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第二巻
016 理系女子の初観劇(その7)
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「派手にやっているな……力量はビングとトントンか」
「あの……助けに行かれないのですか?」
「そうしたいんだけど……っと、あそこにいた」
敵が来たことを察知したフェイは、タオから聞いた敵の戦闘手段を衛兵に伝えるとヤンジ達と共に、関所に設えてある物見櫓の上へと登っていた。
隣にいる衛兵が弓で矢を放っているのも気にせず、フェイ達は遠眼鏡を用いて、ビング達が戦っている地点よりも後方を見渡していた。
ヤンジが確認したのは、そして現在ビングと衛兵達が戦っているのは五人だが、もう一人伏兵がいる。そのことをタオから聞いたフェイ達は、戦線と化している関所前には向かわず、その手前の物見櫓で周辺を探っていた。そして見つけた伏兵は、少し離れた小高い丘の上に俯せで控えている。
「……あれが指揮官、ね」
「はい。私達の時も、常に控えていた指揮官に気づかず、返り討ちに遭っていました」
「旨い手だ。指揮官兼観測手、おまけに遠距離攻撃可能な伏兵か……普通、多方面に器用な奴なんてめったにいないのに、どう訓練したらあんな兵ができるんだか」
兵科が分かれているのにも、きちんとした理由がある。
兵士に適正の有無を問わず、訓練で一定の性能を持たせることが、軍事訓練における最低限の目標だからだ。その目標を達成した者が晴れてその兵科で活躍できるわけだが、全員が最低限の性能だけを持っているわけではない。中には二つ、三つと他の兵科と同等以上の性能を併せ持つ者が出てくることもある。
今で言うところの、伏兵がそうだ。状況を俯瞰的に把握できる観測手に、戦況に応じて適切な指示を出せる指揮官、そして遠距離攻撃可能な狙撃手と三つの兵科を併せ持っているのだ。さらには、ここに来る途中で他の兵士を確認したヤンジですら気づけないほどの隠密手段を持ち合わせている可能性もあった。
移動中とはいえ、ヤンジが気づかれなかったのは不幸中の幸いだ。でなければ、伏兵の視線は、既にフェイ達の方へと向けられているはずだからだ。
「ヤンジ、ここから狙撃できる?」
「どれ…………無理だな」
長銃を構えるヤンジだが、一度構えて狙いを定めてから、無駄だと悟って銃口を下げた。
「射程距離外だ。長銃の性能的にはギリ、おまけに狙撃用の道具が一つもない」
魔弾を放つ銃器の類には欠点がある。一発撃つごとに魔力を込めなければいけないので、連射が効かないのだ。おまけに相手は高台に陣取っている上に攻撃していない。常に存在を気づかせないだけでなく、隙を見せず、いつでも攻撃できるようにするためだ。
「じゃあ仕方ない……三人でいきましょう」
「ま、それしかないか……」
物見櫓から降りると、フェイはヤンジとタオを連れて、遠回りになるルートを通りながら、伏兵がいるであろう高台へと歩き出した。
「あの……三人、ですか?」
「そうよ」
タオの質問に即答するフェイ。
「私、何の役にも立たないと思いますが……」
「移動中にさっきの話の続きをしてくれるだけでいい。後はフェイと隠れてろ」
「ちょっと、勝手に戦力外にしないでくれる?」
しかしヤンジはフェイに取り合うことなく、足を進めた。
「伏兵を黙らせるだけなら簡単だ。隠れながら近づき、背後から銃口を突きつける。大抵はそれで解決、お前の出る幕はない」
「あっ、そう……」
矛槍を担いだまま不機嫌になるフェイを後方にして、ヤンジはタオと並んで、関所から離れた場所にある抜け穴まで歩き始めた。その抜け穴はかつての地下坑道で、奇襲もしくは脱出用に今でも整備されているものだ。そこから森の中に抜ければ、高台から見つかることはほとんどないだろう。
「あの、ヤンジ? さん。こちらの『勇者』の件ですが……」
「多分、まだ大丈夫だ……」
ヤンジ自身も、希望的観測だとは理解している。しかし、タオからそう問いかけられた時点で、既に時間がないことが理解できてしまった。
