ファントムガール ~白銀の守護女神~

草宗

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「第十一話 東京決死線 ~凶魔の右手~」

48章

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「まだだ、サクラ」

 ピンクのストレートを掴んだ凶魔が、無理矢理にエスパー少女の上体を引き起こす。うつ伏せに倒れたサクラの身体が、ほぼ直角に反り返る。胸と下腹部。消え入りそうな点滅の警告音と、壊れたモーターの如き高音を鳴らし続ける瀕死の少女を、まだ残酷な極道は嬲ろうというのか。
 女子高生とは思えぬ色香を漂わせた厚めの唇に、突き出されたものは劣情を放出したばかりの剣魔羅であった。
 
「舐めろ。雌犬のように。ギャラリーどもにファントムガールが奉仕する姿を見せつけろ」

 漆黒の亀頭が半開きになった銀色の口にグイと押し付けられる。ぷっくりと柔らかに膨らんだ唇がぐにゃりと変形するほどに。
 ヴィーン・・・・・・ヴィーン・・・・・・ヴィーン・・・・・・
 ヴィヴィヴィッ・・・ヴィッ、ヴィヴィヴィィッ――ッッ・・・
 瀕死と悦楽を知らせる音色だけを響かせた守護天使は、黙り込んだまま、小刻みに震えるマスクをゆっくりと横に逸らした。
 
「はあァうぅッ?!! ふはあああああッッッ――――んんんッッッ!!!」

 反抗を示した美少女に、容赦のない黒と桃色の光線が浴びせられる。
 絶叫を残したまま大地に卒倒するサクラ。駆け巡る苦痛と快楽に踊らされるがまま、横臥した巨大な銀色の肢体がビクンビクンと仰け反り痙攣する。
 再び髪を鷲掴みにされ、強引に上体を引き起こされたエスパー天使の美貌は、もはや明白な懇願に彩られていた。
 
「あふぅッ・・・ふはァッ・・・・・ああッ・・・も、もォ・・・もうぅ・・・・・・」

「舐めろ。ファントムガール・サクラ」

 繰り返された同じ台詞は、女神の処刑宣告であったか。
 死以上に過酷な光景が、次の瞬間、渋谷を背景に現実となる。
 
 ・・・ペロ・・・・・・ペロ・・・・・・
 
 鼻先に突き出された凶魔の剣魔羅を、美少女の小さな舌が舐め上げる。
 ブルブルと揺れる銀色の身体。積極的とは到底言えぬ、緩慢な舌の動き。それでも確かに、正義の少女は悪魔のイチモツを舐め取っている。暴虐で肉体を破壊され、愉悦の果てに絶頂を迎えて、散々に蹂躙され尽くした天使が、凶魔の足元に平伏し奉仕している。
 誰もが認める。認めねばならぬ。
 ファントムガールが、完全なる敗北を喫した事実を。
 
 ズボオオオオオッッッ・・・!!
 
 不慣れな少女の奉仕に苛立ったように、ゲドゥーは己の男根を一息にサクラの口腔に突き入れた。
 咽喉奥まで一気に貫く槍の肉棒。窒息の苦しみと恥辱のショックとで、女神の瞳から青い光が消え失せる。
 無言のフェラチオ器具と化した銀の美乙女のマスクを、『最凶の右手』がピンクの髪を掴んで激しく前後させる。ぐぼおッ、ぐぼおッとサクラの濡れた唇から陰惨な陵辱音が洩れ流れる。
 やがて、ゆっくりと引き抜かれる長大な剣魔羅。
 湯気を立ち昇らせる漆黒の肉棒と乙女の唇の間に、白く濁った唾液の橋が糸を垂らして架けられる。
 
 バチャアアアッッ!!
 
 凶魔劣情の迸り。弾丸のごとき射出の第一撃は、イマドキ美少女の顔面中央に炸裂した。
 右手がストレートの髪を放す。美貌を白く染めた女神が、スローモーションのごとく前のめりに倒れていく。
 意識のない少女戦士は助けを求めるように前方に右腕を差し出し、そのまま地鳴りを残してアスファルトの地面に沈んでいった。
 
 ドピュッ、ドピュッ、バチャッ、バシャアッ・・・
 
 尽きることない凶魔の射精が、倒れ伏せた桃色天使の背中に降り注ぐ。乙女の美肉の全てが、姦欲の餌食と成り果てたとでも言うのか。小柄な銀色の肢体が、白濁の汚汁に染められていく。
 全ての放出を終えたゲドゥーは、指ひとつ動くことのないサクラの肢体を汚物でも触れるかごとくに蹴り転がした。
 
