転生したら竜王様の番になりました

nao

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竜心

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目が覚めると、私は、執務室のソファーに寝かされていた。

私は、一体?

身体がだるい···

そうだ。先程、私の膝の上で眠ってしまったミラを、

「部屋にお連れしましょう。」

と、私に手を伸ばしたマーサを突き飛ばし、周りに威圧を飛ばして、ミラを囲い込んだ事を思い出した。

そうだ!ミラは?

「ミラ!」

「王様、目、覚めた?」

私のすぐ隣で、ミラが私の事を覗き込んでいた。

「ミラ·····」

私は、急いでミラを抱き締める。

「王様、大丈夫?どっか苦しい所はない?先生が王様にお薬を飲ませてくれたんだけど、覚えてる?頭とか痛くない?」

私を気遣う言葉を次々とかけてくれる。

「あぁ、大丈夫だ。ミラ。心配かけてすまない。」

そして、マーサの事を思い出す。

「そうだ、マーサは?私は彼女になんて事を·····」

「マーサは大丈夫だよ。ちょっとびっくりしてたけど、怪我も無いし、もう元気に仕事に戻ってるから。」

「そうか·····良かった。後できちんと謝らなければ·····」

「良かった。王様、もう大丈夫そうだね。昨夜はちょっと寝苦しくて、私達、2人共、寝不足気味だったから。先生が美味しい物でも食べて、ゆっくり眠りなさいって、カーシル様も、今日はもうお仕事お休みでいいからって言ってくれたから」

「そうか、皆に心配かけたんだな···」

そうして、少し落ち込んでいると、ミラが、真剣な顔をして、私に話しかけて来た。

「あのね王様、私に王様の竜心を下さい。」

そう言って、私の手を強く握った。

「えっ?!いや···ミラ、それは、君にはまだ早い。せめて、後5年、それでもまだ早いくらいだ。私はミラを危険な目に会わせる気は無い。」

ミラは、私の目を真っ直ぐに見つめて、言葉を重ねた。

「あのね王様、私、もうこれ以上王様が苦しむのは見たくないよ。私は毎日、王様と笑っていたいの。こんな風に1人苦しむ王様は嫌なの。」

「でも、竜心を受け入れてしまえば、ミラは一気に大人になる事になる。ミラの成長していく姿を見れなくなるのは、ロベルトとハンナも、辛いだろう。それに、竜心を受けると、大変な激痛に苦しむ事になる、私はミラにどんな苦痛も与えたくないんだ。」

「王様···父様と母様には、私からちゃんと説明をします。2人共、わかってくれると思うの。父様も母様も何時だって、私の気持ちを一番に考えてくれるし、私がそうしたいんだよ。王様、身も心も王様と1つになりたいって本気で思っているの。だからちょっと位苦しくてもへーきなの、私が、王様を世界一幸せにしてあげるから、王様の竜心を私に下さい。」

「ミラの気持ちはとても嬉しい。でも、もしミラに何かあったらと思うと、私は恐ろしくてたまらないんだ。」

ミラを抱き締める。
涙が溢れて止まらなくなる。

「ミラ、愛してる。私の命よりも、何よりも、ミラを一番愛してる。」

「王様、泣き虫だなぁ···」

そう言いながら、ミラが私の背中に手を回し、ポンポンと叩きながら、慰めてくれる。

「王様、私はこれからもずっと、王様の側で、王様に囲われて暮らしたいの。毎日笑って、時にはつまらない事でケンカして、これから先の未来もずっと、幸せに暮らすつもりなの。」

ミラが私の目を真っ直ぐに見ながら、そう言ってくれる。

あぁ···幸せだ。

今迄、生きて来て、こんなに幸せを感じた事があっただろうか?

「ミラ、ありがとう。愛してる。ミラの全てを私に。私の全てをミラにもらってほしい。」

ミラ。

私の【番】。

私の運命。

私は、いつまでも、ミラを抱き締めていた。


◇ ◇ ◇


王様に、竜心を下さいって、告白しました。

私の一世一代の告白に、王様は、ずっと泣いていました。
相変わらず、泣き虫な王様です。

父様と、母様にもちゃんと説明して、なんとか納得してもらいました。
父様は、まだ少しぐずっていたけれど、母様が、

「恋は激しく燃え上がる物、もうお互いしか見えないのねェ。」

なんて、乙女のように、ちょっと感動してました。

そして

「2人の幸せの為よ!」

と、言って、父様を説得してくれました。
ありがとう母様。

それから、善は急げと言う事で、次の日の夜、私は、王様の竜心を受ける事になりました。

王様は、首の左下の部分にある、小さなウロコの一枚を丁寧にはずし、私にうやうやしく、渡してくれました。
私は大切にそのウロコを両手に包み込みました。

苦しんでいる所を、王様に見せたくないので、部屋には1人で籠もる事にしました。
王様は、物凄く反対したけれど、こればっかりは私も絶対に譲れません。
部屋の扉に鍵をかけて、明日の朝、様子を見に来てもらうように、母様に鍵を渡しました。

「絶対、王様に渡さないでね。」

そう言って、念を押します。

心配そうにする王様に、大丈夫だからと言って、私はしっかりと竜心を握りしめて、部屋に引きこもり、しっかりと母様に鍵をかけてもらいました。

王様から受け取った竜心は、キラキラ輝く青銀色で、小さな私の手のひらの上に、ちょこんと乗っています。

これくらいの大きさなら、私にも楽に飲み込めそう。
そう思いながら、私はサイドテーブルに置いてくれてある、リンゴジュースに手を伸ばしました。
小さな私が、少しでも飲みやすいようにと、マーサが私の大好きなリンゴジュースを用意してくれました。

「ありがとう、マーサ。」

そう呟いて、私は一気に、リンゴジュースで、竜心を飲み干しました。
カラになったコップをサイドテーブルにもどして、それから、慌てて服を脱いで、裸になって、ベッドの中に潜り込みました。

しばらくすると、心臓がドクン!ドクン!と、激しく脈打ち、身体中がミシミシと膨れ上がってゆくような感覚がして、それと同時に激しい痛みが私を襲いました。

痛い!