「……早めに片付けるぞ。時間がない」
それはビングと衛兵達が戦って生き残れる時間か、それとも……
****************************************
「あと少し、か……」
「意外と長く感じましたよね。三ヶ月位ですか?」
「なんだその具体的な数字? まあ、あと少しが長いなんて、よくあるけどな……」
いつまでも続いたように錯覚した演劇だが、クライマックスまであと少しとなった。
後は、伏兵と戦った後に主人公達の見せ場を作ってから、よくある『俺達の戦いはこれからだ』エンドで締めくくって劇は終わる。
まだ劇が終わったわけではないが、それでも抜ける時に気を抜いておかないと、疲労が溜まって最後までもたない。それを理解しているから、蒼葉も升水も、舞台転換の間に気を緩めているのだ。実際、出番まで少し間のある役者達も、別の場所でそれぞれ休憩しているに違いない。
その証拠に、先程迄舞台上にいた鈴谷がペットボトル片手に扉を通って、舞台そばから舞台装置側へと出てきていた。
「ああ、疲れた……」
「お疲れ、あと少しなんだからさっさと戻れよ。最後の見せ場が残っているんだろう?」
「そうなんだけどさ……はぁ」
鈴谷の様子がおかしいので振り返る蒼葉。どうかしたのかと、一先ずは問いかけてみることに。
「どうかしたのか?」
「いや、雫さん……仲のいいお隣さんも誘ったんだが、見回した限り来ていないみたいで」
「そうか、残念だったな」
一応、心からそう思っての発言だが、鈴谷から見れば蒼葉の言葉は軽かったのかそれともただの冗談か、小道具の剣を振り下ろされてしまう。
「黒桐はいいよな。出番ない癖に金子が来てくれてよ……」
いや、ただのやっかみだったらしい。
「こっちが誘った相手の都合がついただけで、いちいち攻撃してくんな」
詳しくは蒼葉どころか本人も知らないが、鈴谷は隣に住む在宅業(と聞いている)の女性に恋をしていた。
一応男性としては見られているのか、それとも単なる気まぐれか、よくお弁当を作ってもらっている。それが理由かは不明だが、今の鈴谷には自らがモテるという自覚が持ちづらかった。外見だけで偶像扱いされているのも理由としては挙げられるが、本人が盲目的に気持ちを寄せているので、周囲の人間を恋愛対象として見ることができずにいるのだ。
その事情を理解しているからか、蒼葉は剣を逸らしながら、舞台の方を指差して手を振った。
「明日も公演があるだろうが。そっちに期待しろよ、もう」
「……明日は仕事で出張だ、って言ってた」
蒼葉の後頭部が叩かれた。
余計なこと言うな、とばかりに近づいて引っ叩いてきた後輩を睨みつけてから、蒼葉も立ち上がって鈴谷の背中を軽く叩く。
「まあ気づかなかっただけで、本当はこっそり来ているかもしれないし……」
「もう口開かない方がいいですよ。先輩」
「……あ、こっそりで思い出した」
もうすぐ出番だが急ぐ理由でもあるのか、鈴谷は蒼葉に軽く耳打ちしてから、すぐに舞台そばへと向かっていった。
鈴谷がいなくなった後、蒼葉は再び音響機器の前に腰掛けたが、微妙に心非ずな表情を浮かべている。その様子を見て升水は声を掛けようとしたが、タイミングが悪く、照明機器を操作しなければならないので口を噤んだ。
****************************************
その伏兵は、ヤンジが携えているような魔弾の長銃に近い武器を構えていた。
つまり、威力重視の狙撃を目的とした武器の使い手だと分かる。
「接近戦用の武器は見当たらない……せいぜい銃身を槍か棍の代わりにするくらいか」
「一人で倒せる? 手を貸した方がいい?」
微妙に殺気立っているフェイを宥めるようタオに頼んでから、ヤンジは移動中に長銃に込めた魔力を確認した。
「『王』が殺気立ってどうするよ。『勇者』も出払っているし、ここは『魔王』に任せとけ」
気配を殺しながら移動するヤンジ。それについていこうとするフェイに、動きを抑えようと肩をその肩を掴むタオ。
抜き足、差し足と足音を殺しながら近づいていくヤンジに、伏兵はまだ気づいていない。
(今がチャンスか……?)
