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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 0 ①
しおりを挟む対人関係における距離の取り方は難しい、ということを、実感として強く感じるようになったのは、実は、本当に最近のことだったりする。
この学園に入る前は、自分は人付き合いがうまい――まぁ、今になって振り返ると、表面的な対人関係を好む幼馴染みのやり方を真似ていただけだったので、うまいというより「揉めるほどの深さもない浅いやり方に徹していた」だけだったのだろうけれど――と思っていたので、同室者とうまくやれない日々が続いたときは、それなりに衝撃だったわけだが、それも「相手に難があるしな」で自分を擁護して棚に上げていた。いたのだが。
――なんか、そういう問題でもない気がしてきたな、本当に。
元気はないけれど、元気がないことを隠してふつうにしているつもりです、という榛名の横顔をちらりと窺って、もやりとしたものを呑み込む。
これなら、いっそ、以前のように、不機嫌です、という顔をされていたほうがいくらかマシだったな、と思う。なんというか、さらに気を使う。
――いや、気を使うというか、下手に気を使っていることを気取られると、さらに面倒になりそうというか。……この雰囲気だと、面倒なことにすらならなさそうで、それが不気味というか。
ようやく選挙が終わったというのに、まったく気が休まらないというか。
もう一度、ちらりと皓太は少し前を行く榛名の様子を見やった。
とりとめのない荻原の話に軽く相槌を打っている横顔は、最近のいつもどおりと言えばいつもどおりだし、さらにその少し先を四谷や岡が話しながら歩いていることもいつもどおりである。
――まぁ、なんかあったとしたら、四谷なんだろうけどなぁ。
昔のように、ギスギスと当たり散らされているわけでもなければ、榛名が威嚇しているわけでもないのだが、様子が違っていることは、見ていればさすがにわかる。
なにをされているわけでもないので、逆にどうとも口を出しづらいわけではあるのだけれど。
「じゃあ、またあとでね」
よっちゃんたちも、と続いた荻原の声に、先を行っていた四谷たちの足が止まる。そこの輪のうしろに加わるかたちで榛名も教室のほうに向かって行く。その姿を見送って、ぽつりと荻原が呟いた。
「大丈夫かなぁ、あれ」
「いや……」
まぁ、大丈夫じゃない、と言いかけて、なんとなく皓太は口を噤んだ。四谷とは話していないのかもしれないが、岡とは話をしているようだし、小学生よろしく無視をされているわけでもない。だが、しかし。
「四谷とちょっと仲良くなったつもりだったみたいだから、余計にきついのかもね。なにしたのかは知らないけど」
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