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第二章 休日は楽しいはず
虐げられる一族
しおりを挟むそして三時間後、宇賀という女性が、例の三人を連れてやって来ました。
その時には、クリームヒルトとヴァランティーヌも帰ってきています。
クリームヒルトは、宇賀様と呼ばれた女性を眺めていました。
とても清楚な方だと思いました。
美子姉様に、
「宇賀です、この度は不躾なお願いをいたしましたが、一族を助けていただきたいのです」
そこへマレーネ様が転移してきました。
「これは……マスターに呼ばれてみれば……人でないものが五人もいますが……」
「また拾うことになったのですか?サリー様に叱られますよ」
「まだ抱いていません、だけど直談判に来られているのです」
「何処かに、この方たちが住める世界はありませんか?」
「狐タイプのヒューマノイドですか……ご一族は幾人おられますか?」
「一万名を切る程度ですが……」
「基本的に善狐ですよね……ここより33光年のところに一つ、適当な惑星がありますが……」
「それより蓬莱ステーションを拡張して、善狐たちに管理させてはどうでしょうか……」
「ここはいまだ不定期路線、不便なのにそれでも蓬莱を監視しなければならないでしょう?」
「ここにあるステーションの住居施設は、五万名は住める規模ですし……一族が皆マスターに従うなら、認めてもいいのでは?」
「たしかに私が掴んでいる状況なら、『蓬莱』の善狐の一部は、滅亡の淵にいるのは確かですから」
聞いてみると、宇賀さまの一族というのは、仏教系と神道系の稲荷神たちの間に位置する、弱小一族だそうで、どちらからも嫌われているようで、先の九尾の様な者を、けしかけられているそうです。
「エキノコックスの亜種も蔓延していますよ」
と、マレーネ様……
エキノコックスとは、狐の寄生虫病ですね。
「ほぼ半数は感染しているようです、狐にとっては死病ですね……マスターも不用意に抱くとうつりますよ」
「善狐さんといえどもですか?」
「多分、善狐だけだと思います、これ悪意がありますね……善狐の間でも細菌戦があるのですか……」
「目の前の方も感染されていますよ……激痛でしょうに、大したものですね」
クリームヒルトはやり取りを聞いていました。
お友達の三名は、緊張した顔で座っています。
「マチちゃん、シズちゃん、ミチちゃん……心配しなくてもいいわよ……美子姉様は優しいの、それにとてもお力をお持ちなの……貴女たちのことを、きっと救ってくれるわ……」
「クリちゃん……ごめんね……騙していて……」
「いいのよ、私も騙していたようなものだから……」
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