まだ少し距離はあるが、長銃の射程距離としては十分だ。普段使い慣れている短銃とはまた狙い方も違ってくるが、それでも気づかれない内にじっくり狙えば、まず外さないところまで近づけている。
下手に近づいて気づかれるよりも、早く仕留めた方が戦況的には有利だ。
ヤンジは静かに膝立ちになると、無防備なままの伏兵の背中に向けて、銃口を構えた。
(……一先ずは背中。そうすれば後は、生け捕りなり短銃で止めを刺すなり、状況に応じて選択できる。最悪死ぬかもしれないが、ビング達の方をいつまでもそのままにしておくわけにはいかない)
すでに魔力を込めているので、長銃も短銃も、いつでも撃てる。
暴発の恐れがあるので、通常は撃つ前に魔力を込めるものだが、魔力を操る者を相手にした場合、居場所を教えているのにも等しい愚行となる。だから事前に居場所を知られることなく、ヤンジは悠々と狙いを定めることができたのだ。
(やるか……)
しかし、ヤンジが考えているよりも、戦況が動く方が早かった。
「……あの男、もしかして『勇者』か?」
戦況を見て思わず呟いたのだろう。後方にヤンジが控えていて、聞かれているのも気づかないまま、伏兵がそう漏らしていた。
だからこそ、か。次の言葉を合図に、ヤンジが引き金を引いたのは、ある種の必然であったのだろう。
「あいつらあの男に構い過ぎだ…………ホラ見ろ、もう『役』に飲まれやがった」
「あの……助けに行かれないのですか?」
「そうしたいんだけど……っと、あそこにいた」
敵が来たことを察知したフェイは、タオから聞いた敵の戦闘手段を衛兵に伝えるとヤンジ達と共に、関所に設えてある物見櫓の上へと登っていた。
隣にいる衛兵が弓で矢を放っているのも気にせず、フェイ達は遠眼鏡を用いて、ビング達が戦っている地点よりも後方を見渡していた。
ヤンジが確認したのは、そして現在ビングと衛兵達が戦っているのは五人だが、もう一人伏兵がいる。そのことをタオから聞いたフェイ達は、戦線と化している関所前には向かわず、その手前の物見櫓で周辺を探っていた。そして見つけた伏兵は、少し離れた小高い丘の上に俯せで控えている。
「……あれが指揮官、ね」
「はい。私達の時も、常に控えていた指揮官に気づかず、返り討ちに遭っていました」
「旨い手だ。指揮官兼観測手、おまけに遠距離攻撃可能な伏兵か……普通、多方面に器用な奴なんてめったにいないのに、どう訓練したらあんな兵ができるんだか」
兵科が分かれているのにも、きちんとした理由がある。
兵士に適正の有無を問わず、訓練で一定の性能を持たせることが、軍事訓練における最低限の目標だからだ。その目標を達成した者が晴れてその兵科で活躍できるわけだが、全員が最低限の性能だけを持っているわけではない。中には二つ、三つと他の兵科と同等以上の性能を併せ持つ者が出てくることもある。
今で言うところの、伏兵がそうだ。状況を俯瞰的に把握できる観測手に、戦況に応じて適切な指示を出せる指揮官、そして遠距離攻撃可能な狙撃手と三つの兵科を併せ持っているのだ。さらには、ここに来る途中で他の兵士を確認したヤンジですら気づけないほどの隠密手段を持ち合わせている可能性もあった。
移動中とはいえ、ヤンジが気づかれなかったのは不幸中の幸いだ。でなければ、伏兵の視線は、既にフェイ達の方へと向けられているはずだからだ。
「ヤンジ、ここから狙撃できる?」
「どれ…………無理だな」
長銃を構えるヤンジだが、一度構えて狙いを定めてから、無駄だと悟って銃口を下げた。
「射程距離外だ。長銃の性能的にはギリ、おまけに狙撃用の道具が一つもない」
