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7 取り巻き令嬢の憂鬱
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その日も私達は、カトリーヌ モルガン成金娘に嫌がらせをする為、朝早くから学園に来ていました。
私の名前は ララ グレン(16歳)
ペトラ様の取り巻きで伯爵令嬢です。
そして、私の親友。クレア ウィンガム(16歳)
彼女も私と同じペトラ様の取り巻きで伯爵令嬢です。
私達二人は領地も近く、小さい時からのお友達で、スカーリン侯爵家の派閥に属しています。
そんな私達は自然と小さな頃からペトラ様の取り巻きになっていました。
ペトラ様の気持ちを先回りして、彼女の望みを叶えてゆきます。
最近はもっぱら、カトリーヌ モルガン成金娘に対する嫌がらせです。
ペトラ様の機嫌を取るため、今日も朝早くから学園に来ていました。
「ねぇ、今日はどうする?」
クレアに訪ねます。
「あのね、侍女に教えてもらってこんな物を用意して来たんだけれど、成金娘の机の中に入れておくのはどうかしら?」
そう言って、クレアが手提げから取り出したのは、何の血かは解らないけれど、血まみれのハンカチでした。
クレアも物凄く嫌そうに顔色を変えて、そのハンカチを出して来ましたが、それを見た私もきっと顔が引き攣っていると思います。
「すごいわね、きっと悲鳴ものよ。」
「成金娘、気を失って倒れるかもしれないわね。」
クスクスと二人で囁きながら、笑いあいます。
誰も来ないうちに彼女の机の中に血まみれのハンカチをいれました。
さぁ、成金娘はどんな顔をするかしら?
しばらくすると、いつものようにエリオス様と二人揃って、教室の中に成金娘が入って来ました。
今日の授業の準備の為、カバンから文具や教科書を出して、机の中に入れようと 引き出しを開けた瞬間、彼女の喉の奥から 引き絞るような悲鳴が漏れました。
青い顔をしてガタガタと振るえる彼女の元にエリオス様が慌てて駆け寄り、血まみれのハンカチを見つけて顔をしかめます。
エリオス様は、成金娘の護衛を呼び、他に変な物が入っていないか調べさせました。
エリオス様は、自分の席に成金娘を座らせて、心配そうに彼女の頬に手を添えて、話しかけています。
そっと、ペトラ様の方を伺うと、怒り狂った魔獣のような顔をして、成金娘を睨みつけていました。
不味いわ、この作戦は失敗だったかもしれません。
私とクレアは寄り添い、ペトラ様の喚起に当たらないよう、教室の隅っこで手を取り合って震えていました。
エリオス様と成金娘の婚約が発表されてから、クレアと二人で色々と嫌がらせをしてきましたけれど、二人の距離は離れるどころか増々近づくばかりです。
それに、ペトラ様の機嫌はどんどん悪くなる一方で、もうこんな事止めたいと思っても、中々止めるタイミングがわかりません。
さっきから エリオス様と成金娘のやり取りを見て、どんどん機嫌を悪くしているペトラ様の方を怖くて見れません。
成金娘の机に血まみれのハンカチの他に入っている物が無い事を確認して、先生も教室にやって来たので、一時間目が始まりました。
成金娘を心配したエリオス様が、成金娘の隣に席を変えてもらって、ピッタリと寄り添うように座りました。
ペトラ様はもう血管が切れるんじゃないかしらと思うくらい怒っていらっしゃいます。
私達は一体いつまでこんな事を続けないといけないのかしら?
