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第六十一章 のんびり生活のはずが
デミ・モンドの集中配属問題
しおりを挟む書類には、『デミ・モンドの集中配属問題』と書かれていました。
ぱらぱらと書類を読んだミコさん、
「この案の趣旨は、とにかくデミ・モンドさんの人員不足、といっておいそれとデミ・モンドさんになれる方々はいない、増員も難しい」
「そこでデミ・モンドさんは、高度な事務処理などに専念していただき、代行が可能な職務は誰かに任せたい」
「まず膨大なグリセットさんの管理業務を委譲する、ですか」
「そうなります、ネットワークも、管理する世界が膨大になり、事務処理も信じられないほどの数です」
「デミ・モンドさんの能力で何とかまわしていますが、もはや限界です」
「いくら元有機体アンドロイドといえど、彼女らにも、のんびりと休暇を与えなくてはなりません」
「ハウスキーパー事務局には、各部署からの人員増員の要請書類が、山のように積みあがっています」
「内局には、一般女官を『名誉付』で引き上げていく方針を固めました、当面の内局の人手不足は解消です」
「また惑星世界管理局には、未開発世界軍事監視官制度を創設し、対応することになっています」
「それでも事務処理部門は人手不足のようです」
「ヴィーナス・ネットワーク管理RCTに、『天女ニンフ』を集中しても、過負荷になると予想されています」
「ニライカナイ管理RCTに、デミ・モンドさんを配属する余裕はありません」
「不足気味のグリセットさんは、先ごろプラネテスの管理することになった、虫の食料惑星の住民を当てれば、何とかなると思われます」
フルーツガール人と同様に、希望者を選抜しても、膨大なグリセットさんが誕生しそうですから、ネットワークの男子禁制領域の管理業務には、惜しげもなく人員を投入できます。
グリセットさんの人員不足は解消されたと、ネットワークでは認識されています。
なんせグリセットさんたちは、食料人種として虫が改良していましたから、多産なのです。
「とにかくデミ・モンドさんの過負荷を、解消しなくてはなりませんね、ロボットで補助できるか、検討してみましょうか」
一応、オルゴール通信でマレーネさんに連絡しているヴィーナスさんです。
脳内で呼び出せばいいのですが、平時ということで、女官さんと同じように努めているようです。
「マレーネさん、少し話があるの、お茶でもご一緒しませんか?」
すぐにマレーネさんが転移してきました、スーパーハイゲートを使ってですけどね。
「『キャロブチョコドリンク』ですけど、どうぞ」
エラムウイッチリゾートには、ネットワークの『コッペハウス』もあります。
ヴィーナスさん、少々ケチですから、ウイッチには無料の、『ニライカナイカフェ』と『コッペハウス』はお気に入り、よく姉のイシスさんと出没しています。
エラム文化圏の、『コッペハウス』のお勧め商品は、ココアマシンで入れた『キャロブチョコドリンク』と、『にがり草ナン』にバターを塗ったもの。
エリーゼさんとヘレンさんが、『コッペハウス』へ行って、持ってきてくれました。
「エラムも変わりましたね……私が監視していたときは悲しいぐらいみすぼらしくて……貧しくてパンも食べれない人ばかりでしたね」
マレーネさんが珍しく、感慨にふけった言葉を吐いています。
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