魔弾を放つ銃器の類には欠点がある。一発撃つごとに魔力を込めなければいけないので、連射が効かないのだ。おまけに相手は高台に陣取っている上に攻撃していない。常に存在を気づかせないだけでなく、隙を見せず、いつでも攻撃できるようにするためだ。
「じゃあ仕方ない……三人でいきましょう」
「ま、それしかないか……」
物見櫓から降りると、フェイはヤンジとタオを連れて、遠回りになるルートを通りながら、伏兵がいるであろう高台へと歩き出した。
「あの……三人、ですか?」
「そうよ」
タオの質問に即答するフェイ。
「私、何の役にも立たないと思いますが……」
「移動中にさっきの話の続きをしてくれるだけでいい。後はフェイと隠れてろ」
「ちょっと、勝手に戦力外にしないでくれる?」
しかしヤンジはフェイに取り合うことなく、足を進めた。
「伏兵を黙らせるだけなら簡単だ。隠れながら近づき、背後から銃口を突きつける。大抵はそれで解決、お前の出る幕はない」
「あっ、そう……」
矛槍を担いだまま不機嫌になるフェイを後方にして、ヤンジはタオと並んで、関所から離れた場所にある抜け穴まで歩き始めた。その抜け穴はかつての地下坑道で、奇襲もしくは脱出用に今でも整備されているものだ。そこから森の中に抜ければ、高台から見つかることはほとんどないだろう。
「あの、ヤンジ? さん。こちらの『勇者』の件ですが……」
「多分、まだ大丈夫だ……」
ヤンジ自身も、希望的観測だとは理解している。しかし、タオからそう問いかけられた時点で、既に時間がないことが理解できてしまった。
「……早めに片付けるぞ。時間がない」
それはビングと衛兵達が戦って生き残れる時間か、それとも……
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「あと少し、か……」
「意外と長く感じましたよね。三ヶ月位ですか?」
「なんだその具体的な数字? まあ、あと少しが長いなんて、よくあるけどな……」
いつまでも続いたように錯覚した演劇だが、クライマックスまであと少しとなった。
後は、伏兵と戦った後に主人公達の見せ場を作ってから、よくある『俺達の戦いはこれからだ』エンドで締めくくって劇は終わる。
まだ劇が終わったわけではないが、それでも抜ける時に気を抜いておかないと、疲労が溜まって最後までもたない。それを理解しているから、蒼葉も升水も、舞台転換の間に気を緩めているのだ。実際、出番まで少し間のある役者達も、別の場所でそれぞれ休憩しているに違いない。
その証拠に、先程迄舞台上にいた鈴谷がペットボトル片手に扉を通って、舞台そばから舞台装置側へと出てきていた。
「ああ、疲れた……」
「お疲れ、あと少しなんだからさっさと戻れよ。最後の見せ場が残っているんだろう?」
「そうなんだけどさ……はぁ」
鈴谷の様子がおかしいので振り返る蒼葉。どうかしたのかと、一先ずは問いかけてみることに。
「どうかしたのか?」
「いや、雫さん……仲のいいお隣さんも誘ったんだが、見回した限り来ていないみたいで」
「そうか、残念だったな」
一応、心からそう思っての発言だが、鈴谷から見れば蒼葉の言葉は軽かったのかそれともただの冗談か、小道具の剣を振り下ろされてしまう。
「黒桐はいいよな。出番ない癖に金子が来てくれてよ……」
いや、ただのやっかみだったらしい。
「こっちが誘った相手の都合がついただけで、いちいち攻撃してくんな」
詳しくは蒼葉どころか本人も知らないが、鈴谷は隣に住む在宅業(と聞いている)の女性に恋をしていた。