ペトラ様も そろそろエリオス様の事は諦めた方が良いと思うのだけれど、それだけは口が裂けても言えません。
でも、いくらエリオス様を想っても、彼はもう成金娘と婚約してしまったし、1年も思い続けても、全く脈が無いような気がしますし、私達も、もし、成金娘に嫌がらせをしているのが自分達だとバレたら、自分達の婚約者に愛想を尽かされてしまうかもしれません。
そう思うと、いつまでもこんな事を続けていてはいけないと思うのだけれど…
スカーリン家の庇護下にある私達の家は ペトラ様に逆らう事は許されません。
まったく、頭の痛い問題ですわ。
そう思いながら、今日も私達は次の嫌がらせを何にするか、二人で相談しているのでした。
私の名前は ララ グレン(16歳)
ペトラ様の取り巻きで伯爵令嬢です。
そして、私の親友。クレア ウィンガム(16歳)
彼女も私と同じペトラ様の取り巻きで伯爵令嬢です。
私達二人は領地も近く、小さい時からのお友達で、スカーリン侯爵家の派閥に属しています。
そんな私達は自然と小さな頃からペトラ様の取り巻きになっていました。
ペトラ様の気持ちを先回りして、彼女の望みを叶えてゆきます。
最近はもっぱら、カトリーヌ モルガン成金娘に対する嫌がらせです。
ペトラ様の機嫌を取るため、今日も朝早くから学園に来ていました。
「ねぇ、今日はどうする?」
クレアに訪ねます。
「あのね、侍女に教えてもらってこんな物を用意して来たんだけれど、成金娘の机の中に入れておくのはどうかしら?」
そう言って、クレアが手提げから取り出したのは、何の血かは解らないけれど、血まみれのハンカチでした。
クレアも物凄く嫌そうに顔色を変えて、そのハンカチを出して来ましたが、それを見た私もきっと顔が引き攣っていると思います。
「すごいわね、きっと悲鳴ものよ。」
「成金娘、気を失って倒れるかもしれないわね。」
クスクスと二人で囁きながら、笑いあいます。
誰も来ないうちに彼女の机の中に血まみれのハンカチをいれました。
さぁ、成金娘はどんな顔をするかしら?
しばらくすると、いつものようにエリオス様と二人揃って、教室の中に成金娘が入って来ました。
今日の授業の準備の為、カバンから文具や教科書を出して、机の中に入れようと 引き出しを開けた瞬間、彼女の喉の奥から 引き絞るような悲鳴が漏れました。
青い顔をしてガタガタと振るえる彼女の元にエリオス様が慌てて駆け寄り、血まみれのハンカチを見つけて顔をしかめます。
エリオス様は、成金娘の護衛を呼び、他に変な物が入っていないか調べさせました。
エリオス様は、自分の席に成金娘を座らせて、心配そうに彼女の頬に手を添えて、話しかけています。
そっと、ペトラ様の方を伺うと、怒り狂った魔獣のような顔をして、成金娘を睨みつけていました。
不味いわ、この作戦は失敗だったかもしれません。
私とクレアは寄り添い、ペトラ様の喚起に当たらないよう、教室の隅っこで手を取り合って震えていました。
エリオス様と成金娘の婚約が発表されてから、クレアと二人で色々と嫌がらせをしてきましたけれど、二人の距離は離れるどころか増々近づくばかりです。
それに、ペトラ様の機嫌はどんどん悪くなる一方で、もうこんな事止めたいと思っても、中々止めるタイミングがわかりません。
さっきから エリオス様と成金娘のやり取りを見て、どんどん機嫌を悪くしているペトラ様の方を怖くて見れません。
成金娘の机に血まみれのハンカチの他に入っている物が無い事を確認して、先生も教室にやって来たので、一時間目が始まりました。
成金娘を心配したエリオス様が、成金娘の隣に席を変えてもらって、ピッタリと寄り添うように座りました。
ペトラ様はもう血管が切れるんじゃないかしらと思うくらい怒っていらっしゃいます。
私達は一体いつまでこんな事を続けないといけないのかしら?
ペトラ様も そろそろエリオス様の事は諦めた方が良いと思うのだけれど、それだけは口が裂けても言えません。
でも、いくらエリオス様を想っても、彼はもう成金娘と婚約してしまったし、1年も思い続けても、全く脈が無いような気がしますし、私達も、もし、成金娘に嫌がらせをしているのが自分達だとバレたら、自分達の婚約者に愛想を尽かされてしまうかもしれません。
そう思うと、いつまでもこんな事を続けていてはいけないと思うのだけれど…
スカーリン家の庇護下にある私達の家は ペトラ様に逆らう事は許されません。
まったく、頭の痛い問題ですわ。
そう思いながら、今日も私達は次の嫌がらせを何にするか、二人で相談しているのでした。
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