痛い!

痛い!

もう、それしか考えられない。
痛い!ただ ひたすら痛い!
どうしようもないくらい痛い!
この痛みは一体いつまで続くのか?

布団の中で丸くなって、自分の身体を抱き締め、痛みに う~~~~~っとうめき声を上げながら、堪えます。
陣痛ってこんな感じなのかな?

社長の奥様に刺された時は、ここまで痛く無かったような気がする。
すぐに死んじゃったからあんまり痛みを感じる暇が無かったのかな?

痛い!

痛い!

痛い!

どのくらい痛みに耐えていたのかな?
ある瞬間からふっと、痛みが消えました。
代わりに、心の中がドンドンと暖かいもので満たされてゆく感じがします。
王様の気持ちを全て理解したような、王様の意識と、私の意識が溶け合うような、私の胸の中が、王様の愛で一杯になって、溢れてきます。
フワフワと、幸せな気持ちに包まれて、私はそのまま、眠ってしまいました。


◇ ◇ ◇


「ミラ·····ミラ·····」

誰かが私を呼んでいます。

王様?

私はゆっくりと、覚醒していきます。

目の前に、とても心配そうな顔をした王様がいました。

あぁ···前にもこんな事あったなぁ~

ぼんやりとした頭で考えます。

「王様、おはよう。」

そう言って、私は王様に、いつものように手を伸ばしました。

「あれ?!」

スラリと細くて、白い長い腕が見えます。
だんだん頭がハッキリしてきます。
私、本当に大きくなったんだわ···
半身を起こして、自分の手を見ます。
ちゃんと、大人の手だわ。
そして、自分が裸でいる事に気が付きました。

「イヤーーーッ!!!」

私は慌てて布団の中に戻って、身体を隠します。

「ミラ、落ち着いて。大丈夫だから。」

頭の上から、王様の声が聞こえて来ます。

私は、布団の中から、半分だけ顔を出して、

「見た?」

「えっ?!」

「私の裸 見た?」

「あーーー  少し···」

「サイアクーーー」

あー、恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。

布団の中で悶えていると、王様が布団越し、私を抱き締めます。

「ミラ、ありがとう。」

王様の気持ちが私の中に流れ込んで来ます。

愛しい、可愛い、ありがとう、嬉しい、幸せ。

王様の気持ちが暖かくて、何だか私も、とっても嬉しくなります。

「さぁ、さぁ、王様、少し席を外してください。さぁ、ミラ様、先ずは湯浴みをして、きちんと身支度を整えましょう。」

そう言って、パンパンと、手を叩きながら、マーサが、母様と共に、部屋に入って来ました。

私は、王様に あっちのリビングで待っててもらうように言って、湯浴みに向かいました。

ゆったりと、お湯に浸かり、改めて、自分の身体をじっくり見ます。

「私、本当に大きくなったのね。」

ポツリと独り言が出てしまいました。

「はい。ミラ様、とってもお綺麗に成長なさいました。短かった髪もすっかり元通りになられて、いえ、元通り以上ですわ。陛下の色を纏って、本当にお綺麗になられました。」

そう言って、マーサが褒めてくれる。

「うん、前はピンクっぽい銀紫だったのに、今は青味がかっているものね。何だか、ちょっと光ってる気がするし···」

「あら!ミラ、実際光ってるわよ。魔力がぐっと増えてるし、器が大きくなったから、魔力も安定していて、身の内から光が溢れているわよ。」

母様が、ニコニコと解説をしてくれる。

「【番】って凄いのね。いや、この場合は王様が、凄いのかしら?」

「さぁ、そろそろ上がりましょうか、皆様お待ちかねでしょうから。」

「えぇ、あまり お待たせしたら、陛下が心配して、ここに突撃してきそうですものね。」

くすくすと3人で笑いながら湯殿を出ました。


◇ ◇ ◇ 


さて、これはいったい誰でしょう?

鑑の中から、とびっきりの美女が、こちらを見ています。

腰を覆う程に伸びた真っ直ぐでサラサラの青味がかった淡い銀紫の髪、アクアマリンのような美しい水色の瞳は長い睫毛に縁取られ、影を落とし、うっすらとバラ色に染まる頬、ぷっくりと赤いサクランボの唇、白磁のように滑らかな肌、豊かな胸に、折れそうな程細いウエスト、スラリと長い手足。

そこには、傾国の美女がおりました。

湯浴みを終え、まだ慣れていないので、コルセットのないゆったりとしたドレスを身に着けて、王様達の待つ部屋に向かいました。

部屋にいた皆が、ポカーンと、口を開けて私に見惚れています。

「そんなに見られると、恥ずかしいです。」

そう言って、王様の元へ向かいました。

「どうですか?王様。私、凄い美人になったでしょう?」

私の身長は、王様の顎の辺りまで大きくなりました。
王様の顔が、ちょっと近くて照れてしまいます。

「あぁ、ミラ素敵だ、とても綺麗だよ。」

そう言って、王様は私を抱き締めてくれました。

「王様? 又 泣いてるの?」

「嬉しいんだ。」

私の肩が、王様の涙で濡れます。

「うん、私も、物凄く嬉しいよ、王様、これからも宜しくね。」

私もしっかりと王様を抱き締め返しました。



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