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気持ちの変化ー智章sideー
ストーリー14
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次の日、スタジオ撮りを終え自販機でコーヒーを購入していると、笹倉さんとバッタリ会った。
「相沢君、休憩?」
「はい」
沈黙と同時に何となく気不味い空気が流れる。笹倉さんを見ると、どうしても恋ちゃんとの関係が気になってしょうがない。
「あの、笹倉さん」
「はい?」
「えっと、恋ちゃんとは……」
恋ちゃんとの関係をどう切り出して良いか分からず、言葉を詰まらせる。
「恋さんがどうかしました? あっ恋さんと結婚するんでしたね」
「はい」
俺がそう返事すると、笹倉さんはフッと意味深な笑みを浮かべた。
「俺は恋さ……恋ちゃんと相沢君の結婚を認めた訳じゃないからまだ祝福はしない。恋ちゃんがちゃんと幸せになったのを感じたら、その時に初めて祝福させてもらうよ」
恋ちゃん? 呼び方を変えて牽制してるつもりか。
「笹倉さんと恋ちゃんの関係って何ですか?」
睨むように少し強めに尋ねる。
「関係……ねぇ。昔からの知り合いってとこかな。気になるなら恋ちゃんに直接聞いてみては?では俺はこれで」
笹倉さんは不敵な笑みを浮かべたまま、その場から立ち去った。今日の笹倉さんはクール系じゃなくて小悪魔系に見えた。
「恋ちゃんに直接聞けないから笹倉さんに聞いたんだよ。チクショー」
笹倉さんと話をして、モヤモヤだけが残ってしまった。
その夜、恋ちゃんと婚前旅行の話をした。行き先は恋ちゃんの希望で北海道に決定。早速、下調べをして行きたい場所をチョイスする。
そして旅行当日 ーー
「晴れて良かったね」
空港に到着すると、春なのに冷んやりとしたそよ風が吹いている。北海道に来たなぁって感じだ。そしてレンタカーで移動する。今日は風景撮影より観光地巡りを優先させた。
恋ちゃんも楽しんでくれるといいんだけど。
恋ちゃんをチラッと見る。表情からは今の感情を読み取る事は出来ないが、楽しんでくれていると信じよう。
観光地巡りが終わると、本日宿泊予定の旅館に向かう。急な旅行だった為、宿探しに苦戦したが、風流で和な雰囲気のある旅館に一部屋だけキャンセルが出て、無事宿泊先を確保できた。
「それではご案内させて頂きます」
丁寧な口調の仲居さんが俺たちの荷物を持ち、部屋へと案内する。仲居さんが部屋を出ると、俺は窓から景色を眺めた。
「ん~良い眺め」
景色を堪能していると、恋ちゃんが声をかけてきた。
「お茶入りました」
「ありがとう」
畳の上置いてある座布団に座り、お茶を頂く。
「俺はこの後少し外を散歩するけど、恋ちゃんはどうする?」
「私はここでゆっくりします」
「分かった。じゃあまた後で」
お茶を飲み終わると、カメラを持ち部屋を出る。そして旅館の人に許可を得て、風情ある庭を撮影させてもらった。
「おっと、もうこんな時間か」
気がつくと結構な時間が過ぎていた。撮影に夢中になり過ぎたみたいだ。急ぎ足で部屋に戻る。
「お帰りなさい」
部屋に戻ると、長い髪を上の方でまとめ、旅館の浴衣に着替えた恋ちゃんがいた。
「食事の前に、露天風呂に入ろうかと思いまして」
「だから髪の毛上げてるんだ。俺も露天風呂入ろうかな」
俺も浴衣に着替えて二人で露天風呂に向かう。
「あ~温泉は良いなぁ」
しばらく露天風呂でまったりして、この後の事を考えてみる。
果たして、俺の理性は最後まで持つだろうか?
