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第十八章 休養

07 源兵衛さんのプレゼント

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「次に現地での物品提供ですが、マスターが現地の物質を手に持って差し出してください。」
「その手に持った物を資材として、その場で再構成して物品を複製します。これはマスターだけの簡易魔法となります。」

「起動キーは少し長いですが、『汝が望むものを捧げる』です、これでマスターの頭の中にカタログが浮かび上がりますので、その中より選んでください。」

「主席は、マスターの魔法を中和できる可能性があります、ビクトリアを乗っ取った能力は大変なものです、その時でも、この簡易魔法だけは起動できるはずです。」

「その際、特別なカタログも提示しますので、それで身を守ってください。また付け足しておきますが、敵を掴んで起動キーを唱えると、どうなるかおわかりですね、これが私のご提示できる、究極の護身方法とお考えください。」

「次にエラムへ行かれる時に、前室のパスポートキー登録の機械に両手をかざしてください、マスターの手に細工をさせていただきます。」
「この力は本当に内密にしておいてください、パスポートキー登録者にもです。」

「また作り出したものは、現地調達のいわゆるエラム製となり、消え去ることはありません、できましたら使用後はご自分で消滅させてください。」

「この能力は、エラムでの魔法と似ていますが、その原理は同じでも、所属が違うとお考えください。つまり命令系統が違うのです。」

「これから、なにかあった時に、直接あなたと話したい場合、どうすればよいのですか?」
「では私に名前をつけてください。その名前が頭脳でとなえられた時、私は直接マスターの頭脳のなかへ話しかけるようにいたします。」

 私はしばらく考えたのち「源兵衛さん」、貴方のことは「源兵衛さん」と呼びます。
「それから、先程のしゃべり方はやめてください。」
「私としては気に入っているのですが。」

 こうして私は源兵衛さんと、直接の連絡方法を確立しました。

「話しはこれで終わりまっせ、つきましては、わてからプレゼントでおます、有意義におつかいやす!」
 こんどは都言葉の響きがあるような……
 この壊れた言語を、何とかしなければなりませんね。

 プレゼントが届きました、アリスさんが「お姉さま、贈り物が届いていますが」アリスさんは先程のことを覚えていません。

 皆が見つめている中で開けますと……これはなんですか!
 あの源兵衛の野郎……

「マスター、お呼びですか?」、
 頭の中に返事がありました。

「これはなんのいたずらですか、いたずらにしてはあまりに破廉恥な!」
「いまのマスターには、切実に必要と考えたのですが、なにかご不満ですか?」

 !

 言葉もありません。

 思わず赤面してしまいます。
 そこにあったのは……
 いえません、とても私の口からはいえません……

「お嬢様、もしかして、これは殿方の?」
 サリーさん、カマトトはほどほどにしてください!
 『大人のおもちゃ』ぐらい、貴女は知っているでしょう!
 使い方までね!

 えっ!使用するの!だれと?
 皆さんと?……
 
 ……使用しましたよ……腰につけてね……

 結局、皆さんは満足気な顔をしています。
 私もかったるい疲労感が、心地よい休暇となったのは間違いありません。
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