ど天然田舎令嬢は都会で運命の恋がしたい!

上木 柚

文字の大きさ
30 / 66
第二章

28 会いたかった!

しおりを挟む
「お母様!ウォーレン様は恋人ではないわ!決して!断じて!絶対に!何が起きても!!」
「お、おい、なにもそこまで全力で否定しなくても…まあ、間違いないが」

 慌てて否定する二人に疑惑の目を向けるリリアン。後ではジェームズが凶悪な面持ちで不穏な空気を醸し出している。

「えー!?違うの?なんで?うちのローザでは駄目かしら?中身はともかく、結構可愛いと思うんだけど…」
「……貴様、まさか私の娘が気に入らんとでも言うのか!?そもそも、誰だ?名乗りもせず」

 娘の交際に関して、賛成なのか反対なのか今イチわからないジェームズ。ウォーレンは、リリアンの発言で動揺して、自己紹介をしていない事に気付いた。

「失礼しました。俺はパーカー公爵家のウォーレン・グレッグ・パーカーと申します。この度は従妹のアリソンの付き添いで同行いたしました。数日お世話になりますので、よろしくお願いいたします」
「ラッシュブルック公爵家のアリソン・ポリー・ラッシュブルックです。ロザリンド様とはとても仲良くさせていただいております」

 二人が自己紹介を終えると、ジェームズは「なんだそうか、早く言いたまえ」と再び静かになり、リリアンは「えー。面白くなると思ったのに…」とボソッと呟く。

「……ロザリンド嬢は」
「確実に辺境伯夫人似ね」

 アリソンとウォーレンは小さく囁きあった。


 リリアンの誤解を全力で否定してきたロザリンドとウォーレン、その状況を存分に楽しんだアリソンは厩舎に向かっていた。

「もう!ひどい誤解だったわ!わたくしにはトマス様がいるのに!」
「ウィンと誤解されて、ここまで力強く否定する子も珍しいわね。まあ、完全に同意だけど」
「君たち、俺の扱いが酷くないか?一応、未婚の令息では人気がある方なんだぞ」
「「はいはい」」
「しかし、辺境伯があれでは、婚約の事はもしや…」
「くっ……まだ言えてないわよ!」
「休暇中に何とかなるといいわね」

「はぁ」とため息をついたロザリンドだが、厩舎が近づくにつれ、居ても立っても居られずについに走り出し、令嬢とは思えないスピードで厩舎に駆け込んでいった。

「エドワード!会いたかったわー!!」

 突然聞こえてきた男性名に、アリソンとウォーレンは顔を見合わせて中に急いだ。
 中では嬉しそうに顔をほころばせたロザリンドが「こっちこっち!」と手招きしている。

「紹介するわね!エドワードよ!」
「あら…」
「これは……」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...