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第六十四章 神(かみ)さり

扉の向こうの拝殿

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 神の御許への道、少なくとも扉は推測できる。
 惑星エラムの最初に現れた『洋人』の幽子、その幽子が旅立った所が、オリジナルが存在する鏡界。

 そしてそこから導かれるであろう世界が、私が探し求めた本当の故郷、惑星アースではない惑星地球、私、吉川洋人が生まれた、故郷と呼べる場所。

 その地球にある、出雲大社本殿内にある御客座、そこに天之御中主神様は確信が持てないが、少なく高御産巣日神様と神産巣日神様は居られるはず。

 待って居られるかもしれない。
 ただ残りの二柱の神様とは、どのようになるかは分からない。
 そもそも存在しているかどうかも、私には分からない。
 とにかく私は行こうと決めた……

 まだ昼にはなっていないだろう廃墟の教会で、いまだ多くの神官さんや見習いさんが、列柱にもたれかかるように座り込み、瞑想にふけっています。
 私も朝から瞑想を続けている、一人の見習いとしてそこに存在しています。

 少しばかりの食事をとり、身体を動かし、これから先の出来事に備えました、もちろんトイレもね。
 私は、再び瞑想にふける準備をしているように見えるでしょう。

 そして私は、廃墟の教会で時を遡上してました。
 洋人の幽子が出現した瞬間、私は時を止めてみました。
 幽子ナノマシンを増殖させ、きわめて小さい『メギドの火』を作ります。
 爆発などしないよう、最新の注意を払って……

 そしてあらん限りの意識を使い、その洋人の起動幽子自体の、極小時間を遡上しました。
 何かが見え、私は作り上げたきわめて小さい『メギドの火』に、自らの精神を同調させたのです。
 
 そして神の御許にたどり着く、一人ぼっちの彷徨える旅にでたのです。

 気がつけば夜でした。
 目の前には大きなお社……出雲大社の拝殿です……

 何かの結界が張られているのが分かります。
 この拝殿を通らねば、奥の本殿にはたどり着けないという、確信があります。

「何者か?」と、誰何(すいか)されました。
「私はルシファー、造化三神様に、お目通りに参りました」

「聞かぬ名だ、しかし只者ではなかろう」
「国津神といえど、この世界には入ってこれぬはず、我ら別天津神五柱だけが、出入りできる世界」
「怪しいやつ、造化三神といったな、天之御中主神様はここには居られぬ、帰りたまえ」

「では高御産巣日神様と、神産巣日神様にお目通り願えませんか?」
「娘が会いに来たと、お取次ぎください」

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