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第六十三章 時のつながり
聖地巡礼
しおりを挟むホテル『ご機嫌な天使』で、散々に夜に運動をした私たち、フロントに朝風呂は可能かと聞きますと、可能との返事、一番風呂に入ったわけです。
なんせ聖地に向かうわけですから、身体を清らかにしたいとの理由なのですよ。
私たちはいまから聖地巡礼ツァーにいくわけです。
神聖教の神官見習いが、この道を行くのは何らおかしくなく。
神官見習い以外にも、観光として歩く方が多くいます。
しかし観光の聖地巡礼ツァーは、ガルダ村から廃墟の教会へのコースで、朝にガルダ村を出れば、昼前には廃墟の教会へたどり着き、夕刻までには戻ってこれます。
途中の道は整備され、昔は山ほどいた野獣たちも、人が行き交うので、森の奥に隠れてしまっています。
この道の警備は、ヴィーナス騎士団の新米騎士が一番最初に行うことになっており、朝から夕方まではきわめて安全なのです。
この正式なコースは、アルジャから細い巡礼山道と、今では呼ばれている道を行き、常に雪が舞っている峠道を越え、三日かかってガルダ村近くの、『忘れられた教会』を通り、ガルダ村へ。
それから観光コースでもある、『廃墟の教会』へとなるのです。
惑星エラムの中央大陸は、ほとんどがテラのヨーロッパの気候と思って間違いはない。
エラムの中央大陸はやや北側によっており赤道は大陸の南端、コナあたりを通っています。
そのあたりがいわゆるテラの地中海性気候に該当し、その為に乾季雨季とは、雨がよく降る季節とそれ以外の季節ぐらいの意味です。
ただ中央部の山脈は標高が高く、その懐にあるシビルなどはかなり寒冷、このあたりの雨季とは雪が多く降るようです。
新年を挟んで一年の三分の一ぐらいが雨季、いまは雨季の真っ盛りとなる、事実レムリアあたりは、かなり雪が降っています。
エラムにおいて、熱帯と呼べる場所はジャバの裏側のランカー島だけ。
中央に赤道が通り、暖流に抱かれているこの場所は、火山の地熱も手伝いかなり暑く、カカオなども栽培されています。
この島はジャバ王国の領土であり、アポロさんが晩年に遠征隊を送り、領有した無人島です。
本当のチョコレートが、エラムでも作られているわけで、超高級品ですね。
「神官見習い服の、防寒装備は大丈夫ですが、峠はかなり雪が積もっているはず、こんな事が静養になるのですか?」
「この間の戦いで、体はボロボロになりましたが、なんとか直りました」
「でも精神的なストレスは、まだ完治していないのでね、初めて旅を思い出して、初心に返りたいのです」
「二人とはその旅で知り合った訳で、今回同行をお願いしたわけです」
「もっともビクトリアさんには、ガルダ村からと、お願いしたのですけど」
「光栄だ、ダフネなんかかなりむくれていたが、私は昔を思い出して嬉しい」
「それに峠を越すと聞いたのでは、護衛の者がいるではないか?」
「あるじ殿は始めて峠を越えたときは、三人と聞いている、ピエールさんの代わりに、私があるじ殿を背負って見せよう」
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