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臨時のお仕事
ストーリー52
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再び居酒屋(高瀬side) ーー
「お待たせ」
店内に戻り鈴里さんの前に座る。結構酒飲んでるはずなのに、顔色ひとつ変わってない。相当の酒豪か?
「明日香の彼氏がお迎えに来たんですか?」
「うん。鈴里さんも彼氏が迎えに来る?」
「いえ。会う予定はないので、私はタクシーで帰ります」
「じゃあもう少し俺に付き合ってよ」
俺は二人分のビールを注文し、聞いてみたい事があったから話を切り出した。
「鈴里さんの彼氏って、もしかして土・日に会えない人じゃない?」
「……どうしてそう思います?」
鈴里さんは髪を耳にかけ、笑みを浮かべてじぃっと俺を見てくる。
「相手って営業一課の沢田課長……でしょ? 沢田さん、既婚者だもんね」
俺も笑みを浮かべてじぃっと鈴里さんを見る。しかし、彼女の顔には動揺もなく表情も変わらないままだ。
「知ってたんですか?」
「否定しないんだ。朝の出勤途中で駅から会社に歩いている時、沢田課長と毎日挨拶してるでしょ? 営業と秘書って接点ないのに笑顔で挨拶するほどの顔見知りなんだって思ってただけだよ」
「よく見てますね。軽蔑しますか?」
「いや、人の恋愛事情には興味がないんで」
ビールを飲みながら鈴里さんの顔を見る。彼女の恋愛に興味はないが、正直美人なのに既婚者と付き合うなんて勿体ないなと思っていた。
「まぁ、沢田課長良い人だもんね。俺も新入社員で営業一課に配属された時に課長にはお世話になったよ。いつから付き合ってるの?」
「あぁ、元営業一課でしたね。付き合いが始まったのは…私が新入社員の時だから、もう六年くらいになります」
「長いね~。でも会いたい時に会えないとか寂しくないの?」
「グイグイ質問しますね。まぁいいですけど。付き合い始めくらいの時は寂しいと感じる事もありましたけど……今はないです」
遠慮しないで質問攻めする俺も俺だけど、本当に顔色ひとつ変えずに全部答えてくれる鈴里さんは凄いと思う。
「へぇ、割とあっさりしてるんだね」
「そうですね。それに……相性が良いんですよ、身体の」
鈴里さんはニコッと微笑む。それを聞いて俺も笑みを返した。
「沢田課長って上手いんだ。それはプレッシャーだな」
「何でプレッシャー?」
「だって俺、鈴里さんをお持ち帰りする予定だから」
「…っ」
俺の発言に、ビールを飲んでいた鈴里さんは思わず吹き出しそうになった。
「……本気で言ってるんですか?」
「うん、本気」
語尾にハートをつけたような言い方で返事する。さて、鈴里さんはどんな反応をするか……ふざけないで、って言って帰っちゃうだろうか。それともスルーされるか。
少し沈黙が続き、鈴里さんが口を開いた。
「明日香の……代わりですか?」
「明日香ちゃんは好きだけど代わりじゃないよ。ただ鈴里さんを抱きたいだけ」
「心と身体は別って事? 変な人。いいですよ。条件さえ守ってくれれば……」
意外だった。まさか持ち帰りOKが出るとは。鈴里さんは頬杖をついて挑発的な笑みを浮かべて俺を見る。
「条件って?」
「ちゃんと割り切ってくれるかしら?」
「一回抱いたくらいで彼氏ヅラするなって事? …OK、交渉成立だな」
交渉が成立すると俺達は店を出てタクシーに乗り込む。
「鈴里さんってめっちゃ酒強いんだね」
「そんな事ないですよ。結構酔ってます」
「あはは、全然そう見えないし」
タクシーを降りてホテルへ入る。そして部屋に着くまでの間、何度か鈴里さんの方をチラッと見る。
見れば見るほど綺麗な人だと思った。酒のせいもあり、俺の中にある余裕がどんどん無くなっていく。
足早に部屋まで行きドアを閉める。そして中に入ってすぐ彼女を壁に追いつめ、俺は左手を壁につけ半ば強引に唇を奪った。
「……課長」
突然のキスに少し驚いたみたいだが、俺の唇を受け入れてくれた。
「ここまできて課長はないだろ……マイ。俺の名前知ってる?」
「……ナオ……ト」
唇が離れた一瞬に俺の名前を呼ぶ。その瞬間、俺の中のスイッチが完全に入った。
最初は明日香ちゃんとの誤解が解けたら飲み会もお開きにしようと思っていた。
もちろん、鈴里さんをお持ち帰りなんて微塵にも考えてもいなかった。でも話をしていくうちに、何故だか彼女に対して好奇心を持ち、もっと彼女を知りたいと思った。
でも、これは恋愛感情とかではない。本当にただの好奇心だと思う。
「余裕のなくなったマイの顔を見てみたい」
「私……もうそんなに余裕ないよ。そう見えない?」
「超余裕そう」
服を着てても分かる彼女のスタイルの良さに思わず魅入ってしまう。ヤバイ、クラクラする。気を抜くと俺の方が先にやられそうだ。
こうして俺達はお互い大人の時間を一晩中楽しんだ。
「お待たせ」
店内に戻り鈴里さんの前に座る。結構酒飲んでるはずなのに、顔色ひとつ変わってない。相当の酒豪か?
「明日香の彼氏がお迎えに来たんですか?」
「うん。鈴里さんも彼氏が迎えに来る?」
「いえ。会う予定はないので、私はタクシーで帰ります」
「じゃあもう少し俺に付き合ってよ」
俺は二人分のビールを注文し、聞いてみたい事があったから話を切り出した。
「鈴里さんの彼氏って、もしかして土・日に会えない人じゃない?」
「……どうしてそう思います?」
鈴里さんは髪を耳にかけ、笑みを浮かべてじぃっと俺を見てくる。
「相手って営業一課の沢田課長……でしょ? 沢田さん、既婚者だもんね」
俺も笑みを浮かべてじぃっと鈴里さんを見る。しかし、彼女の顔には動揺もなく表情も変わらないままだ。
「知ってたんですか?」
「否定しないんだ。朝の出勤途中で駅から会社に歩いている時、沢田課長と毎日挨拶してるでしょ? 営業と秘書って接点ないのに笑顔で挨拶するほどの顔見知りなんだって思ってただけだよ」
「よく見てますね。軽蔑しますか?」
「いや、人の恋愛事情には興味がないんで」
ビールを飲みながら鈴里さんの顔を見る。彼女の恋愛に興味はないが、正直美人なのに既婚者と付き合うなんて勿体ないなと思っていた。
「まぁ、沢田課長良い人だもんね。俺も新入社員で営業一課に配属された時に課長にはお世話になったよ。いつから付き合ってるの?」
「あぁ、元営業一課でしたね。付き合いが始まったのは…私が新入社員の時だから、もう六年くらいになります」
「長いね~。でも会いたい時に会えないとか寂しくないの?」
「グイグイ質問しますね。まぁいいですけど。付き合い始めくらいの時は寂しいと感じる事もありましたけど……今はないです」
遠慮しないで質問攻めする俺も俺だけど、本当に顔色ひとつ変えずに全部答えてくれる鈴里さんは凄いと思う。
「へぇ、割とあっさりしてるんだね」
「そうですね。それに……相性が良いんですよ、身体の」
鈴里さんはニコッと微笑む。それを聞いて俺も笑みを返した。
「沢田課長って上手いんだ。それはプレッシャーだな」
「何でプレッシャー?」
「だって俺、鈴里さんをお持ち帰りする予定だから」
「…っ」
俺の発言に、ビールを飲んでいた鈴里さんは思わず吹き出しそうになった。
「……本気で言ってるんですか?」
「うん、本気」
語尾にハートをつけたような言い方で返事する。さて、鈴里さんはどんな反応をするか……ふざけないで、って言って帰っちゃうだろうか。それともスルーされるか。
少し沈黙が続き、鈴里さんが口を開いた。
「明日香の……代わりですか?」
「明日香ちゃんは好きだけど代わりじゃないよ。ただ鈴里さんを抱きたいだけ」
「心と身体は別って事? 変な人。いいですよ。条件さえ守ってくれれば……」
意外だった。まさか持ち帰りOKが出るとは。鈴里さんは頬杖をついて挑発的な笑みを浮かべて俺を見る。
「条件って?」
「ちゃんと割り切ってくれるかしら?」
「一回抱いたくらいで彼氏ヅラするなって事? …OK、交渉成立だな」
交渉が成立すると俺達は店を出てタクシーに乗り込む。
「鈴里さんってめっちゃ酒強いんだね」
「そんな事ないですよ。結構酔ってます」
「あはは、全然そう見えないし」
タクシーを降りてホテルへ入る。そして部屋に着くまでの間、何度か鈴里さんの方をチラッと見る。
見れば見るほど綺麗な人だと思った。酒のせいもあり、俺の中にある余裕がどんどん無くなっていく。
足早に部屋まで行きドアを閉める。そして中に入ってすぐ彼女を壁に追いつめ、俺は左手を壁につけ半ば強引に唇を奪った。
「……課長」
突然のキスに少し驚いたみたいだが、俺の唇を受け入れてくれた。
「ここまできて課長はないだろ……マイ。俺の名前知ってる?」
「……ナオ……ト」
唇が離れた一瞬に俺の名前を呼ぶ。その瞬間、俺の中のスイッチが完全に入った。
最初は明日香ちゃんとの誤解が解けたら飲み会もお開きにしようと思っていた。
もちろん、鈴里さんをお持ち帰りなんて微塵にも考えてもいなかった。でも話をしていくうちに、何故だか彼女に対して好奇心を持ち、もっと彼女を知りたいと思った。
でも、これは恋愛感情とかではない。本当にただの好奇心だと思う。
「余裕のなくなったマイの顔を見てみたい」
「私……もうそんなに余裕ないよ。そう見えない?」
「超余裕そう」
服を着てても分かる彼女のスタイルの良さに思わず魅入ってしまう。ヤバイ、クラクラする。気を抜くと俺の方が先にやられそうだ。
こうして俺達はお互い大人の時間を一晩中楽しんだ。
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