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第六十一章 のんびり生活のはずが

デミ・モンドさんの補助ロボット姉妹

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「ところでマレーネさん」
「ほら来た、ココアも満足に飲めないのですか?どのようなご用件なのでしょう?」

「いえね、デミ・モンドさんの、人手不足の話なのですけどね」
「その話ですか……私の意見はシンプルで、再三申し上げておりますが、マスターが却下しているのですよ」
「製造または複製ですか……」

「それしか、ないではありませんか」
「そもそもデミ・モンドは、ネットワークの中枢の事務処理を扱う者、おいそれ任命するわけには行かないし、ウイッチを動員するにも能力不足、種族化させたマスターのお考えを、変えていただくしかありません」

「たしかに手っ取り早いのですが……そこで、私としては考えたのです」
「CTR1型1号システムを改良して、デミ・モンドさんの補助としたいのです」

「ロボットですから、それほど気を使うこともありませんし、人格は不要とします」
「オフィス用の、人工知能ロボットを大量生産して、この慢性的な人手不足を解消したいのです」

「少々融通が利かなくてもかまいませんよ、デミ・モンドさんなら使いこなせるでしょう?」
「大量製造している、レイルロードのトゥイーニー・オートマトン、RTA001型では能力不足でしょう?」
 
「いや、CTR1型1号システムでは無理でしょう……CTR3型1号システムでも能力不足……」
「標準ステーションの、各階管理コンピュータークラスが必要ですね……これを人型に押し込むのでしょう?」

「やはり移動端末ぐらい必要ですよ、もうそうなれば機械体アンドロイド、イレギュラーが起こりかねません」
「いつか種族として、進化させなくてはならなくなりますよ」

 ここでサリーさんが、
「それは不可です!『オールドソウル』や『天女ニンフ』の種族化を、最後にしていただけませんか!」

 特に『天女ニンフ』族は、もともと男性体のセックスアンドロイド。
 美女ぞろいの上に、本能的にお色気過多なのです。
 そのような種族が増え、ミコさんの側に侍るのは、百合の会議で間違いなく揉めます。
   
「そうですね……CTR3型1号システムをロボットに埋め込んで……限界まで事務処理能力を引き上げ、戦闘指揮能力は不要……人格システムは必要最小限……」

「イレギュラーの発生を抑えるには……やはり人格システムは不可……うーん、どうするか……」
「擬似人格……表面的には人格を持っているように……昔のプログラムにそのようなものが……」

「これこれ、『ボーイ』の前のプログラム、おや、バグがある……」
「ここを書き換えて……と……これでも所要能力は4分の1……」

「いけない、バイオチップを使っていた……」
「やはり量子コンピューターぐらいで収めなくては……所要能力が6分の1……」

「ねぇ、分散型で対応できないの、昔の言葉でいうLAN回線、姉妹で対応とかね」
「それにね受身でいいのよ、自立しなくてもいいわよ、それに少しばかり小型でね、やはり女性にしてよね」

「なるほど……分散ですか……受身ですか……やはり女性ですからね……」
 この後は、ヴィーナスさんの想定外のお言葉が、乱れ飛んだのです。

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