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シリーズ004
004 それが私のできること
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とりあえず短槍を投げつけてみた。
「うわっ!?」
しかし相手もさるもの、椅子から立ち上がって振り返るや、咄嗟に槍を掴んで、刃先が刺さらない様にガードしやがった。私にもうちょっと力があればな~。
「あの、ミーシャさん……もしかして、前回の件まだ怒ってますか?」
「いや、半分八つ当たり」
「ああ……それならいいですけど」
いいのか?
まあそんな話はともかく、普段着の私はディル君から短槍を返して貰い、近くの地面にそのまま腰掛けた。その状態で勇者様を見上げると、不意に彼と視線が合う。すぐに背けられたが。
「旦那とのこと……聞いてもいい?」
「……ジョセフさんは、僕の恩人でした」
と言っても、冒険者ギルドで紹介された指導役が旦那だっただけで、その縁で偶に混ぜて貰っていたらしい。だから勇者になるまでは単独で頑張っていたというのは、以前聞いていた通りだった。
「その日も、人手が足りないからと指導がてら仲間に混ぜて貰っていたんです。それが……」
「……旦那が死んだ事件、ね」
事件の概要はこうだ。
最近国内で出回っている違法薬物の元締めを討伐すること。その依頼を達成する為に敵の本拠地へと乗り込んだ。そこまでは良かったのだが、相手が強すぎた。旦那を含めた仲間達は相打ちとなり、ディル君も重傷で死にかけたらしい。
それでも生き残り、薬は処分して国に報告、そして殉職した旦那の件が片付いた後、自分が勇者に選ばれたそうだ。
「それぞれが勇者候補だったからだと思います。ギルドが僕に、ジョセフさんを紹介してくれたのは」
「一応、横の繋がりを作ってた、ってことか……」
その後はありきたりすぎた。
墓参りに来た際にニアミスした私を追って娼館にフラフラと来てしまい、そのままなし崩しにドツボにはまるとか……これだから童貞レベルが高い奴は。
「とりあえず……死んだ私の旦那に、言うことある?」
「言うことというか……童貞捨てた翌日、墓前に土下座してきました」
「ならよし」
旦那の分は、それでいいとして……
「……私には?」
「すみません、としか言いようがありません……」
「別に謝らなくていいわよ。というか……私の時間買い占めていたのって、それもあったんじゃないの?」
せめて他の人間からは守ろうとした結果。そうでもなければ、こんな中古女にお金を掛けずに、そこらの娘を口説いていた筈だ。
「いえ……ミーシャさんだから、です」
「……へ?」
罪悪感でもないのに、あんなにお金掛けてたのかこいつは。私にそこまでされる価値はないと思うけど。
「お墓の前で、静かに泣いていたのを見たんです。その時の姿が、あまりにも美しくて、ずっと……立ち去るまでずっと、見ていたんです」
「あ……」
そう言われてみれば、確かに私は泣いていた。
当時は旦那を裏切ることへの罪悪感が酷く、娼婦になる直前に謝りつつも、悪態吐いて……そして、時間までずっと泣いていた。
「ジョセフさんからは奥さんがいる、としか聞いていませんでしたけど……すぐに分かりました。最初の夜に聞いた話で確信して……その日は恩人の奥さん寝取ったと思って、凄く興奮しました」
「……死んだら旦那に謝った方がいいわよ」
「死んだ後にまた殺される覚悟はできています」
変な覚悟決めるな童貞。
「じゃあ、今は……」
「えっ!?」
今ディル君に死なれては困る。旦那には悪いけど、こればかりは他意はない。
だって私は……娼婦だから。
「うわっ!?」
しかし相手もさるもの、椅子から立ち上がって振り返るや、咄嗟に槍を掴んで、刃先が刺さらない様にガードしやがった。私にもうちょっと力があればな~。
「あの、ミーシャさん……もしかして、前回の件まだ怒ってますか?」
「いや、半分八つ当たり」
「ああ……それならいいですけど」
いいのか?
まあそんな話はともかく、普段着の私はディル君から短槍を返して貰い、近くの地面にそのまま腰掛けた。その状態で勇者様を見上げると、不意に彼と視線が合う。すぐに背けられたが。
「旦那とのこと……聞いてもいい?」
「……ジョセフさんは、僕の恩人でした」
と言っても、冒険者ギルドで紹介された指導役が旦那だっただけで、その縁で偶に混ぜて貰っていたらしい。だから勇者になるまでは単独で頑張っていたというのは、以前聞いていた通りだった。
「その日も、人手が足りないからと指導がてら仲間に混ぜて貰っていたんです。それが……」
「……旦那が死んだ事件、ね」
事件の概要はこうだ。
最近国内で出回っている違法薬物の元締めを討伐すること。その依頼を達成する為に敵の本拠地へと乗り込んだ。そこまでは良かったのだが、相手が強すぎた。旦那を含めた仲間達は相打ちとなり、ディル君も重傷で死にかけたらしい。
それでも生き残り、薬は処分して国に報告、そして殉職した旦那の件が片付いた後、自分が勇者に選ばれたそうだ。
「それぞれが勇者候補だったからだと思います。ギルドが僕に、ジョセフさんを紹介してくれたのは」
「一応、横の繋がりを作ってた、ってことか……」
その後はありきたりすぎた。
墓参りに来た際にニアミスした私を追って娼館にフラフラと来てしまい、そのままなし崩しにドツボにはまるとか……これだから童貞レベルが高い奴は。
「とりあえず……死んだ私の旦那に、言うことある?」
「言うことというか……童貞捨てた翌日、墓前に土下座してきました」
「ならよし」
旦那の分は、それでいいとして……
「……私には?」
「すみません、としか言いようがありません……」
「別に謝らなくていいわよ。というか……私の時間買い占めていたのって、それもあったんじゃないの?」
せめて他の人間からは守ろうとした結果。そうでもなければ、こんな中古女にお金を掛けずに、そこらの娘を口説いていた筈だ。
「いえ……ミーシャさんだから、です」
「……へ?」
罪悪感でもないのに、あんなにお金掛けてたのかこいつは。私にそこまでされる価値はないと思うけど。
「お墓の前で、静かに泣いていたのを見たんです。その時の姿が、あまりにも美しくて、ずっと……立ち去るまでずっと、見ていたんです」
「あ……」
そう言われてみれば、確かに私は泣いていた。
当時は旦那を裏切ることへの罪悪感が酷く、娼婦になる直前に謝りつつも、悪態吐いて……そして、時間までずっと泣いていた。
「ジョセフさんからは奥さんがいる、としか聞いていませんでしたけど……すぐに分かりました。最初の夜に聞いた話で確信して……その日は恩人の奥さん寝取ったと思って、凄く興奮しました」
「……死んだら旦那に謝った方がいいわよ」
「死んだ後にまた殺される覚悟はできています」
変な覚悟決めるな童貞。
「じゃあ、今は……」
「えっ!?」
今ディル君に死なれては困る。旦那には悪いけど、こればかりは他意はない。
だって私は……娼婦だから。
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