縁結びの神様は仕事が早い

松山あき

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悠太編

3 ※性描写※

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 二階に他人が入るのは元カレ以来だ。狭い土地に無理矢理二階を作ったような、急な階段で悠太は航平を誘いながら何度もキスをした。
 舌を入れてみればきちんと応えてくれる。悠太は航平が男は初めてだろうと思ったが、意外とそうでもないのかもしれないと目を細めた。

「航平、ん……ぅ、ん」

 ベッドに倒れ込めば、そうするものだとお互いに知っているように唇を合わせながら服の下から肌に触れていく。
 航平の肌は若さのせいか少し脂を感じたが、それでも触れると吸い付くような感触が気持ちよく、何度もその腹を撫でてから、頬に触れてキスをねだるように顔を寄せる。
 すると、航平も力強く悠太の唇に吸い付き、何度ももつれ合いながら時間をかけて肌を晒していった。

 本人の優柔不断さからは想像できないほど、航平の身体はしっかりしており、起伏を描く腹や、焦るような気持ちを表すように隆起した腕、どこをとっても綺麗な男の身体だった。

 顔もまあまあだったけど、身体も好みかも、と悠太は舌なめずりをして、親が子どもにするような優しいキスをした後に、航平の下腹部で緩やかな熱を持ったそれに触れる。

「はッ……あ、ゆー、た……」

 酔いのせいか、舌足らずで甘えるように自分を呼ぶ声が聞こえると、空気も相まって胸が締め付けられるような気がする。
 もっと抱きしめて包みこんでやりたいような気持ちを、悠太は久しぶりに感じていた。

 航平が求めるまま身を寄せ、熱がもっと昂るようにと先走りを塗りつけてやる。悠太の手の中で生き物のように脈動し、硬く大きくなっていく感触にさえ悠太は慈しみを感じていた。
 もっと良くしてやりたいと、先端や裏筋に指を這わせながらも、航平の息づかいや、たくましく立ち上がったそこに航平の精子がのぼってきているのを感じる度に、男を受け入れるのに慣れた悠太の腹の奥が疼いてくる。

「……いいよ、出せよ」

 悠太も同じ男だ。溢れてくる先走りや、暴れたいのを必死で抑えている腰つきで航平の限界が近いことがわかる。

「ゆ、た……はあ、そんな……したらッ」
「出すためにやってんだよ」

 熱に浮かされ、時々裏返る航平の声を聞くだけで悠太の腰も震えて、何も刺激を受けていないのに快楽を感じていた。
 どんな顔で達するのか、達したあとこのねだるように溺れている顔がどうなるのか、好奇心も手伝って航平を弄る手が止まらない。
 無意識に笑みを浮かべたまま、締め付けるように握る手に力を込めて扱き上げると、航平の腰が大きく震えて二、三度に分けて勢いよく射精した。
 
 そのことに妙な幸福感と達成感を覚え、航平と一緒に胸を上下させる。
 航平も一度熱を吐き出したからといって冷める様子もなく、悠太をベッドに抑えつけるようにして唇を合わせてくる。
 深く舌を侵入させることはないものの、丁寧に落とされていく度に再びお互いの熱が溶け合い、混じり合うような錯覚に陥った。

 航平は唇で頬や耳、首筋にまで愛撫を施していく。もう何もわからないという程本能に支配されたような瞳で悠太を見つめるわりに、航平はこちらの反応を逐一確かめるように視線を逸らさない。
 気持ちが良いか不安が映る表情に笑顔を向けてやると、今度は不器用な指先が悠太の腹をなぞる。
 焦れったさを覚えるほどゆっくりと悠太の感触を確かめるその手が、不意にへそのあたりで止まった。

