ど天然田舎令嬢は都会で運命の恋がしたい!

上木 柚

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第一章

22 最後の謎解き

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『真ん中から君と私を見下ろす尊老は 約束の刻を告げる』

 最後の文の謎に取り掛かった一行は、まだティールームにいた。

「『そんろう』ってなに?」
「普通に考えると老人のことだけど、この場合はなんだろう。誰か特定の人物って訳ではないのかもね」
「前の2つを考えると、人ではない可能性もありますわね」

 考え込むトマスとジュリアを尻目に、ロザリンドは今後行きたい王都の名所に思いを馳せている。
 有り体に言えば、考えることを放棄していた。
 探偵七つ道具のメモに行きたい名所をリストの様に書き始めると、ジュリアが呆れた目で見てきた。

「まったく、ロザリンド様がこの手紙の謎解きをしたいと仰ったのでしょう!一体何を書いていらっしゃるの!?」

 ジュリアがロザリンドのメモを覗き込む。

 ~~~~~~
 ♡絶対見たい場所リスト♡

 ・中央アカデミーの裏門(『王都に吹く風』でいつもヒロインと公爵が分かれるところ!裏門近くに本当にティールームがあるかも確認!)
 ・国立図書館薬草の棚(『薬草令嬢の結婚』でヒロインと司書に扮していた王子が出会った場所!出来れば梯子に登って同じシチュエーションを楽しみたい!)
 ・時計塔(どの物語にも必ず出てくる!歴史あるその姿は、まるで威厳のある老紳士の様だって何かに書いてあったけど本物を見て、物語への理解をさらに深めたい!)
 ・センシィ…
(書きかけ)

 ~~~~~~

「『アカデミー』に『国立図書館』…なんだかマニアックな場所ばかりですわね…。それから時計塔…威厳のある老紳士…あ!」
「何かわかったのかい?」
「ええ、恐らく」
「なになに!?」

 ロザリンドとトマスの期待に満ちた視線に、ジュリアは「間違っているかもしれませんわよ?」と断りを入れる。

「時計塔ですわ。ロザリンド様のメモにある『威厳のある老紳士』です」
「なるほど!時計塔は中央区の中心部にあるし、王都屈指の高さだ。建造されたのは約200年前。歴史あるその姿はよく老紳士に例えられているね!まさに尊老だ!」
「ほうほう」

 謎が解け、スッキリとした面持ちのトマスとジュリア。本当はよくわかっていないが、納得顔のロザリンド。
 一行は時計塔を目指すべく、ティールームを後にした。
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