一応男性としては見られているのか、それとも単なる気まぐれか、よくお弁当を作ってもらっている。それが理由かは不明だが、今の鈴谷には自らがモテるという自覚が持ちづらかった。外見だけで偶像扱いされているのも理由としては挙げられるが、本人が盲目的に気持ちを寄せているので、周囲の人間を恋愛対象として見ることができずにいるのだ。
その事情を理解しているからか、蒼葉は剣を逸らしながら、舞台の方を指差して手を振った。
「明日も公演があるだろうが。そっちに期待しろよ、もう」
「……明日は仕事で出張だ、って言ってた」
蒼葉の後頭部が叩かれた。
余計なこと言うな、とばかりに近づいて引っ叩いてきた後輩を睨みつけてから、蒼葉も立ち上がって鈴谷の背中を軽く叩く。
「まあ気づかなかっただけで、本当はこっそり来ているかもしれないし……」
「もう口開かない方がいいですよ。先輩」
「……あ、こっそりで思い出した」
もうすぐ出番だが急ぐ理由でもあるのか、鈴谷は蒼葉に軽く耳打ちしてから、すぐに舞台そばへと向かっていった。
鈴谷がいなくなった後、蒼葉は再び音響機器の前に腰掛けたが、微妙に心非ずな表情を浮かべている。その様子を見て升水は声を掛けようとしたが、タイミングが悪く、照明機器を操作しなければならないので口を噤んだ。
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その伏兵は、ヤンジが携えているような魔弾の長銃に近い武器を構えていた。
つまり、威力重視の狙撃を目的とした武器の使い手だと分かる。
「接近戦用の武器は見当たらない……せいぜい銃身を槍か棍の代わりにするくらいか」
「一人で倒せる? 手を貸した方がいい?」
微妙に殺気立っているフェイを宥めるようタオに頼んでから、ヤンジは移動中に長銃に込めた魔力を確認した。
「『王』が殺気立ってどうするよ。『勇者』も出払っているし、ここは『魔王』に任せとけ」
気配を殺しながら移動するヤンジ。それについていこうとするフェイに、動きを抑えようと肩をその肩を掴むタオ。
抜き足、差し足と足音を殺しながら近づいていくヤンジに、伏兵はまだ気づいていない。
(今がチャンスか……?)
まだ少し距離はあるが、長銃の射程距離としては十分だ。普段使い慣れている短銃とはまた狙い方も違ってくるが、それでも気づかれない内にじっくり狙えば、まず外さないところまで近づけている。
下手に近づいて気づかれるよりも、早く仕留めた方が戦況的には有利だ。
ヤンジは静かに膝立ちになると、無防備なままの伏兵の背中に向けて、銃口を構えた。
(……一先ずは背中。そうすれば後は、生け捕りなり短銃で止めを刺すなり、状況に応じて選択できる。最悪死ぬかもしれないが、ビング達の方をいつまでもそのままにしておくわけにはいかない)
すでに魔力を込めているので、長銃も短銃も、いつでも撃てる。
暴発の恐れがあるので、通常は撃つ前に魔力を込めるものだが、魔力を操る者を相手にした場合、居場所を教えているのにも等しい愚行となる。だから事前に居場所を知られることなく、ヤンジは悠々と狙いを定めることができたのだ。
(やるか……)
しかし、ヤンジが考えているよりも、戦況が動く方が早かった。
「……あの男、もしかして『勇者』か?」
戦況を見て思わず呟いたのだろう。後方にヤンジが控えていて、聞かれているのも気づかないまま、伏兵がそう漏らしていた。
だからこそ、か。次の言葉を合図に、ヤンジが引き金を引いたのは、ある種の必然であったのだろう。
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