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第七十二章 ニライカナイ創世

責任感

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「しかし……そう云っても……万一の場合……」
「それは大丈夫、チョーカーを付けます、でなければ皆、承知しないでしょう?」
「もっとも、本人が承諾すればの話ですが、承諾したら身体を復元し、私の女にしてから『天女ニンフ』を任せます」

 マレーネさんが、
「復元は私が担当します、完全に女性の身体にし、当然官能回路もインストールしますので、そちらの方は懸念のないように致します」

「位はどうされますか?」
 エールさんが発言しました。

「佳人待遇夫人とするつもりです」

 それまで無言を通していたシウテクトリさんが、
「とりあえず天照大神(あまてらす)を仮に動かして、自らの意見を述べさせましょう、人工知能は無傷なのでしょう?」

「ルシファー様のチョーカーをいただくなら、危険はないでしょう、なら私は反対する理由はない」
「シウテクトリの云うように、自らの意見を聞いてからにしましょう」
 イザナミさんもシウテクトリさんに賛成しました。

 こうして、天照大神(あまてらす)の人工知能は、小さいロボットに接続されたのです……
 このロボット、あるあまりに有名な、お人形そっくりでしたが……身長二十センチぐらいですか……

 天照大神(あまてらす)が目覚めました。
 そして私たちを見回して、
「どういうことだ、説明願えるのか?」
 可愛い……このままでもいいか……

「天照大神(あまてらす)よ、キュベレーたち男性体は潰滅した、天使の軍団も全て滅ぼした」
「『天女ニンフ』たち三十万体が捕虜になっている」
「私は汝を見込んだ、私に仕えろ、それともキュベレーに忠誠を尽くすのか?」

「尽くさねばならぬ、私はキュベレー様に作られたのだから……創造主にどうして逆らえよう」
「その尽くす相手はいないぞ、汝は倒れし者を悼む心を持っていた」

「いま『天女ニンフ』たちは、どうすればいいのか途方にくれているはず、指導者を待ち望んでいるのではないか?」
「それにヘヴン世界に住まう人々に対して、汝は責任を感じないのか?」

「さらに汝は最後に私に云ったな、『天女ニンフ』たちには、慈悲を賜れれば幸いである、と」
「彼女らは男と女の戦など関係ないと……その言葉に対して、どう汝は行動するのか?」

「……」
 やはりね、天照大神(あまてらす)は責任感がつよい……ここを責めれば……

「昨日戦い、今日敗北すれども生き残った、なら明日はどうするのか……逃げられんぞ……」

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