転生したら竜王様の番になりました

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ロベルト君とハンナ様[前編]

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~これは、まだ ロベルト君が、20才の頃のお話~


「ロベルトく~~~ん」

あぁ···又か···


「今日は どう言ったご用件でしょうか?スミス伯爵様」

「もー そんな堅苦しい呼び方は止めてって言ってるでしょ。ハンナって呼んで?」

「まさか。伯爵様を、平民の私ごときが、そのように気軽に呼べるはずもございません。」

そー言って、名前呼びをお断りする。

「で···今日はどうされたのですか?」

まぁ、今日も又、魔法陣の計算についてだと思うけれど、一応 聞いてみる。

「そうそう、新しい魔法陣を描いたんだけど、計算が合わないのか、うまく起動しないのよねぇ。計算に間違いが無いか探してほしいの。」

そう言って、魔法陣の描かれた大きな紙を、カウンターに広げた。

「わかりました。この大きさだと、今すぐには無理なので、確認に一日いただけますか?調べておきます。」

「ありがとう。よろしくネ。
······で、私の事、考えてくれた?」

「いえ、そもそも 私のような平民が、あなた様と 結婚出来るはずもございません。無理だと、何度も申し上げたはずですが···」

「そんな事聞いてるんじゃ無いのよ。あなたが、私を 好きか、嫌いかを聞いてるの!」

「申し訳ありませんが、どちらも 恐れ多くて お答え出来ません。あなた様は、古くから名を馳せる名門 伯爵家の御当主様でございます。」

「そんなの気にしないでいいのよ?」

コテンと首を傾げて、こちらをじっと見る。
クソッ!カワイイ!

「私には過分な事、この上ありません。どうか、ご容赦下さい。こちらの計算はきちんとしておきます。出来ましたら、第2魔導師団にお届けしますので、では、仕事がありますから、失礼致します。」

「そう?お茶を用意して待ってるわ。」

「いいえ、お茶は結構です。魔法陣をお渡ししたら、すぐに お暇いたします。」

「あら! 直接、説明してもらわないと、わからないもの。明日、待ってるわね。」

そう言って、ヒラヒラと手を振って、彼女は執務室を出て行った。

「はぁ~~~~。」

第2魔導師団の経理課に配属されて、そろそろ2ヶ月、僕は ほぼ毎日、女伯爵である、ハンナ-スミス様に求婚されている。
初めて会ったのは、同僚のアレン先輩に、魔導師団の中を案内してもらっている時だった。

「あなたが『天才算術師』のロベルト-コーゼ?」

キラキラした銀の髪を三つ編みにして、左肩から前にたらし、美しいアメジストの瞳で、じーーーっと、僕をみつめてくる 物凄く綺麗な人。

僕を案内してくれていたアレン先輩が、ハンナ-スミス女伯爵だよと、耳打ちしてくれた。

「はい。今日からこちらでお世話になります。ロベルト-コーゼです。どうぞよろしくお願い致します。」

そう言って、彼女に向かって頭を下げた。すると、

「ねぇ、あなた、魔法陣は読める?」

いたずらっ子のように、瞳をキラキラさせて、僕に聞いてくる。

「あ···はい、少しなら、学校で勉強しましたので···」

「じゃあ、これ見て!」

そう言って、彼女は 手のひらサイズの紙に書かれた 小さな魔法陣を見せてくれる。

「これは、水の魔法陣ですね。」

僕の頭の中で、早速計算が始まる。
二重に描かれた円の大きさ、円周、直径、中に組み込まれた術式を表す美しい模様。
でも、少し、足りない。
計算が合わない。

「あの···これでは起動しませんよね···」

そう言ったとたん、彼女の顔が、ぱーーーっと華やいだ。

なんて、綺麗な人なんだろう。
僕の顔が少し熱くなる。
赤くなってる気がする。

「そうなの!」

パンッ!と手を合わせてうれしそうに僕に顔を寄せる。
近い!!

「あなたには、わかるのね!凄いわ!」

そう言って、僕の手を取り、ぶんぶんと、上下に振っている。
僕の顔は増々赤くなる。
そうして、彼女はアレン先輩の方を振り返って、

「アレン!この子私にちょーだい!!」

と、とんでもない事を言い出しました。

「ダメですよ。ロベルト君は、うちのホープなんですから、差し上げる訳には行きません。」

アレン先輩は、冷たい目をして、伯爵様に言い放つ。
アレン先輩!伯爵様に その言い方!
不敬罪で捕まりませんか?
僕は赤から青に顔色を変えて、2人のやりとりを見つめていました。

「えーーーーーっ ケチ!」

「それより、まだ 案内の途中なんですよ。このあと、色々仕事の説明もあって、忙しいんです。さっさとその手を離してそろそろ開放してくれませんか?あなたも、こんな所で油売ってるヒマはないでしょ、団長に言い付けますよ」

