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第一章
13 友情ストーリー
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再会や出会いに溢れた王宮舞踏会の数日後、パスカリーノ辺境伯家タウンハウスにはアリソンが訪ねてきていた。
舞踏会では王太子の婚約者としての仕事で忙しく、ロザリンドを構えなかった為である。
「ダンスで大人気だったみたいね。ウィンから聞いたわよ」
「大人気…。お腹が空いててビュッフェに行きたいのに、次々に人が来て困ってたのよ。ウォーレン様が来なかったら空腹で倒れるところだったわね!」
「ふふふ、ウィンをダンスフロアから逃げるダシに使ったのね」
ダンスフロアでの人気ぶりはアリソンの耳にも届いていた。
「それにしても、舞踏会ではもっとローザといられると思ってたのに。残念ね」
「アリーは王太子殿下の婚約者だもの。仕方ないわよ」
「何か面白いことはあった?」
「聞いてくれる!?」
アリソンの問いかけに、ロザリンドは目を輝かせながら、舞踏会での出来事を話しだした。
トマスとの再会、終わらない空腹ダンス地獄、コルセットのせいでイマイチ堪能しそこねたビュッフェ、それからトマスとの月明かりの下でのダンスにジュリアの事。「ジュリア様は時々なんだか不機嫌そうだったけど、たぶんコルセットがキツ過ぎてお腹が苦しかったのよ」と話すと、「…そうだったら面白いわね?」とアリソンは微笑んだ。
「トマス卿はファインズ侯爵家の方だったかしら?元々知り合いだったの?」
「そうよ。父親同士が友人で幼馴染みなの。王都に住んでた頃はよく遊んでもらったのよ」
「久しぶりに会って印象変わったんじゃない?」
「そうなのよ!トムお兄様ったらとっても背が高くなってて、でも困った様に笑う顔は幼い頃のままで。なんだかドキドキしちゃって……ハッ!まさかこれが恋…!?恋なの!?運命なの!?そうなの!?」
「…落ち着いてローザ」
急にソワソワしだしたロザリンドをとりあえず宥めると、アリソンはトマスとジュリアについて記憶を辿る。
―――トマス卿は特に問題があるとは聞いた事がないわね、ジュリア・レベッカ・ノース嬢はたまにお茶会なんかで同席するけど、特に何の印象もないわね。まあ、軽く調べておこうかしら。
「アリーどうしよう!実は今度トムお兄様に王都を案内してもらう約束をしたんだけど、恋かもって思ったら恥ずかしくなって来ちゃった!」
アリソンは『ドキドキ=恋』と思い込み、落ち着きがなくなったロザリンドの手を両手で優しく包み込むと、顔を覗き込む。
「落ち着いてローザ。それは本当に恋のドキドキかしら?」
「え?そうね……そう言われてみると、何だか違う気がしないでもない気がしてきたわ!」
アリソンの言葉にロザリンドは考えようとしたが、なんだか難しそうで「アリーが違うって言うなら違うかも!」と一瞬で思考を放棄した。
「ボソボソ……きちんと調べてからじゃないとね」
「何か言ったアリー?」
「いいえ?何も。そうそう、王都を案内してもらうのね。いつなのかしら?」
「明後日よ!」
「そう、楽しんで来てね」
「ええ!そうだ!何を着ていったらいいと思う?アリーも一緒に考えてくれない?」
「ふふふ、いいわよ」
ボソボソと何か呟いたアリソンは、ほんの一瞬窓の外に視線を向けた。
その後、二人は衣装部屋であれやこれやとファッションショーを繰り広げ、「こんなシーン小説で読んだことあるわ!これぞ友情物語!わたくし、今とっても青春してるのね!」と突如興奮したロザリンドに、アリソンもいつもの淑女スマイルは忘れて年相応に吹き出して笑った。
舞踏会では王太子の婚約者としての仕事で忙しく、ロザリンドを構えなかった為である。
「ダンスで大人気だったみたいね。ウィンから聞いたわよ」
「大人気…。お腹が空いててビュッフェに行きたいのに、次々に人が来て困ってたのよ。ウォーレン様が来なかったら空腹で倒れるところだったわね!」
「ふふふ、ウィンをダンスフロアから逃げるダシに使ったのね」
ダンスフロアでの人気ぶりはアリソンの耳にも届いていた。
「それにしても、舞踏会ではもっとローザといられると思ってたのに。残念ね」
「アリーは王太子殿下の婚約者だもの。仕方ないわよ」
「何か面白いことはあった?」
「聞いてくれる!?」
アリソンの問いかけに、ロザリンドは目を輝かせながら、舞踏会での出来事を話しだした。
トマスとの再会、終わらない空腹ダンス地獄、コルセットのせいでイマイチ堪能しそこねたビュッフェ、それからトマスとの月明かりの下でのダンスにジュリアの事。「ジュリア様は時々なんだか不機嫌そうだったけど、たぶんコルセットがキツ過ぎてお腹が苦しかったのよ」と話すと、「…そうだったら面白いわね?」とアリソンは微笑んだ。
「トマス卿はファインズ侯爵家の方だったかしら?元々知り合いだったの?」
「そうよ。父親同士が友人で幼馴染みなの。王都に住んでた頃はよく遊んでもらったのよ」
「久しぶりに会って印象変わったんじゃない?」
「そうなのよ!トムお兄様ったらとっても背が高くなってて、でも困った様に笑う顔は幼い頃のままで。なんだかドキドキしちゃって……ハッ!まさかこれが恋…!?恋なの!?運命なの!?そうなの!?」
「…落ち着いてローザ」
急にソワソワしだしたロザリンドをとりあえず宥めると、アリソンはトマスとジュリアについて記憶を辿る。
―――トマス卿は特に問題があるとは聞いた事がないわね、ジュリア・レベッカ・ノース嬢はたまにお茶会なんかで同席するけど、特に何の印象もないわね。まあ、軽く調べておこうかしら。
「アリーどうしよう!実は今度トムお兄様に王都を案内してもらう約束をしたんだけど、恋かもって思ったら恥ずかしくなって来ちゃった!」
アリソンは『ドキドキ=恋』と思い込み、落ち着きがなくなったロザリンドの手を両手で優しく包み込むと、顔を覗き込む。
「落ち着いてローザ。それは本当に恋のドキドキかしら?」
「え?そうね……そう言われてみると、何だか違う気がしないでもない気がしてきたわ!」
アリソンの言葉にロザリンドは考えようとしたが、なんだか難しそうで「アリーが違うって言うなら違うかも!」と一瞬で思考を放棄した。
「ボソボソ……きちんと調べてからじゃないとね」
「何か言ったアリー?」
「いいえ?何も。そうそう、王都を案内してもらうのね。いつなのかしら?」
「明後日よ!」
「そう、楽しんで来てね」
「ええ!そうだ!何を着ていったらいいと思う?アリーも一緒に考えてくれない?」
「ふふふ、いいわよ」
ボソボソと何か呟いたアリソンは、ほんの一瞬窓の外に視線を向けた。
その後、二人は衣装部屋であれやこれやとファッションショーを繰り広げ、「こんなシーン小説で読んだことあるわ!これぞ友情物語!わたくし、今とっても青春してるのね!」と突如興奮したロザリンドに、アリソンもいつもの淑女スマイルは忘れて年相応に吹き出して笑った。
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