 何かあったのだろうかと確かめるまでもなく、そこは一番最初の男が刻んだ独占欲の証があった。
 自分以外の男が見ないようにと彫られた刺青は、男が悠太を捨てたことで多くの人間の目に触れるようになった。
 日本人の中にはこういった印を嫌う人もいる。航平もそうなのかと隠すように身を捩るが、それが航平の何かを煽ったのか、二、三度そこを撫でた後にゆっくりと顔を寄せてきた。

「ゃ、なに……?」
「痛そうで、かわいそう……」

 根っから優しい心でできている航平はそう言って傷を舐める要領でタトゥーに舌先を何度も這わせる。
 たったそれだけのことなのに、なぜだか悠太の背中が、腰が泡立つように震えた。
 過去の、もう痛みさえ忘れた傷を癒やそうとする目の前の男に、同情や慰め以外の感情が湧き上がってきそうになり、悠太はそれに必死になって蓋をしようとする。
 だが、そうしようとするほどに身体が敏感になって、痛いほどの快感が肌から背筋、頭の後ろに響いてくるような感覚が悠太を襲う。

「いい……航平、それ……しなくて、いい」

 拒否を口にする悠太をちらっと見つめると、航平は何を思ったのか、タトゥーの隣で立派に成長したものの先端を口に含んだ。

「は……?え、ちょ……そこまでッ」

 そんなことまでさせるつもりでこの部屋に招いたわけではない。
 一切の躊躇もないわりに、不慣れな舌が悠太を翻弄していく。
 飲み込まれまいとするほどに、その抵抗を取り去ろうと航平の愛撫が激しくなって、首を横に振って何かを逃がそうとする。

 だらしなく声を響かせる悠太を、航平の遠慮も優しさも霞んだ欲情で燃える瞳が射抜いてきた。
 その強さと、湿度に悠太の理性もお手上げになってしまう。

「こーへい、ぁ……航平、挿れて……俺、するから……」

 この男を受け入れたいと、悠太の心が、肌が、腹の一番深いところが叫んできて、濁流のような衝動に呑まれて懇願する。

 悠太の願いを聞き入れた航平ともつれるようにして身体の上下を入れ替えると、衝動に促されるままコンドームをつけることさえ忘れて尻の割れ目に再び熱り立った肉棒を擦りつける。
 湧き上がる飢餓感を感じているのは自分だけではないらしい。
 航平の瞳にも同じ欲望を見いだして、悠太は十分に慣らしてもいないそこに航平を受け入れた。

 慣れてはいるし、一人でするときも後ろを使わないと十分にスッキリしない身体ではあるものの、やはり事前準備がないとスムーズには入っていかない。
 航平の胸に手を当てて何とかバランスを取ろうとする悠太の腰に、航平の手が添えられて支えようとしてくれている。

 熱を失わないまま航平のものが奥まで届くと、悠太は本格的に腰を律動させて互いの快楽を求めた。
 卑猥な、粘度を持った水音が鼓膜に響くだけで心臓が高鳴る。破れてしまいそうなのが、腹なのか胸なのかわからないまま夢中になって腰を上下させた。

「悠太……。ダメだ、もう出る……」
「まだ。……ぁ、絶対、一緒のが気持ちいい、から。ん、はッ……ああ!」

 自分の一番奥にあの欲望を叩きつけてほしいと、奥へ奥へと腰を突き刺していく。
 ずいぶんスムーズに動けるようになったが、それでも壁にはピタリと航平が張り付いているような気がして、わずかな反応さえ拾うほど敏感になっている気がした。

「航平、俺も……やっ、ば……。出して、奥……出して、いいぞ。ぁ、んああ!は、ぁ……イッ、く……ッ!!」
「悠太……ゆ、た……ぁ、はあ……!」

 悠太の腰が痙攣すると、それに絞られるように航平も弾けていった。

 それからお互いの息しか聞こえないほどの静寂が訪れ、疲れからか悠太は航平の胸に倒れ込む。
 それをたくましい航平の腕が受け止めてくれて、相手の高い体温にそれぞれ幸福を感じとっていた。
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