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第十四章 踊り子

05 アリスが悪いの……

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 でもベリーダンスは何故……少し不満が渦巻くのを否定できません。

 アナスタシアさんが、
「イシュタル様、そうご不満を漏らさずに、私がストリップを踊って差し上げますから。」
 あぁ、皇女が壊れています。

「アナスタシアさんも、その踊りの名前は忘れましょう、仮にもキリーの施政権を持つ身ですよ。」

 それもこれも、アリスさんのせいですね。
 私は忘れませんよ、復讐するは我にあり、です。

 ひと段落がつきましたので、私の部屋へアリスを引きずっていきました。
「さあ、アリスさん、私の部屋を荒らしている理由を聞きましょう。その前にここでお尻をぶちましょうか?」

「お姉さまのことがもっと知りたかったの!」
「私、小雪と違って子供にされているの、だからお姉さまにあまり可愛がってもらってない!」

「お姉さまのお姉さまにもいわれたわ、私だけいつも除け者!」
「だからお姉さまのことをもっと知り、役に立ち可愛がってもらおうと……」
 アリスさんが泣き出しました。

 アナスタシアさんが、泣き声を聞きつけ、駆けつけてきました、完全に私が悪者です。
「イシュタル様!こんな幼いアリスさんに、なにをしたのですか!」

「アリスさん、泣かないで、悪いイシュタル様ね。後で私が文句をいって上げます、さあ涙を拭いて。」
 アナスタシアさんに、睨みつけられました。

 私の方が泣きたくなります。

「お姉さまは悪くないの、アリスが悪いの……」
 アリスさん……

 たしかにアリスさんを幼いとして、心を踏みにじったのかもしれません。
 そう考えた時、

 !

 閃きました。

「アリスさん、貴女を除け者になんかしていませんよ。今度の一座でも、アリスさんのことは考えているつもりです。」

「貴女には、最後に歌を歌ってもらおうと考えていました。」
「実はアリスさんにピッタリの歌があるのです。私の世界での名曲です、この歌を練習してください。」

 歌の名は、虹の彼方に、オーバー・ザ・レインボー
 そうミュージカル映画『オズの魔法使』でジュディ・ガーランドが歌った歌。

 この歌は十四歳の子が歌うには、あまりに大人びていると、お蔵入りになりかけた歌。
 でも、アリスさんは十四歳でも大人、この歌はアリスさんしか歌えないはず。

 生きる喜び、この素晴らしき世界を歌う歌を、一座の最後に歌ってほしいと思います。
 人々の顔に輝きがあらんことを願って、黒の巫女のメッセージとして。

 でも、アリスさん。
 私はアリスさんを私の膝にのせて、かわいいお尻を剥きだして、軽く二回ほどたたくのは忘れませんでした。

「お姉さまの鬼!」
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