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第六十七章 平和な日々の始まり
02 政策立案の主導権
しおりを挟む「アポロさん、この条約案、私と女官長さんたちをダシにしていませんか。」
「後半の第五項以降に、本音がチラチラとみえますが。」
「諮問会議で、百合の会議からの提案を聞いた時、全員一致で、これはチャンスと感じたのです。」
「かなり経済を重視していますが、だれが入知恵をしました。」
「思い当たるのが一人いるのですが……レムリアの極秘情報を手に入れて、こんな計画をたてるおっさんがアムリアあたりに。」
「お察しの通り、ベネディクト会長です。」
「でもひとり勝ちは、私がさせませんのでご安心を、ジャバもカルシュも、金融は生命線ですから、むざむざアムリア資本に遅れは取りません。」
「度量衡と通貨の統一というのは、古来から帝国が行う仕事。」
「それをエラム全域でするというのは、エラムを文字通り統一するということ。」
「まぁもともと度量衡も通貨も、地域差はあまりありませんでしたから、何とかなるでしょうが、慎重にお願いします、この計画には私も賛成します。」
ここでアポロさんが、
「実は一つお願いがあるのですが……」
すごくいいにくそうです。
「なんですか?」
「いまエラムの全権力は、黒の巫女様の手に握られています、それで……」
「それで?」
「諮問会議にすこし移譲していただけないかと……」
「拒否します。」
「……」
困った顔をしていますよ、アポロさんは……
「冗談ですよ、でもね、もっと具体的にいってください。」
「全部を寄こせというのだったら、それはそれで構いませんよ、私は愛人さんをつれて、さっさと消えましょう。」
「そういう意味ではありません……」
「各国間の統一政策について、政策立案の主導権が欲しいのでしょう?」
「はい、いまエラムの諸国は、一つにまとまりつつあります。」
「各国の施政は、私たち宰相が代理して行い、うまく機能しています。」
「しかし現在、各国間にまたがる施政は、巫女様ご一人だけが、行うことができます。」
「しかしそれでは、巫女様がお決めにならなければ、何一つ決まらないということになります。」
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