婚前旅行……同じ部屋……酒……恐らく隣同士に並んだ布団……
俺の理性では……無理かもしれない。でも、気合い入れて頑張るしかないか。
露天風呂を出て部屋に戻る。恋ちゃんはまだ戻ってきてなかった。何を見るわけじゃないけど、しばらく窓の外をボーっと眺めた。
「ごめんなさい。遅くなりました」
恋ちゃんが部屋に戻ってきた。体が温まったのか、頰がほんのりピンク色に染まっている。
「露天風呂気持ち良かったね。じゃあご飯にしようか」
窓際にいた俺は、食事が並ぶテーブルへ移動する。恋ちゃんの後ろを通った時に思わず、目に入ってしまった。
髪をアップにしている恋ちゃんのうなじ……色気が凄い。
「どうかしましたか?」
恋ちゃんの後ろで立ち止まる俺に声をかける。
「何でもないよ。それにしても美味しそうだね。食べよう食べよう」
にっこり笑って誤魔化すと、恋ちゃんの前に座りテーブルに並んだ料理を眺める。
料理のメインは蟹、これは美味しそうだ。ビールを飲みながら、蟹料理を堪能する。
「前から思ってたけど、恋ちゃんってお酒強いよね」
「そんな事ないですよ。割と早く酔いが回ります」
「あはは、全然いつもと変わらないし」
食事を終え、後は寝るだけになった。
恐らく閉ざされたあの襖の向こうに並んだ布団が準備されているのだろう。
「相沢君、休憩?」
「はい」
沈黙と同時に何となく気不味い空気が流れる。笹倉さんを見ると、どうしても恋ちゃんとの関係が気になってしょうがない。
「あの、笹倉さん」
「はい?」
「えっと、恋ちゃんとは……」
恋ちゃんとの関係をどう切り出して良いか分からず、言葉を詰まらせる。
「恋さんがどうかしました? あっ恋さんと結婚するんでしたね」
「はい」
俺がそう返事すると、笹倉さんはフッと意味深な笑みを浮かべた。
「俺は恋さ……恋ちゃんと相沢君の結婚を認めた訳じゃないからまだ祝福はしない。恋ちゃんがちゃんと幸せになったのを感じたら、その時に初めて祝福させてもらうよ」
恋ちゃん? 呼び方を変えて牽制してるつもりか。
「笹倉さんと恋ちゃんの関係って何ですか?」
睨むように少し強めに尋ねる。
「関係……ねぇ。昔からの知り合いってとこかな。気になるなら恋ちゃんに直接聞いてみては?では俺はこれで」
笹倉さんは不敵な笑みを浮かべたまま、その場から立ち去った。今日の笹倉さんはクール系じゃなくて小悪魔系に見えた。
「恋ちゃんに直接聞けないから笹倉さんに聞いたんだよ。チクショー」
笹倉さんと話をして、モヤモヤだけが残ってしまった。
その夜、恋ちゃんと婚前旅行の話をした。行き先は恋ちゃんの希望で北海道に決定。早速、下調べをして行きたい場所をチョイスする。
そして旅行当日 ーー
「晴れて良かったね」
空港に到着すると、春なのに冷んやりとしたそよ風が吹いている。北海道に来たなぁって感じだ。そしてレンタカーで移動する。今日は風景撮影より観光地巡りを優先させた。
恋ちゃんも楽しんでくれるといいんだけど。
恋ちゃんをチラッと見る。表情からは今の感情を読み取る事は出来ないが、楽しんでくれていると信じよう。
観光地巡りが終わると、本日宿泊予定の旅館に向かう。急な旅行だった為、宿探しに苦戦したが、風流で和な雰囲気のある旅館に一部屋だけキャンセルが出て、無事宿泊先を確保できた。
「それではご案内させて頂きます」
丁寧な口調の仲居さんが俺たちの荷物を持ち、部屋へと案内する。仲居さんが部屋を出ると、俺は窓から景色を眺めた。
「ん~良い眺め」
景色を堪能していると、恋ちゃんが声をかけてきた。
「お茶入りました」
「ありがとう」
畳の上置いてある座布団に座り、お茶を頂く。
「俺はこの後少し外を散歩するけど、恋ちゃんはどうする?」
「私はここでゆっくりします」
「分かった。じゃあまた後で」
お茶を飲み終わると、カメラを持ち部屋を出る。そして旅館の人に許可を得て、風情ある庭を撮影させてもらった。
「おっと、もうこんな時間か」
気がつくと結構な時間が過ぎていた。撮影に夢中になり過ぎたみたいだ。急ぎ足で部屋に戻る。
「お帰りなさい」
部屋に戻ると、長い髪を上の方でまとめ、旅館の浴衣に着替えた恋ちゃんがいた。
「食事の前に、露天風呂に入ろうかと思いまして」
「だから髪の毛上げてるんだ。俺も露天風呂入ろうかな」
俺も浴衣に着替えて二人で露天風呂に向かう。
「あ~温泉は良いなぁ」
しばらく露天風呂でまったりして、この後の事を考えてみる。
果たして、俺の理性は最後まで持つだろうか?
婚前旅行……同じ部屋……酒……恐らく隣同士に並んだ布団……
俺の理性では……無理かもしれない。でも、気合い入れて頑張るしかないか。
露天風呂を出て部屋に戻る。恋ちゃんはまだ戻ってきてなかった。何を見るわけじゃないけど、しばらく窓の外をボーっと眺めた。
「ごめんなさい。遅くなりました」
恋ちゃんが部屋に戻ってきた。体が温まったのか、頰がほんのりピンク色に染まっている。
「露天風呂気持ち良かったね。じゃあご飯にしようか」
窓際にいた俺は、食事が並ぶテーブルへ移動する。恋ちゃんの後ろを通った時に思わず、目に入ってしまった。
髪をアップにしている恋ちゃんのうなじ……色気が凄い。
「どうかしましたか?」
恋ちゃんの後ろで立ち止まる俺に声をかける。
「何でもないよ。それにしても美味しそうだね。食べよう食べよう」
にっこり笑って誤魔化すと、恋ちゃんの前に座りテーブルに並んだ料理を眺める。
料理のメインは蟹、これは美味しそうだ。ビールを飲みながら、蟹料理を堪能する。
「前から思ってたけど、恋ちゃんってお酒強いよね」
「そんな事ないですよ。割と早く酔いが回ります」
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恐らく閉ざされたあの襖の向こうに並んだ布団が準備されているのだろう。
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