上 下
135 / 152
第六十七章 平和な日々の始まり

02 政策立案の主導権

しおりを挟む

「アポロさん、この条約案、私と女官長さんたちをダシにしていませんか。」
「後半の第五項以降に、本音がチラチラとみえますが。」

「諮問会議で、百合の会議からの提案を聞いた時、全員一致で、これはチャンスと感じたのです。」
「かなり経済を重視していますが、だれが入知恵をしました。」

「思い当たるのが一人いるのですが……レムリアの極秘情報を手に入れて、こんな計画をたてるおっさんがアムリアあたりに。」

「お察しの通り、ベネディクト会長です。」
「でもひとり勝ちは、私がさせませんのでご安心を、ジャバもカルシュも、金融は生命線ですから、むざむざアムリア資本に遅れは取りません。」

「度量衡と通貨の統一というのは、古来から帝国が行う仕事。」
「それをエラム全域でするというのは、エラムを文字通り統一するということ。」

「まぁもともと度量衡も通貨も、地域差はあまりありませんでしたから、何とかなるでしょうが、慎重にお願いします、この計画には私も賛成します。」

 ここでアポロさんが、
「実は一つお願いがあるのですが……」
 すごくいいにくそうです。

「なんですか?」
「いまエラムの全権力は、黒の巫女様の手に握られています、それで……」

「それで?」
「諮問会議にすこし移譲していただけないかと……」
「拒否します。」
「……」

 困った顔をしていますよ、アポロさんは……
「冗談ですよ、でもね、もっと具体的にいってください。」
「全部を寄こせというのだったら、それはそれで構いませんよ、私は愛人さんをつれて、さっさと消えましょう。」
「そういう意味ではありません……」

「各国間の統一政策について、政策立案の主導権が欲しいのでしょう?」
「はい、いまエラムの諸国は、一つにまとまりつつあります。」

「各国の施政は、私たち宰相が代理して行い、うまく機能しています。」
「しかし現在、各国間にまたがる施政は、巫女様ご一人だけが、行うことができます。」

「しかしそれでは、巫女様がお決めにならなければ、何一つ決まらないということになります。」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

サファヴィア秘話 ―妖花満開―

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:92

恋愛禁止令なんてひどすぎる!!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

怪人幻想

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

溺愛の価値、初恋の値段

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:110

シスターはヤクザに祈る

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:358

百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:19

姉の婚約者はボクに発情した

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

【完結】見習い魔女は、副騎士団長に片想いしている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:67

花降る夜の相談室

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

処理中です...