「終わったか。よく見ておけ。このザーメンまみれの物体が、守護天使ファントムガールの行き着く姿だ」

 濃紺のひとつ眼が天下を睥睨する。声もなく、顔の色もない、渋谷の住人を。死の恐怖に勝るショックに打ちのめされ、思考すら失ってしまった人類たちを。
 そうか。どいつもこいつも感じているようだな。このゲドゥーとサクラとの圧倒的戦力差を。奇跡など起こるはずもないことを。
 そうだ。お前たちが薄々感づいている通り、これからファントムガール・サクラの処刑を執行するのだ。見せしめは十分に済んだからな。なにより二度目の変身とあって、オレ自身がそろそろ遊ぶ余裕がなくなってきた。終わってやろう。どこかでかすかに抱き続けている淡い期待。サクラを殺し、塵ほどに吹き消してくれる。
 じっくりと周囲を見回すゲドゥーの視界に、見覚えのある円筒型のビルの姿が飛び込んでくる。
 シブヤ109―――
 その足元で逃げることを諦め祈り続けていた少女たちのグループが、凶魔のひとつ眼が確実にこちら側に向けられたことを悟って慄然する。
 
「いいものがあるな」

 ムンズとピンクの髪を鷲掴んだ白甲冑の悪魔が、白濁まみれの肢体を引き摺りながら西に向かって歩を進める。
 109に連れて行くつもりか?! 激しい悪寒の予兆に身を震わせる人々を嘲笑うように、脱力した美少女戦士をズルズルと凶魔が引っ張っていく。血と泥と精液の跡が、糸を引いて銀の肢体から流れていく。
 
「・・・ほう」

 突如、ピタリと足を止めたゲドゥーはゆっくりと菱形の頭部を振り返った。
 『最凶の右手』が掴んでいたはずの、桃色の天使がそこにはいない。
 瞳に青色を取り戻したファントムガール・サクラは、ゲドゥーの背後でファイティング・ポーズを取った姿勢で立ち上がっていた。
 
「はあァッ、はあッッ、はあッッ、はあッッ!!」

「なるほど。そういうわけか」

 激しく肩を上下させる少女に掛けられた極道者の言葉は、どこか感嘆の響きにも似て聞こえた。
 テレポートで逃れた、程度のことは右手に掛かる負荷が消滅した瞬間に悟っていた。今、ゲドゥーが知る、サクラの真実。エスパー天使の本当の戦術は、サクラの身に現れた変化が教えてくれていた。
 超能力戦士の右腕は、闇よりも濃い漆黒によって塗り潰されていた。
 
「しぶとさだけは眼を見張るファントムガールにしては、やけにあっさり屈したと思ったのだ。命乞いもフェラチオも、全ては逆転の一撃に賭けてのことか」

「・・・あなた・・・に・・・・・・勝つ・・・にはァ・・・はあッ、はあッ・・・・・・コレしか、ない・・・からァ・・・・・・はァッ、はッ・・・・・・踏み躙られるだけェ・・・踏み躙られよう、ってェ・・・・・・思った・・・」

 敵を憎めないのなら。
 必殺の光線をどうしても出す気になれない、というのなら。
 憎めるようになるまで、心身ともボロボロに擦り切れるまで捧げる。蹂躙される。嬲られる。己の身を犠牲に差し出すことでしか、サクラには本当の殺意を抱く方法が思いつかなかったのだ。
 
 『あなた自身が幸せになっても、いいのよ』
 
 春の木漏れ日のようにあたたかな、美しい令嬢の言葉が蘇る。
 里美さん、あたしにはやっぱァ・・・こういうやり方しか、浮かばなかったよォ・・・
 
「・・・『デス』ッッッ!!!」

 ドンンンンンッッッ!!!
 
 飛ぶ。暗黒色で出来た、右腕の形をした光線が。
 超能力で心臓を握り潰す、ファントムガール・サクラ文字通りの必殺技。発動することすらままならなかった光線を、煉獄の苦悶と悲愴なまでの恥辱とを引き換えに少女戦士は得たのだ。
 だが―――
 
 ゴオオオオオウウウウッッッ!!!
 
「無駄だ」

 『最凶の右手』がサイコの右腕光線を迎え撃つ。
 闇と暗黒が激突した瞬間、サクラが全てと引き換えに創り出した「デス」は、漆黒の霞と化して深夜の渋谷に溶けていった。
 
「・・・・・・そ・・・・・・んなァ・・・・・・」

 どしゃああッッ・・・
 なにかが大地に崩れ落ちる響きが、夜の首都を揺るがす。
 それが己の両膝だと気付くより早く、凶魔の冷酷な宣告がサクラの耳朶を叩いた。
 
「最期の時間だ。死ね、ファントムガール・サクラ」

 闇よりも濃い紺色のひとつ眼が、跪いた桃色の少女戦士を睥睨する。
 その『最凶の右手』に凝縮されていく漆黒。聖少女にとって最悪の、破滅を呼ぶ闇エネルギーが刻一刻と濃度を増して集結していく。
 
