45 / 66
第二章
43 帰還
しおりを挟む
それからの行動は素早かった。手際よく狼煙を上げ、「こんな簡単に狼煙とか上げられるご令嬢は君くらいだぞ!」と、ウォーレンをまたまたドン引きさせたロザリンドに、そんなロザリンドを面白そうに眺めるルーク。ちなみにルークはどうやら【秘密の〇〇七つ道具】とか【隠し〇〇】などに憧れる年頃らしく、ロザリンドの例の小袋に興味津々だった。
「あなたとは上手くやっていけそうね。すごく感性が似ている気がするわ!」
「え?いや、感性は似ていたくないかな。でも、お嬢さまの持ってる道具はすごくカッコよくて、羨ましいよ」
「……つまり精神年齢が同じということだろう。ロザリンド嬢、そろそろコイツの事を説明してもらおうか」
ウォーレンがルークの首根っこを掴み、ズイッとロザリンドの前につき出すと、ロザリンドは「ほえ?」と人差し指を唇にあてて首を傾げる。
「え?説明するも何も、意気投合したから雇うことにしたの。それだけよ」
「そうそう。あ!お兄さん、さっきはゴメンね!」
「意気投合したから雇うことにした」と言うロザリンドと、首にナイフを突き付けた挙げ句、気絶させて誘拐したことを、知り合いへの挨拶ぐらいの気軽さで謝るルークに、ウォーレンは呆れ果てて肩を落とした。
「軽い!!いろいろ軽すぎる!」
その後もウォーレンにいろいろと詰め寄られ、経緯を説明しているうちに、辺境騎士団が到着。3人は無事に保護され、ゲイリーとその他ゴロツキは捕らえられた。「そいつも共犯だ!」と叫ばれたルークは、「脅されて仕方なくやったんだ!怖かったよぅ騎士様!」と見事な嘘泣きを繰り出し、「あいつスゴイな…」と変わり身の速さに、ロザリンドとウォーレンはちょっぴり引いた。
そんなこんなで、ロザリンドがアランドルベルムの本邸に戻ったのは日も暮れた頃となった。
本邸に着くと、珍しく涙目のアリソンが飛び出して来て、ロザリンドとウォーレンを抱きしめた。
「無事で良かった!本当に……」
「アリィィィー!ごめんね!心配かけて!」
「俺の心配も一応してくれたんだな。ありがとう、アリー」
「……あんたはついでよ…フン」
なかなか素直でない従妹に苦笑しながら、「ありがとう」とウォーレンはまた小さく呟いた。
「犯人はカートライト子爵家の長男ゲイリー・ユーバンク・カートライトだったわね。ふふふ、どうしてくれようかしらね…。後悔させてやるわ…」
そして次の瞬間、黒い笑みを浮かべた従妹に「ご愁傷さま、ゲイリーとやら。会ったことないけど…」と遠くを見た。ちなみにロザリンドは、本日食べ損ねた、バスケットに詰めたランチに想いを馳せていた為、聞いていなかった。
「あなたとは上手くやっていけそうね。すごく感性が似ている気がするわ!」
「え?いや、感性は似ていたくないかな。でも、お嬢さまの持ってる道具はすごくカッコよくて、羨ましいよ」
「……つまり精神年齢が同じということだろう。ロザリンド嬢、そろそろコイツの事を説明してもらおうか」
ウォーレンがルークの首根っこを掴み、ズイッとロザリンドの前につき出すと、ロザリンドは「ほえ?」と人差し指を唇にあてて首を傾げる。
「え?説明するも何も、意気投合したから雇うことにしたの。それだけよ」
「そうそう。あ!お兄さん、さっきはゴメンね!」
「意気投合したから雇うことにした」と言うロザリンドと、首にナイフを突き付けた挙げ句、気絶させて誘拐したことを、知り合いへの挨拶ぐらいの気軽さで謝るルークに、ウォーレンは呆れ果てて肩を落とした。
「軽い!!いろいろ軽すぎる!」
その後もウォーレンにいろいろと詰め寄られ、経緯を説明しているうちに、辺境騎士団が到着。3人は無事に保護され、ゲイリーとその他ゴロツキは捕らえられた。「そいつも共犯だ!」と叫ばれたルークは、「脅されて仕方なくやったんだ!怖かったよぅ騎士様!」と見事な嘘泣きを繰り出し、「あいつスゴイな…」と変わり身の速さに、ロザリンドとウォーレンはちょっぴり引いた。
そんなこんなで、ロザリンドがアランドルベルムの本邸に戻ったのは日も暮れた頃となった。
本邸に着くと、珍しく涙目のアリソンが飛び出して来て、ロザリンドとウォーレンを抱きしめた。
「無事で良かった!本当に……」
「アリィィィー!ごめんね!心配かけて!」
「俺の心配も一応してくれたんだな。ありがとう、アリー」
「……あんたはついでよ…フン」
なかなか素直でない従妹に苦笑しながら、「ありがとう」とウォーレンはまた小さく呟いた。
「犯人はカートライト子爵家の長男ゲイリー・ユーバンク・カートライトだったわね。ふふふ、どうしてくれようかしらね…。後悔させてやるわ…」
そして次の瞬間、黒い笑みを浮かべた従妹に「ご愁傷さま、ゲイリーとやら。会ったことないけど…」と遠くを見た。ちなみにロザリンドは、本日食べ損ねた、バスケットに詰めたランチに想いを馳せていた為、聞いていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる