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第四十八章 悲嘆のエネルギー

嘆きのエネルギー

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 ニライカナイの夜時間、私のお家です。
 姉は胡坐などかいて、私の前に座っています。
 姉が気が付き、「『天之御中主(あめのみなかぬし)』様ですか……」と呟きました。

 時が動き始めました。
「姉さん、終わりました」
「なにが?」
 私はこまごまと説明しました。

「では、今の一瞬の間に……その世界はエラムと名乗ったの?」
 頷く私。

「とにかくアナーヒターは休みなさい、後の処置は私が手配してあげる」
「姉さん……私……狂いそうなの……」

「ハイドリッヒの件?」
 再び頷く私。
 嬉しそうな顔をした姉。

「イシス!とことん可愛がってあげる!」
 私は手荒く姉を抱きよせました。

 朝まで延々と、私はイシス抱いていました。

 梵天ブラフマーは、舌打ちしながらこれを見ていた。
 ……これでルシファーの嘆きのエネルギーは回収できなくなった、エネルギーが弱くなってきた、しかし十分すぎる量を回収できたぞ……

 翌日、姉も私も疲れ果てていました。
 特に私はあれだけの行為をしたのか、枕が上がりません。

 姉が、
「今日一日は休みなさい、とにかく何も考えずにね、貴女は目的を達したのです」
「幽子の具現化は阻止できた、当面の危機は回避できたのです、後処理は任せなさい」

「そうします、すごく疲れました」
 かろうじて、そのように答えたような気がします。

 イシスは考え込んでいた。
 アナーヒターは余程、心が疲れているのね、何かで忘れたいのね……嘆きのエネルギーですか……
 
 イシスはニライカナイの会議室に、マレーネとサリーとシウテクトリを呼んだ。
 序列二位として招集である、当然のように正式の礼装を着込んでいる。
 
「先にサリーに命じておく、本日はヴィーナス様に誰も近づけないように、途方もなく疲労されている、話の前にすぐに手配をしてください」

 サリーがすぐに手配しに行き、しばらくして戻ってきた。

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