「あァ・・・ああァァ~~・・・・・・アアァ・・・」

 地鳴りが響く。腰砕けとなってアスファルトの道路に尻餅をついたエスパー天使が、じりじりと脅えを隠しもしないで擦り下がっていく。洩れ出た呻き声には、懇願にも似た含みが隠されていた。圧倒的な恐怖と猛烈な死の臭いが、希望を絶たれた孤独な少女を押し潰そうとしている。
 身体能力も正邪のエネルギーも遠く及ばぬゲドゥーを相手に、サクラが勝利するには「デス」に賭けるしかなかった。その必殺技を破られた今、少女戦士に残された手段はない。
 映像では漆黒の腕の形をとるものの、思念そのもので創られた「デス」は本来触れることのできるシロモノではない。他を超越した闇の持ち主ゲドゥーであってもそれは同じだ。「デス」を消滅させることなど物理的に有り得ない事態なのだ。
 それが掻き消された、ということは「デス」は完成していなかった、という意味になる。
 瀕死に陥るまで肉体を破壊され、屈辱に狂ってしまいそうなほど陵辱に身を捧げたというのに・・・それでもサクラは「デス」を創れなかった。敵を憎めなかったのだ。恐らく命を絶たれても、ゲドゥーを心底から憎むことなどできないのだろう。
 己の命を差し出してすら「デス」を創れなかったサクラは、もはや残酷な処刑を待ち受ける哀れな犠牲者でしかなかった。
 
「ああァ・・・や、やめェ・・・・・・アア・アァ・・・・・・」

 暗黒に染まった凶魔の右手が、尻ごむ少女戦士にゆっくりと向けられていく。いつ発射されるともわからぬ破滅の闇光線。その照準が己の胸中央に定められていることを悟り、ピンクのグローブを嵌めた両手が懸命に胸の水晶をガードする。
 次にゲドゥー渾身の光線を浴びれば、もはやクリスタルは耐えることはできまい。
 いや、わざわざ肉体の破滅を想像するまでなかった。極大の魔光線の苦しみは、サクラの肉体に細胞レベルから刷り込まれている。すでに恐怖は少女の芯にどっかりと根付いてしまっていた。
 掌を大きく広げた両腕が必死に胸の前で踊る。イヤイヤと言わんばかりに。恐怖に駆られたエスパー少女を、冷酷なひとつ目の死神は無言で見下ろし続けている。
 暗黒の魔光が放たれた瞬間、凶魔の右腕はわずかに下に向けられた。
 胸の弱点をガードするサクラを嘲笑うように、殲滅の死光線は戦乙女の柔らかな腹部に着弾した。
 
「うああああァァあううゥゥッッ―――ッッッ!!! アアアッッ、アアッッ!!!」

 立ち昇る黒煙と蛋白質の焦げる悪臭。転げ悶える天使の悲鳴が、絶望の街に轟き渡る。
 銀の皮膚を爆発させた少女の腹部は、赤黒く焼け爛れた内肉をさらけ出してしまっていた。可憐な声を苦悶に歪ませ、お腹を押さえたままのサクラがアスファルトの大地を転がり回る。
 何の感情も示さぬ凶魔の右手は、這いずる聖天使に再び照準を合わせた。
 引き攣る悲鳴がサクラの歪んだ唇から洩れる。胸とお腹を抱えた桃色天使は、反射的に亀のように丸まった。
 嬲り殺す意図を明確に示した暗黒光線は、隠しきれないサクラの頭部、愛くるしい美貌の中央に照射された。
 
「きゃあああああアアァァううううッッッ――――ッッッ!!!」

 顔面を両手で抑えた美少女が、丸まった体勢から一気に仰け反る。背骨が折れてしまいそうなまでに反り上がる。後頭部と爪先だけで支えた弓なりの肢体がビクビクと痙攣を続ける。
 やがて二度大きく全身を振るわせたピンク色の守護天使は、糸の切れた人形のごとく崩壊寸前の肉体を大地に崩れさせた。
 どこか蕾を思わす肢体を鮮血と汚濁と黒煤で汚した可憐なる巨大少女。
 美乙女の胸で奏でられる消え入りそうな点滅音と、下腹部で鳴るサイレンの音色だけが、まだファントムガール・サクラにわずかな生命が残されていることを教えていた。
 
「もはや全力で撃つまでもないか」

 ゲドゥーの独り言はサクラの耳に届いていそうもなかった。
 戯れに放つ闇光線のみで、超能力戦士の命が確実に削がれていくのがわかる。未だゲドゥーはサクラに対して本気の一撃を浴びせてはいなかった。『エデン』を保持する者の闘いでは、名を付けることで光線技は威力を増す。ファントムガール・ナナを事実上戦闘不能に追い込んだファントム破壊光線・・・露骨な名称のそれを瀕死のサクラに浴びせれば、驚異的な生命力を誇る守護天使とて終焉は免れ得まい。
 大の字で横たわる桃色の美乙女。胸の中央でかすかな輝きを残すクリスタル。
 三度向けられた漆黒の右腕が、今度こそ生命の象徴に照準を合わせる。
 
 絶望的なまでの戦力差。
 逆転を賭けた『デス』を発動すらできぬ無力。
 一縷の希望もない暗闇の底で、サクラは惨めな己を噛み締めながら最期の瞬間を覚悟した。
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