パーフェクトワールド

木原あざみ

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第三部

パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 5 ⑤

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「まぁ、いいけど。あんまり長く揉めないようにしろよ」

 もやりとした感情がうごめいたせいで、必要以上に突き放したふうに響いてしまったかもしれない。思い直して、皓太は言い足した。
 そもそも、できるだけ言葉にするようにする、というようなことを言っていたのは、少し前の榛名ではあるのだが。

「俺にできることがあれば、手伝うし」
「うん。……でも、大丈夫」

 反射で「いらない」と言われないだけマシになのだろうなと思うことにして、なら、いいけど、と頷く。

「四谷は、たぶん、おまえにはあんまり首突っ込まれたくないと思うし」

 まぁ、そうだろうな、とは思っていたことだった。

「でも、終わったら、というか、自分の中で区切りをつけれたら、話す」
「あ、……うん」
「なんだよ、その反応」

 がんばって言ったのに、と言わんばかりの反応に、一拍遅れて視線を向け直す。ちょっと驚いたのだ。だが、素直にそう言うこともできず、榛名が嫌がるだろうところの保護者ぶった言い方を皓太は選んだ。

「いや、丸くなったなと思って。それだけ」
「べつに。前も話すって言っただろ。というか、このあいだも相談はしただろ。あんまりおまえが聞かなかっただけで」

 このあいだ、と聞き返すと、四谷のこと、と恨みがましい調子で榛名が言う。その答えに、ああ、と小さく唸る。たしかに聞いた。聞いたし、流した。
 また言ってるよ、と思ったからだ。覚えたきまずさで「ごめん」と謝ると、意外にも「べつにいいけど」と本当にべつにいいと思っている調子で榛名は表情をゆるめた。そうしてから、念を押すように繰り返す。

「とにかく、そういうことだから。言わないと思うけど、四谷に言うなよ、余計なこと」
「わかってるって」
「それと……」
「それと、なに?」

 迷うように揺れた語尾に、きつくならないよう意識して聞き返す。悩むような様子を見せつつも、結局こう続けた。

「これは俺の余計なお節介なのかもしれないけど、余計なことは言わないでほしいけど、余計なことも誰かに言わせないでほしい」

 俺と四谷の問題だから、と榛名が言う。だが、難しいことだとわかっているのだろう。どこか諦めたような雰囲気がにじんでいた。適当に誤魔化して請け負うことはせず、小さく溜息を吐く。

「それはもちろん気をつけるし、荻原にも寮のことは気をつけてほしいって頼む気ではいたけど」
「うん」
「完全には無理だと思うよ。おまえと四谷の問題でも、場所が教室だったわけだろ。それを見たやつがどう感じるかはそいつの問題になる」
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