ど天然田舎令嬢は都会で運命の恋がしたい!

上木 柚

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第二章

45 お土産

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 その後、3人はゲイリーの処遇について、ジェームズから話を聞かされた。

「ゲイリーは廃嫡してカートライト家からも放逐…か。まあ、妥当な線ね。…物足りないけど」
「カートライト子爵家は次男が継ぐみたい。王都騎士団の退団手続きが済み次第、こちらに戻ってくるって。有事の際の事もあるから、しばらくは辺境騎士団での訓練にも参加するみたいね。辺境ならではの、特殊な地形での戦闘訓練とかもあるし…」

 ロザリンドが辺境騎士団独自の特殊訓練について熱く語り始めそうになるのを、「あー今度ゆっくり教えてくれ!」とウォーレンが遮る。

「えーと、次男はまともなんだっけ?」
「うん。会ったことはそんなにないんだけど、おじ様に似て、かなり大柄で朴訥とした人よ。ゲイリーはどちらかと言うと夫人似だったからね」
「そのゲイリーとやらは、どんな人物なのかしら?」
「それ聞いちゃう?」

 アリソンの質問に、ロザリンドは既出の『ゲイリーによる気持ちの悪い~以下略』を話し始める。それを聞いたアリソンとウォーレンは「ええ~」とドン引きした。

「いっそ消した方がいいんじゃないかしら?存在そのものを」
「むしろよく今まで廃嫡されなかったな」
「まあ、過ぎたことはいいじゃない!一件落着って事で、お土産でも買いに街にでも行かない?」

 ゲイリーの事はサクッと忘れて街に繰り出すことにした3人。
 要塞都市のアランドルベルムには、あまり娯楽はないが、それでも領都なのでそれなりの商店街はある。誘拐直後なので流石に護衛の騎士が数人ついて、ルーシーとルークも加えてかなりの大所帯なのだが、ロザリンドも街の人間も特に気にしていない。むしろ気さくに話しかけてくる(たいてい食べ物をくれるので餌付けされているとも言う)領民達に、アリソンとウォーレンは少々瞠目したが、この土地で暮らしていた時、ロザリンドがいかに愛されていたかを垣間見れたようで、自然と笑顔になった。

「ローザは何を買ったの?」

 帰りの馬車の中でアリソンが尋ねると、ロザリンドははにかみながら、先ほど購入したお土産の入った紙袋を撫でる。

「トマス様にお土産よ。結局まだお父様に婚約の事は話せていないけど…。あとジュリア様にもね」

 ロザリンドは胸元につけた馬のブローチを嬉しそうに見つめる。あの日、トマスが買ってくれたそのブローチは、今ではロザリンドの1番の宝物で、いつでも身につけていた。

「こっちに来てからトマス卿とは連絡はとっているの?」
「うん、毎日手紙を送ってるわ。…でも返事が来ないのよね。まあ、ここは王都からかなり離れているし、仕方ないのかもしれないけど、まあ、でも、もうすぐ王都に帰るしね!」
「そうならいいんだけど…」

 翌日、アリソンとウォーレンは一旦ラッシュブルック公爵家の領地に戻る為、アランドルベルムを出発し、数日後にロザリンドも王都に向けて馬車に乗り込んだ。

 ジェームズには、最終日までどうしても婚約の話は出来ず、まずは母であるリリアンに話した。
 折を見てリリアンからジェームズに伝えてもらう事にして、一旦王都に帰ることにしたのだった。

「いろいろあって予定通りには出来なかったけど、早く王都に戻ってトマス様に会いたいわね」

 ロザリンドはトマスへのお土産を大切そうに抱えながら、王都へと向かった。
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