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再会
ストーリー73
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「こちらへどうぞ」
応接室へと入り、静かな空間に緊張しながらソファーへ座る。進藤さんと同じ会社に今居るんだ。そう思うと私は密かにソワソワしてしていた。
そして高瀬さんと貴島さんは資料を見ながら話を進め、意気投合したのか時折談笑しながら話をしている。
「……ということでよろしくお願いします」
高瀬さんは資料を閉じ笑顔で話す。私と貴島さんはソファーから立ち上がり、高瀬さんに一礼して応接室から出た。
会社の外に出ると、私は一旦足を止めてふとビルを見上げた。
「どうかした?」
貴島さんの一言に『何でもないです』とまた歩き出す。ダメだな、まだ進藤さんの事を考えてしまう。ちゃんと前を向かなきゃ。
それから一ヶ月が過ぎた頃、私はある人と偶然再会した。
この日は仕事の用事で外出していて、ちょうど進藤コーポレーションの近くを歩いていた。
何気に真彩さんに『今、進藤コーポレーションの近くにいるよ』とメールしたら、休憩中だったらしく折り返し電話があり、会話を楽しみながら自分の会社に戻っていた。
「よう久しぶり」
聞き覚えのある声に話しかけられ、真彩さんとの会話を一旦やめ、私はその人の顔を見る。
「久しぶりね……義雄」
声をかけてきたのは元彼の義雄だった。正直もう会うこともないと思ってたし、偶然の再会に私は少し睨むように義雄を見た。
「へぇ、少し見ない間に雰囲気変わったな」
義雄はニヤニヤしながら私を見る。
「……私、仕事中だからもう行くわ。じゃあね」
あまり関わりたくなかった私はさっさとその場を離れようとした。
ところが義雄はそうはさせてくれない。
「ちょっと待てよ」
「離して」
この場を離れようとする私の腕をしっかり掴んできた。
「せっかく会ったんだ。少し話をしようぜ」
そう言うと、私の腕を引っ張りながら強引に歩き始めた。
「嫌、離してよ。話すことなんか何もないから」
「前はあんなに仲良くしたじゃないか 。何ならよりを戻してもいいんだぜ?」
「冗談言わないで。誰がアンタなんかと」
相変わらず自己中心的な奴。前の私は何でこんな奴を好きになったんだろう。
「二度と明日香の前に現れるなと忠告したはずだが?」
えっ……この声は……
「し、進藤さん!?」
まさかと思って振り向くと、そこには進藤さんがいた。
何で進藤さんがここに?
進藤さんは私の腕から義雄の手を引き離し、自分の方へ引き寄せる。そして凄い形相で義雄を睨んでいる。
「て、てめぇはあの時の!?」
義雄も進藤さんの事を思い出したのかジリジリと後ずさる。
「さて、俺に殴られるかさっさとこの場から立ち去るか、どっちを選ぶ?」
進藤さんは殴る準備をしながら義雄に近づく。どうしよう、止めた方がいいのかな。
「……チッ」
義雄は舌打ちしながらそそくさと立ち去った。
「大丈夫か?」
「う、うん。でも何で進藤さんがここに?」
私が尋ねると、進藤さんはゆっくり私の前に来て私の手を取る。そして手に持っている私のスマートフォンを取った。
「明日香は無事回収したから大丈夫だ。それと……」
そうか。私、真彩さんとの電話を切らずにずっと通話中のままだったんだ。異変を感じた真彩さんが進藤さんに言ったのかな。
進藤さんは真彩さんと電話で何かを話し、それが終わると私にスマートフォンを返してきた。
「ちょっと付き合え」
進藤さんは私の返事を聞かずに歩き始める。仕事中なんだけどなぁと思いながらも私は進藤さんの後に続いた。
応接室へと入り、静かな空間に緊張しながらソファーへ座る。進藤さんと同じ会社に今居るんだ。そう思うと私は密かにソワソワしてしていた。
そして高瀬さんと貴島さんは資料を見ながら話を進め、意気投合したのか時折談笑しながら話をしている。
「……ということでよろしくお願いします」
高瀬さんは資料を閉じ笑顔で話す。私と貴島さんはソファーから立ち上がり、高瀬さんに一礼して応接室から出た。
会社の外に出ると、私は一旦足を止めてふとビルを見上げた。
「どうかした?」
貴島さんの一言に『何でもないです』とまた歩き出す。ダメだな、まだ進藤さんの事を考えてしまう。ちゃんと前を向かなきゃ。
それから一ヶ月が過ぎた頃、私はある人と偶然再会した。
この日は仕事の用事で外出していて、ちょうど進藤コーポレーションの近くを歩いていた。
何気に真彩さんに『今、進藤コーポレーションの近くにいるよ』とメールしたら、休憩中だったらしく折り返し電話があり、会話を楽しみながら自分の会社に戻っていた。
「よう久しぶり」
聞き覚えのある声に話しかけられ、真彩さんとの会話を一旦やめ、私はその人の顔を見る。
「久しぶりね……義雄」
声をかけてきたのは元彼の義雄だった。正直もう会うこともないと思ってたし、偶然の再会に私は少し睨むように義雄を見た。
「へぇ、少し見ない間に雰囲気変わったな」
義雄はニヤニヤしながら私を見る。
「……私、仕事中だからもう行くわ。じゃあね」
あまり関わりたくなかった私はさっさとその場を離れようとした。
ところが義雄はそうはさせてくれない。
「ちょっと待てよ」
「離して」
この場を離れようとする私の腕をしっかり掴んできた。
「せっかく会ったんだ。少し話をしようぜ」
そう言うと、私の腕を引っ張りながら強引に歩き始めた。
「嫌、離してよ。話すことなんか何もないから」
「前はあんなに仲良くしたじゃないか 。何ならよりを戻してもいいんだぜ?」
「冗談言わないで。誰がアンタなんかと」
相変わらず自己中心的な奴。前の私は何でこんな奴を好きになったんだろう。
「二度と明日香の前に現れるなと忠告したはずだが?」
えっ……この声は……
「し、進藤さん!?」
まさかと思って振り向くと、そこには進藤さんがいた。
何で進藤さんがここに?
進藤さんは私の腕から義雄の手を引き離し、自分の方へ引き寄せる。そして凄い形相で義雄を睨んでいる。
「て、てめぇはあの時の!?」
義雄も進藤さんの事を思い出したのかジリジリと後ずさる。
「さて、俺に殴られるかさっさとこの場から立ち去るか、どっちを選ぶ?」
進藤さんは殴る準備をしながら義雄に近づく。どうしよう、止めた方がいいのかな。
「……チッ」
義雄は舌打ちしながらそそくさと立ち去った。
「大丈夫か?」
「う、うん。でも何で進藤さんがここに?」
私が尋ねると、進藤さんはゆっくり私の前に来て私の手を取る。そして手に持っている私のスマートフォンを取った。
「明日香は無事回収したから大丈夫だ。それと……」
そうか。私、真彩さんとの電話を切らずにずっと通話中のままだったんだ。異変を感じた真彩さんが進藤さんに言ったのかな。
進藤さんは真彩さんと電話で何かを話し、それが終わると私にスマートフォンを返してきた。
「ちょっと付き合え」
進藤さんは私の返事を聞かずに歩き始める。仕事中なんだけどなぁと思いながらも私は進藤さんの後に続いた。
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