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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 12 ④
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「まぁ、……そっか」
できるだけなんでもないように、行人は相槌を打った。
「そうだよな、ごめん」
「いや、べつに、榛名は謝らなくていいんだけど……」
はっとしたように謝り返すところが、本当に人がよくできている。自嘲半分でそんなふうに思いながら、行人は「あのさ」と話し始めた。
せめて、という気分と同じくらい、意を決した気分で。繰り返しになるが、自分のことを話すことは本当に、本当に苦手なのだ。
でも、相手のことを知りたいのなら、まずは自分か話さないといけないのだろう。
高藤のために手伝いたいという理由は、口当たりは良いけれど、生徒会に入る理由として優しくないと気がつくことができたのだから、せめて、今このタイミングでそれだけは伝えておこうと思ったのだ。
それを聞いた上で、やっぱり関わるのはやめてほしいと高藤が言うのなら、尊重しようとも言い聞かせながら。
「ちょっと話変わるんだけど、俺が生徒会に関わるの、高藤は良い顔しなかったけど」
「あ、それは、前も言ったけど、本当に、榛名には務まらないとか、そういうふうに思ってたわけじゃないから」
「わかってる。……いや、正直、ちょっと荷が重いなって思うところもあるけど。でも、おまえも、成瀬さんとか、篠原先輩も、慣れたらできるようになるって思ってくれてるんだろうなってわかるし、ありがたいと思ってるから」
「……」
なにそれ、気持ち悪、とは言われなかったものの、似たような顔をしていたので、似たようなことを思っているに違いない。
自分でも、我ながら似合わないことを言っているなぁ、と思っているので、否はないのだが。
「だから、そうじゃなくて。生徒会に入ったあとに、周りになに言われても、大丈夫って思えるような覚悟があるかどうかって話だったのかなって、ちょっと考え直したっていうか」
あのときは、うまく言語化できないまま、有耶無耶に強硬手段に出てしまって、それもまずい手だったと反省もしているのだ。
「えっと、考え直したって……?」
「その、成瀬さんたちは、自分の決断の責任は自分で当然取ってると思うし、高藤もそうしていくつもりなんだよな。それなのに、なんていうか、俺、『おまえの役に立ちたいから』とか、『手伝う』とか、あんまり、自分を主体にした責任の取り方を考えなかったなって」
そういうのって、よくよく考えると、ちょっとずるいなって、とは、余計なフォローをされてしまいそうだったので言わなかったが。言葉にするにつれ、そういうことなんだよなとずしりときてしまった。
けれど、それは持っていないといけない重みなのだ。そう言い聞かせて、だから、と行人は言葉を続ける。
「高藤も良い顔しなかったんじゃないかなって、思ったっていうか」
甘く考えていたつもりではないものの、あまりにも自分の目先のことを優先していた気はして、あいかわらずの自分の視野の狭さにもげんなりとはしたのだけれど。
本当に、そのあたりは考え始めたらどんどんと感情が地に落ちてしまうので、気がつくことができただけで良しとするしかない。
尻すぼみになりながらもどうにか言い切ると、高藤が苦笑いに近い笑みを浮かべた。ほっとしているのか、それともやはり納得が行っていないままなのか、読み取りづらい顔。
「なんか、本当に変わったね、榛名」
「……そうか?」
「うまくできてるとか、そういうことはちょっと置いとくし、俺が言うのもなんだとは思うけど。なんか、ちゃんと他人に興味持てるようになったんだなって」
高藤にとって、自分の今のわりと決死だった発言は、「自分の想い・考えを伝えることができるようになりました」以前に、「他人のことをようやく少しは思いやることができるようになりました」レベルだったらしいと悟って、行人はなんとも言えない気持ちになった。
「…………うん、そうかも」
「まぁ、結局、人間関係なんて、まず相手に興味持たないと始まらないしね。そういう意味で、ちゃんと話そうとしてくれたことはうれしかったんだけど」
