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第二章
39 ウォーレンの行方
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「それじゃあ、助手として雇うとして、あなたの名前は?」
「僕はルーク」
「そう。では、改めてよろしくルーク」
ロザリンドがスッと右手を前に出すと、ルークも右手を差出し、再び握手を交わす。
「それじゃあ、まずはウォーレン様がどこにいるのか教えてちょうだい」
「お兄さんは物置部屋に押し込められてるよ」
「物置部屋はどこにあるの?見つからずに助けに行けるかしら?」
「一階の一番端の部屋だよ。建物の中は見張りがいるから難しいかな。ただ、窓から出て、一階部分の屋根を伝って行けば誰にも見つからないと思うけど…落ちたら峡谷に真っ逆さまだね」
この建物は峡谷ギリギリに建てられている為、ロザリンドのいる峡谷側の部屋の窓の下はすぐ深い峡谷となっている。その為、見張りはいないものの、万が一にでも落ちれば無事では済まないだろう。
ロザリンドは窓から顔を出し、せり出た一階部分の屋根の幅や、窓からの距離を確認した。
「たぶん行けるわ」
その言葉にルークは呆れたような視線を向ける。
「ほんと、どんな教育受ければこんな令嬢が育つわけ?」
「足場の悪い岩山や、崖での活動を想定した訓練も受けているから大丈夫よ!辺境騎士団の訓練施設内に、専用の施設があって…」
「いやいや、具体的な訓練内容は、聞いてないからね?あと絶対おかしいから!教育方針!娘をどこに向かわせてるの?」
「え?どこにって、最近王都に引っ越したのよ」
「……僕、お姉さんとの会話が、微妙に成り立っていない感じがするよ」
「あら、『お姉さん』じゃなくて『ロザリンド』よ!あ、『ローザ』でもいいけど」
「……はぁ」
ルークのため息にロザリンドは首を傾げるが、「ま、いっか」と早速窓に脚をかける。
「え?もう行くの?」
「そうよ。やろうと思った時が始め時!」
「ちょっと一旦待って!お兄さん助けた後はどうするの?ちゃんと考えてる?」
ルークのその言葉に、ロザリンドは「あー!」という表情を浮かべた。とにかくウォーレンを物置小屋から助け出すことだけを考えていて、その後の事は何も考えていなかったからだ。
そんなロザリンドの表情を見て、ルークは「やっぱり…」とさらにため息をついた。
「すごい短時間の付き合いだけど、僕、お姉さんの事が少しわかってきたよ…」
「んもう!お姉さんじゃなくて『ロザリンド』!」
「はいはい。ロザリンドお嬢サマ」
ひとまずルークは、ロザリンドがお腹を空かせているという事にして、様子を探ってくる事を提案した。決行は見張りが交代で休憩を取る昼食時、本当は薄暗くなってからがいいのだが、それだと狼煙が見えないからだ。
ロザリンドは「なるほど!なるほど!」と頷き、その姿を見たルークは『どっちが助手なんだ…』と思いつつ、ついさっきまで敵だった自分を手放しで信用してしまう不用心さに、『この人この先大丈夫かな。いつか絶対に騙されそう』と少し心配になった。
「僕はルーク」
「そう。では、改めてよろしくルーク」
ロザリンドがスッと右手を前に出すと、ルークも右手を差出し、再び握手を交わす。
「それじゃあ、まずはウォーレン様がどこにいるのか教えてちょうだい」
「お兄さんは物置部屋に押し込められてるよ」
「物置部屋はどこにあるの?見つからずに助けに行けるかしら?」
「一階の一番端の部屋だよ。建物の中は見張りがいるから難しいかな。ただ、窓から出て、一階部分の屋根を伝って行けば誰にも見つからないと思うけど…落ちたら峡谷に真っ逆さまだね」
この建物は峡谷ギリギリに建てられている為、ロザリンドのいる峡谷側の部屋の窓の下はすぐ深い峡谷となっている。その為、見張りはいないものの、万が一にでも落ちれば無事では済まないだろう。
ロザリンドは窓から顔を出し、せり出た一階部分の屋根の幅や、窓からの距離を確認した。
「たぶん行けるわ」
その言葉にルークは呆れたような視線を向ける。
「ほんと、どんな教育受ければこんな令嬢が育つわけ?」
「足場の悪い岩山や、崖での活動を想定した訓練も受けているから大丈夫よ!辺境騎士団の訓練施設内に、専用の施設があって…」
「いやいや、具体的な訓練内容は、聞いてないからね?あと絶対おかしいから!教育方針!娘をどこに向かわせてるの?」
「え?どこにって、最近王都に引っ越したのよ」
「……僕、お姉さんとの会話が、微妙に成り立っていない感じがするよ」
「あら、『お姉さん』じゃなくて『ロザリンド』よ!あ、『ローザ』でもいいけど」
「……はぁ」
ルークのため息にロザリンドは首を傾げるが、「ま、いっか」と早速窓に脚をかける。
「え?もう行くの?」
「そうよ。やろうと思った時が始め時!」
「ちょっと一旦待って!お兄さん助けた後はどうするの?ちゃんと考えてる?」
ルークのその言葉に、ロザリンドは「あー!」という表情を浮かべた。とにかくウォーレンを物置小屋から助け出すことだけを考えていて、その後の事は何も考えていなかったからだ。
そんなロザリンドの表情を見て、ルークは「やっぱり…」とさらにため息をついた。
「すごい短時間の付き合いだけど、僕、お姉さんの事が少しわかってきたよ…」
「んもう!お姉さんじゃなくて『ロザリンド』!」
「はいはい。ロザリンドお嬢サマ」
ひとまずルークは、ロザリンドがお腹を空かせているという事にして、様子を探ってくる事を提案した。決行は見張りが交代で休憩を取る昼食時、本当は薄暗くなってからがいいのだが、それだと狼煙が見えないからだ。
ロザリンドは「なるほど!なるほど!」と頷き、その姿を見たルークは『どっちが助手なんだ…』と思いつつ、ついさっきまで敵だった自分を手放しで信用してしまう不用心さに、『この人この先大丈夫かな。いつか絶対に騙されそう』と少し心配になった。
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