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第六十一章 のんびり生活のはずが

頭痛の種は人手不足

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「まずはこれをお願いします」
 と、サリーさんが、本日最初の決裁書類を差し出しました。
 ミリタリーからのものです。

「新しい宇宙についてですか……ラクシャー宇宙とデーヴァ宇宙を繋ぐワームホールが見つかった、小さな宇宙を経由するのね、本当に小さな宇宙ですね……」

「たしかに防衛上必要ですし、エラムとテラを繋ぐ第三本線になりますね……ヨミのマルバスさんに任せる……宇宙艦隊ですか……」
 裁可と、書類に書き込んでいました。

「次はこれです」
 促されて書類に目を通していたヴィーナスさん、
「コミュニティですか……」

「確かに、このホームの上部組織は必要ですね、女官組織がかなり肥大していますからね」
「膨大なウィッチさんと、ファミリアーさんの管理、ハレム・ホームだけでは無理があります」

「エリアを作らなくてはね、その昔、機能単位に分けましたが、うまく作用しなかったですからね、ハレムを基準に、ヒエラルキーで管理するのがベストのようです」

 決裁の署名をしたヴィーナスさん、書類の隅にメトロ・カウンティと書いてありました。
 ホームの上にメトロ・カウンティができたのです。

 当分の間、責任者は、該当メトロ・カウンティの序列最上級の方の兼務とされたようです。

「つぎはこの案件ですよ」
 デミ・モンド制度についてですが、いつまでも新規のグリセットさんを管理するために、ニライカナイのデミ・モンドさん、つまり『天女ニンフ』を動員している訳にはいきません。

 ただでさえ、絶対的に不足しているデミ・モンドさん、約三十万人おられますが、一人一惑星としても、信じられないほどの監視惑星の数です。

 未開発世界軍事監視官制度も、このデミ・モンドさんの人員不足を補うためのものなのですが、それでも足りないのです。
 ハウスキーパーの事務処理部門も、デミ・モンドさんが頼りなのです。

 惑星ジャーリアの住人も優秀で、ミリタリーオフィスの事務処理を、『天女ニンフ』さんより引継ぎ、何とかこなしています。

 惑星ジャーリアの住人は数は少なく、そのほとんどの方々がミリタリーオフィスに勤めています。
 残りの方々は、カラミティ航空宇宙軍に勤務されています。
 もともとオペレーターとして、培養された経緯がありますので、輸送艦隊勤務は適職なのです。

 惑星ジャーリアの住人は、『オールドソウル』と呼ばれていますが、デミ・モンドさんなのです。
 ただ『天女ニンフ』に比べると、堅苦しいところが見受けられるのですが。

 本来のデミ・モンドさん、つまり『天女ニンフ』に、自然増は期待できるのですが、増えないのです。
 『天女ニンフ』も、種族として認知されているのですが……

 ミリタリー種族なども、百年たっても、三パーセントも増えていません。
 自然死がないミリタリーですが、余り増えないのです。
 増加するばかりのはずなのですけどね。

 オルメカ種族などは、いまだに『最後の審判戦争』での戦没者数が埋まりません。

 『オールドソウル』も、種族として認知されています。
 もともと人の細胞を培養して人体を作り、首から上を機械に組み込んだ方たち。

 その有機体生産工場を破壊し、残った方々を救い出し、人型に戻した経緯もあり、生体として女性婚をして、世代交代しています。
 ただ極めて淡白、子供が余り生まれません。
 個体数を維持するのが、精一杯なのですね。

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