転生したら竜王様の番になりました

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竜王様の【番】

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その日は朝から お弁当と、おもちゃを持って、父様と、弟のユーリと、王宮の父様の仕事場にお邪魔していました。
朝から、母様が悪阻で苦しんでいて、少しでも楽をしてもらおうと、父様は 私達を、父様の仕事場に連れて行く事にしたのです。
母様は 現在 妊娠3ヶ月で、まだまだ安定期には程遠く、日々 悪阻に苦しんでいました。
母様が少しでも、休めるように、私とユーリは、父様と一緒に 王宮にやって来ました。
母様のお腹には、今、私とユーリの弟がいるのです。
何故 弟とわかるのかというと、この世界には、魔力があって、その流れを読む事で、自分の身体の状態や、お腹の子の状態、性別、成育状況など、色々な事が自分でわかるそうです。
でも 父様が言うには、そんな事が出来るのは、魔力が高い母様だから出来る事で、普通は、ちゃんとお医者様に診てもらって わかる事らしいです。
ちなみに、治癒魔法が出来るなら、自分に「ヒール」をかけて、悪阻を無くす事も出来るそうですが、あいにく母様は、攻撃魔法、結界魔法が得意分野で、「ヒール」は苦手だそうです。
母様の魔力が高いのは、母様は遠いけれど、エルフの血を引いているそうで、その影響か とっても若く見えますが、実は竜王様と同い年で、幼馴染なんだそうです。
普段は 王宮魔導師として働いていて、6年前、王宮で人間の父様に一目惚れして、猛アタックの末 父様にお婿さんに来てもらったそうです。
父様は、王都から1時間程行った、スレイド領にある、ローマと言う町の町長の3男で、昔から頭が良く、王宮の官吏になる為の試験に、17才で一発合格した天才で、現在は 王宮の経理部で事務官として働いているのです。
と、言うわけで、私達は王宮の門を潜り、東棟にある事務室の更に奥、事務官達が、休憩や、仮眠を取る為に用意されている部屋の隅に、柔らかい敷物を敷いて、遊び場を作ってもらい、おもちゃや、絵本を並べて、弟と2人 大人しく遊んでいました。
昼の休憩時には、家から持参したお弁当を広げ、父様や他の事務官の方達と一緒にお昼ご飯を食べて、お腹が一杯になったユーリと私は、眠くなって、そのまま2人寄り添って、お昼寝をしていました。そうして しばらく眠っていると、なんだか 魔力の圧のようなものを感じて、私は目が覚めました。