わずかに言い淀むように笑ってから、でも、と高藤が続ける。
できるだけなんでもないように、行人は相槌を打った。
「そうだよな、ごめん」
「いや、べつに、榛名は謝らなくていいんだけど……」
はっとしたように謝り返すところが、本当に人がよくできている。自嘲半分でそんなふうに思いながら、行人は「あのさ」と話し始めた。
せめて、という気分と同じくらい、意を決した気分で。繰り返しになるが、自分のことを話すことは本当に、本当に苦手なのだ。
でも、相手のことを知りたいのなら、まずは自分か話さないといけないのだろう。
高藤のために手伝いたいという理由は、口当たりは良いけれど、生徒会に入る理由として優しくないと気がつくことができたのだから、せめて、今このタイミングでそれだけは伝えておこうと思ったのだ。
それを聞いた上で、やっぱり関わるのはやめてほしいと高藤が言うのなら、尊重しようとも言い聞かせながら。
「ちょっと話変わるんだけど、俺が生徒会に関わるの、高藤は良い顔しなかったけど」
「あ、それは、前も言ったけど、本当に、榛名には務まらないとか、そういうふうに思ってたわけじゃないから」
「わかってる。……いや、正直、ちょっと荷が重いなって思うところもあるけど。でも、おまえも、成瀬さんとか、篠原先輩も、慣れたらできるようになるって思ってくれてるんだろうなってわかるし、ありがたいと思ってるから」
「……」
なにそれ、気持ち悪、とは言われなかったものの、似たような顔をしていたので、似たようなことを思っているに違いない。
自分でも、我ながら似合わないことを言っているなぁ、と思っているので、否はないのだが。
「だから、そうじゃなくて。生徒会に入ったあとに、周りになに言われても、大丈夫って思えるような覚悟があるかどうかって話だったのかなって、ちょっと考え直したっていうか」
あのときは、うまく言語化できないまま、有耶無耶に強硬手段に出てしまって、それもまずい手だったと反省もしているのだ。
「えっと、考え直したって……?」
「その、成瀬さんたちは、自分の決断の責任は自分で当然取ってると思うし、高藤もそうしていくつもりなんだよな。それなのに、なんていうか、俺、『おまえの役に立ちたいから』とか、『手伝う』とか、あんまり、自分を主体にした責任の取り方を考えなかったなって」
そういうのって、よくよく考えると、ちょっとずるいなって、とは、余計なフォローをされてしまいそうだったので言わなかったが。言葉にするにつれ、そういうことなんだよなとずしりときてしまった。
けれど、それは持っていないといけない重みなのだ。そう言い聞かせて、だから、と行人は言葉を続ける。
「高藤も良い顔しなかったんじゃないかなって、思ったっていうか」
甘く考えていたつもりではないものの、あまりにも自分の目先のことを優先していた気はして、あいかわらずの自分の視野の狭さにもげんなりとはしたのだけれど。
本当に、そのあたりは考え始めたらどんどんと感情が地に落ちてしまうので、気がつくことができただけで良しとするしかない。
尻すぼみになりながらもどうにか言い切ると、高藤が苦笑いに近い笑みを浮かべた。ほっとしているのか、それともやはり納得が行っていないままなのか、読み取りづらい顔。
「なんか、本当に変わったね、榛名」
「……そうか?」
「うまくできてるとか、そういうことはちょっと置いとくし、俺が言うのもなんだとは思うけど。なんか、ちゃんと他人に興味持てるようになったんだなって」
高藤にとって、自分の今のわりと決死だった発言は、「自分の想い・考えを伝えることができるようになりました」以前に、「他人のことをようやく少しは思いやることができるようになりました」レベルだったらしいと悟って、行人はなんとも言えない気持ちになった。
「…………うん、そうかも」
「まぁ、結局、人間関係なんて、まず相手に興味持たないと始まらないしね。そういう意味で、ちゃんと話そうとしてくれたことはうれしかったんだけど」
わずかに言い淀むように笑ってから、でも、と高藤が続ける。
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