「アレン君は、いつも冷たい!」

そう、ぶつぶつ言いながらも、やっと、僕の手を離してくれた。

「今日の所は引き下がるけど、私、あきらめないから!又、会いましょうね。ロベルト君!」

まるで、嵐のように彼女は去って行きました。

「ロベルト君、ヤバイ人に目、付けられちゃったね。」

ウンザリした様子の先輩に不安がよぎる。

「あの、ヤバイ人って···」

「あの人は、ハンナ-スミス女伯爵様、この、第2魔導師団の魔導師だよ。古くからエルフの血を引いていて、若く見えるけど、竜王陛下と同い年の130才。」

「へっ?!」

そんなに?とてもそうは見えなかったけど、せいぜい25才位かと思ってた。

「とにかく、魔法陣オタクで、いっつも新しい魔法陣を組んでは、騒ぎを起こしてるんだ。結界、攻撃が得意分野で、魔物の討伐なんかでは、大活躍してるらしいよ。ニッコリ笑って、目に見える範囲の魔物を、魔法陣使って、一瞬で殲滅してるらしい。水、火、風、土の4大魔法も全部、レベルカンストしてるらしいし、『死神』って呼んでる人もいるらしいよ。」

「凄い人なんですね···」

「確かにね、女だてらに伯爵位を継いで、魔導師全体でも、片手に入るくらい強い方だから、着任早々、そんな人に目付けられちゃうなんて···」

えっ?!僕、何だか物凄く同情されてる?
先輩、何ですか?その、哀れな者を見るような目は?

「まぁ、なるべく僕も、間に入ってフォローするから、ロベルト君も頑張って。『天才算術師』なんて、僕達も凄く期待してるから、君も魔導師団の事、嫌いにならないでくれたら嬉しいな。」

嫌いにって···

「あの、何だか、不安しか無いんですが···」

「さぁ、続きを案内するよ、行こうか。」

そう言って、アレン先輩は、僕をなだめるように、僕の肩をポンポンと叩いたのだった。

僕、やっていけるのかな?


◇◇◇


僕の名前はロベルト-コーゼ。
もうすぐ20才だ。

王都から、馬車で1時間程の、スレイド領にあるローマと言う街の町長の3男で、昔から特に計算が得意で、平民ながら、学校を首席で卒業して、17才で、王宮の官吏になる為の試験に、首席合格して、地方や、王都の経理部で、2年経験を積み、今年から王宮の第2魔導師団の経理部で働く事になった。

この水の国は『学 まなび』に力を入れていて、なんでも、大昔の聖女様が、
「読み、書き、計算は基本です。全国民に教えましょう!」
そう言ったらしい。
なので、この国では、平民でも、学校に行けるし、頑張れば、大学にだっていけるんだ。
聖女様に感謝だ!

学校では、10才の時に小学校で基本の読み、書き、計算を習い、11,12才の中学校で、魔法、体術 剣術、経理 事務、の基礎を学ぶ。大体の平民はここで将来なりたい物を決め、ほぼ半分の子供達が卒業してゆく。
13,14、15才の3年間は高校で、魔導師、騎士、官吏、に別れて、より専門的な勉強をする。
市政で働く者達は、ここを卒業すると、それぞれ希望の場所へ、就職してゆく。
16,17才の2年間は大学で、王宮勤めを目指す者達が学ぶ。
僕は、大学を卒業して、王宮官吏の試験に17才という若さで、一発合格し、王宮勤めとなった。

初めの2年は、地方や、王都で研修をする。
2年の経験を経て、やっと今年から王宮勤めをする事になった。

僕の新しい職場は、第2魔導師団の経理事務課で、主な仕事は計算だ。
計算と言っても多岐に渡る。
予算、見積もり、税金、経費、他にも色々。
とにかく、僕は、毎日 回されてくる書類とにらめっこして、計算、計算、計算!
毎日、計算に明け暮れている。

僕は、計算 いや数字が大好きだ。
必ず決まった正解がある事も、とってもスッキリする。
計算が合わないと、ちょっとモヤモヤして、気持ちが悪い。
はっきりと、正解が出た時は、とてもスッキリして、清々しい。

大学を卒業する時、算術の研究者になる気は無いか?と先生に誘われたけど、所詮、僕は平民で、跡取りでも無い三男坊、自分の将来は、自分で責任を持たなくてはいけない。
いつかは、可愛いお嫁さんをもらって、子供をたくさん作って、幸せな家庭を築きたい。
だから、王宮で働く事は、僕にとっては、夢の第一歩なのだ。
なのに、何だか、とんでもない人に目を付けられたらしい。

彼女は銀の髪に、アメジストの瞳のとても綺麗な人だった。
確かに凄く綺麗な人で、ドキドキしたけれど、所詮 平民には手の届かない、住む世界の違う人。
でも、伯爵様の持って来る魔法陣は、とっても綺麗で、難しい間違い探しも、新しい式の構築も、凄く楽しくて、計算のしがいがあって、僕は魔法陣をチェックする事に夢中になっていた。
将来は、可愛い平民の女の子と結婚して、子供をたくさん作って、幸せな家庭を築きたい。
そう、思っているのは本当だけど、毎日、毎日、顔を会わせるうちに、伯爵様の事が気になって、自分の気持ちに気付かないように、ブレーキをかけてる。
いや、ブレーキをかけなきゃって思ってる時点でもう手遅れな気もするけど···
とにかく、毎日、求婚されるのは、ちょっと辛いかなぁ·····






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