ぼんやりと、大きな魔力が近づいて来る扉の方を見ていると、外が急にザワザワと騒がしくなって来ました。
「お待ち下さい!陛下!ーーーーー陛下!!!」
父様の叫び声?
そう思っていたら、突然ばーーーん!!と大きな音を立てて、扉が開きました。
そこには、長い青銀の髪を振り乱し、薄い水色の瞳を大きく見開き、私をじっと見つめる、恐ろしいほど美しい容姿の男性がこちらに向かって近付いて来ました。
その男は、ハァハァと息を荒らげながら、私の方に向かって手を伸ばします。
怖い!怖い!怖い!
私は、その男から目をそらす事も出来ず、あまりの恐怖に思考は停止し、ガタガタと、身体の震えが止まりません。
私は、一緒に眠っていたユーリを抱き寄せ、ギュッと抱きしめて、男の威圧に負けないよう、睨み返しました。
父様が男の後から
「陛下!私の子供達に何をするつもりですか!」
恐ろしいほどの膨大な魔力の威圧に、顔を青くして、それでも父様は私達を守ろうと、必死で男に縋りつき、私達に近付けまいと、頑張っています。
(陛下?陛下って王様の事だよね?この変質者が竜王様なの?)
それでもなお、私を捉えようとする男を睨みながら、私はユーリをしっかりと腕の中に抱きしめて、部屋の隅にくっついて、少しでも男から離れようとしていました。
「離せロベルト!この子は私の【番】だ!間違いない!」
そう言いながら縋り付く父様を引き剥がそうと身体を捻っている王様らしき男、その男の言葉に、心底呆れたように、
「はぁ?何言ってるんですか、まだ子供ですよ!」
父様が言い返す。
「子供でも何でも構わん!この子は私の物だ!」
そう言って、なおもこちらに近付こうとする王様らしき男に、私は恐怖で引き攣って声も出ません。
「陛下の物じゃありません!私の娘です!」
王様と私の間に立ちふさがり、父様が反論する。
そこに、わらわらと兵士や、王様の側近達が入って来て、休憩室の中は、男の人で一杯になってしまいます。
(怖いよ!!)
もう、恐怖しか感じない。
私はとうとう感情を抑える事が出来ず、ユーリを抱きしめたまま、
「父様 怖いーーーー!!!」
そう叫んで、内にこもっていた魔力を暴発させました。
休憩室に私の魔力が溢れて竜巻を起こします。
竜巻の中心でギャン泣きしながらユーリを抱きしめる私。
私の腕の中で目覚めたユーリも私と声を揃えるように、ギャン泣きして、魔力を暴走させてゆきます。
小さな子供達に力の限り泣き叫ばれ、魔力暴走による竜巻を起こされ、部屋の中はもうメチャメチャです。
私達のギャン泣きに動けなくなった王様のスキをついて、父様が私達2人をまとめて抱っこしてくれました。
「ミラ、ユーリもう大丈夫だよ。落ち着いて、ミラ、ミラ、もう大丈夫、大丈夫だから。」
そう言いながら、私達をしっかりと抱きしめてくれます。
父様の腕に抱かれ、父様の匂いに包まれて、私はやっと少し落ち着く事が出来ました。
2人して、しっかりと、父様にしがみついて、守ってもらいます。
やがて、魔力の暴走も止んで、竜巻も消え、後にはシッチャカメッチャカになった部屋に大の男が何人も、頭や腕を押さえてうずくまっています。
怪我をさせてしまったようです。ごめんなさい···
父様の腕の中からそっと横目で王様を伺うと、今にも泣きそうに眉毛を八の字に下げて、こちらを見ています。
ビクッとして、私はすぐに、父様の胸に顔を埋めました。
王様だろうと、何だろうと、怖いものは怖いのです。
王様の顔を見て、又、涙が大量に流れ出します。
やっと魔力が少し落ち着いたのに、怖いからこっちを見ないでほしい。
そう思いながら、父様にしがみつき、その胸に顔を擦り付けると、父様がなだめるようにヨシヨシと背中を撫でてくれます。
「とにかく 陛下は今すぐこの部屋から出てください。子供達が怯えています。」
父様がそう言うと、側近達が王様の両脇に手を添えて、
「さぁ陛下、取り敢えず一旦外に出ましょう。」
そう言って、王様をなだめながら、一旦外へ出て行ってくれました。
でも、扉の外にはまだ 王様の魔力を感じます。
「父様 怖いよ。早くお家に帰りたいです。」
そう 父様に訴えると、父様は 早退して、私達を家に連れて帰ってくれました。
部屋をメチャメチャにしてしまった事を謝って、私達は足早に、王宮を後にしました。
事務官の皆様はとっても疲れた顔をしていたけれど、後は任せなさいと言って、私達を送り出してくれました。
本当にありがたいです。
定時よりも早く帰宅した私達に驚いた母様は、事情を聞いて、
「へっ?」と、更に素っ頓狂な声をあげました。
そして、1つ大きな深呼吸をして、私とユーリを抱きしめ、「怖かったね」そう言って、私達の背中を撫でてくれました。
身体中から 強張っていた物がスルスルと抜けてゆき、やっと安心することが出来ました。
その夜は何だか昼間の事を思い出して興奮してしまい、目が冴えて、なかなか眠れなかった私は、枕を抱えて、ユーリの部屋へ行き、ユーリの布団に潜り込んで、ユーリの温もりに癒やされながら、やっと眠る事が出来ました。
私は心の中で、もう2度と王宮には行かない!
そう固く、かたーーーく心に誓ったのです。
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