんだよ、と苦笑を返されて、反応に悩んでしまった。そのあいだに、だから、と言い聞かせるような調子の言葉が紡がれていく。
「榛名がそういうふうに考えてくれることは、すごい良いことだと思うし、本当にうれしいなとも思うんだけど。そういうところが、……怒るかもしれないけど、ちょっと心配っていうか」
「心配って、……生徒会を手伝うにあたって、っていう話だよな」
「そう。いちいち考えてたら、しんどいでしょ。判断する案件なんていくらでも湧いてくるのに。自分の判断に責任を持つことは大事だし、大切だとは思うけど、ひとつひとつ親身に向き合い続けてたら、榛名がきつくなるよ」
どこから目線の心配だよ、という反発がないとは言わない。
けれど、それでも、このあいだよりずっと素直に聞くことができるのは、誤魔化すことなくきちんと答えてくれていると感じているせいなのかもしれなかった。
「俺もだけど、あの人たちは、もっときれいに割り切ってる。榛名からしたら、冷たいって感じるんじゃないかっていうくらい。そう見せているか、見せていないかっていうだけで」
「冷たいとは思わないけど」
本当に、そんなふうにまでは思わないけれど。戸惑いながらも、行人はそう言った。
そもそも、そうでなければ上になんて立てないのだろうなと想像することはできるし、それを冷たいと思うほど子どもではないつもりだ。
なんだか話が逸れてきているような気はするが、とにかく、そういうつもりだ。
「同じようにはできないとは思うし、あれだけど。でも、その、俺なりに、ちゃんと意味を持ってがんばりたいとは思ってるというか……」
「うん、だから。それでもやるって言うなら、俺が止めることじゃないし、やったらいいんじゃない?」
「……え?」
「いや、だって、榛名が言ったとおりで、止めるも止めないも、その権限持ってるの、成瀬さんだしね」
若干、放り投げられた気分だったのだが、そんなつもりはなかったのか、高藤の声は妙な含みもなくあっさりとしていた。
真意を探るようにじっと見つめていると、もちろん、と苦笑半分といった調子の言葉が続く。
「俺が通っても、やめろとは言わないけど。無理はしないでほしいけど……って、通る前から、する話でもないか、これは」
「それは、まぁ、そうかもだけど」
よくわからないものの、とにかく、やめろと言う気はないらしいとわかってほっとすると、謙遜というより自嘲に近い雰囲気が気になってしまった。
「でも、こんな言い方もなんだとは思うけど、よっぽどのことがない限り、通るだろ」
だって、生徒会の三年生たちは、その前提で動いている。さも当然と言った行人を一瞥した高藤が、それ、と呟いた。
「それ?」
「だから、それが、……俺が頼んだことでもあるから、嫌だとかどうのと言える立場でもないんだけど、やっぱり多少申し訳ないとは思ってるというか」
「……誰に?」
「誰にって、それは、いろいろあるけど、特に呉宮先輩には」
お世話になったと思ってるし、出るって時点でぜんぶわかってたことだけど、とバツが悪そうに言うので、行人は笑いそうになってしまった。
なんだ。結局、自分だって、割り切れていないし、気にしてるんじゃないか。
「そう、なんだ」
「そうだよ。……べつに、笑いたかったら笑ってくれていいけど。なに、その顔」
「いや、べつに笑ってはないけど」
笑っていなくはないかもしれないけれど、馬鹿にしているわけでもなんでもなくて、先ほど以上にほっとしたのだ。
自分でも不思議なほど素直な気分で、行人は続けた。
「そういう話、もっとちゃんと聞きたいなと思って」
もっと話さないといけないと思っていて、そう決めたつもりで、でも、できていなかったから。今度こそ、結果が出て変化が始まる前に、しっかりと聞いてみたいと思った。
「……」
「向原さんも、篠原さんもね。茅野さんもそうじゃないかな。まぁ、もちろん、その上で、自分の選択の責任は自分で取ろうと思ってると思うし、ここが、自分たちの思う良いものになればいいと思ってることも事実だとは思うけどね」
そんなもんだよ、と苦笑を返されて、反応に悩んでしまった。そのあいだに、だから、と言い聞かせるような調子の言葉が紡がれていく。
「榛名がそういうふうに考えてくれることは、すごい良いことだと思うし、本当にうれしいなとも思うんだけど。そういうところが、……怒るかもしれないけど、ちょっと心配っていうか」
「心配って、……生徒会を手伝うにあたって、っていう話だよな」
「そう。いちいち考えてたら、しんどいでしょ。判断する案件なんていくらでも湧いてくるのに。自分の判断に責任を持つことは大事だし、大切だとは思うけど、ひとつひとつ親身に向き合い続けてたら、榛名がきつくなるよ」
どこから目線の心配だよ、という反発がないとは言わない。
けれど、それでも、このあいだよりずっと素直に聞くことができるのは、誤魔化すことなくきちんと答えてくれていると感じているせいなのかもしれなかった。
「俺もだけど、あの人たちは、もっときれいに割り切ってる。榛名からしたら、冷たいって感じるんじゃないかっていうくらい。そう見せているか、見せていないかっていうだけで」
「冷たいとは思わないけど」
本当に、そんなふうにまでは思わないけれど。戸惑いながらも、行人はそう言った。
そもそも、そうでなければ上になんて立てないのだろうなと想像することはできるし、それを冷たいと思うほど子どもではないつもりだ。
なんだか話が逸れてきているような気はするが、とにかく、そういうつもりだ。
「同じようにはできないとは思うし、あれだけど。でも、その、俺なりに、ちゃんと意味を持ってがんばりたいとは思ってるというか……」
「うん、だから。それでもやるって言うなら、俺が止めることじゃないし、やったらいいんじゃない?」
「……え?」
「いや、だって、榛名が言ったとおりで、止めるも止めないも、その権限持ってるの、成瀬さんだしね」
若干、放り投げられた気分だったのだが、そんなつもりはなかったのか、高藤の声は妙な含みもなくあっさりとしていた。
真意を探るようにじっと見つめていると、もちろん、と苦笑半分といった調子の言葉が続く。
「俺が通っても、やめろとは言わないけど。無理はしないでほしいけど……って、通る前から、する話でもないか、これは」
「それは、まぁ、そうかもだけど」
よくわからないものの、とにかく、やめろと言う気はないらしいとわかってほっとすると、謙遜というより自嘲に近い雰囲気が気になってしまった。
「でも、こんな言い方もなんだとは思うけど、よっぽどのことがない限り、通るだろ」
だって、生徒会の三年生たちは、その前提で動いている。さも当然と言った行人を一瞥した高藤が、それ、と呟いた。
「それ?」
「だから、それが、……俺が頼んだことでもあるから、嫌だとかどうのと言える立場でもないんだけど、やっぱり多少申し訳ないとは思ってるというか」
「……誰に?」
「誰にって、それは、いろいろあるけど、特に呉宮先輩には」
お世話になったと思ってるし、出るって時点でぜんぶわかってたことだけど、とバツが悪そうに言うので、行人は笑いそうになってしまった。
なんだ。結局、自分だって、割り切れていないし、気にしてるんじゃないか。
「そう、なんだ」
「そうだよ。……べつに、笑いたかったら笑ってくれていいけど。なに、その顔」
「いや、べつに笑ってはないけど」
笑っていなくはないかもしれないけれど、馬鹿にしているわけでもなんでもなくて、先ほど以上にほっとしたのだ。
自分でも不思議なほど素直な気分で、行人は続けた。
「そういう話、もっとちゃんと聞きたいなと思って」
もっと話さないといけないと思っていて、そう決めたつもりで、でも、できていなかったから。今度こそ、結果が出て変化が始まる前に、しっかりと聞いてみたいと思った。
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