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第九話 来航
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- 海賊9 -
「おい待て!あれは…!」
何とか西海岸を脱出した一行を先頭のニックが引き留めた。
前方に誰かがいるのだ。
フォックスはすぐに察した。
スペンサー島軍だ。
間違い無い。
しかも、エドワード二世率いる本軍だ。
恐らく、西海岸の戦いの援護の為に現れたのだろう。
「ここで見つかるのはまずい。あの廃墟に隠れるぞ!」
ニックが廃墟を指差す。
一行は身を隠しやすい物陰に腰を下ろす。
スペンサー島軍はそれに気付く事無く、進み続ける。
フォックスは嫌な予感がした。
このままだと、キートソン帝国軍とスペンサー島軍が鉢合わせするのでは!?
もし鉢合わせすれば、アーマン軍の敵であるスペンサー島軍と戦いになるのでは!?
恐る恐る海岸を見る。
もう上陸しているではないか!
何とか鉢合わせを回避出来ないものか。
しかし、西海岸は見晴らしの良いエリアだ。
大勢で現れれば、すぐに見つけられてしまう。
ここまで来たら鉢合わせは避けられないか。
「おい見ろ。あいつら。キートソン帝国は大してやる気が無いらしいぞ。」
クリスがそう言う。
クリスの言う通り、キートソン帝国はやる気が無かった。
何故なら、黒人が来ていたのだ。
キートソン帝国は奴隷として黒人を支配している。
しかし、その黒人達はほぼ原始人と変わらない知能の低い連中で、言葉もまともに分からない様な集団だ。
つまり、そんな猿の様な連中を送り込んで来たという事は、キートソン帝国は真面目に戦うつもりは無く、悪を罰する者に味方するという姿勢を見せつけたいだけだったのだ。
見せしめ主義のキートソン帝国らしい行動だった。
フォックスはこれを好機だとも、危機だとも感じた。
頭の悪い連中だという事は、スペンサー島の複雑な構図など理解している筈も無い。
という事は、アーマン軍の味方だと聞けば攻撃は受けない。
逆に言えば、敵だと聞けば、すぐさま攻撃をしてくるだろう。
話の通じない猿は、その程度の事で済むのだ。
しかし、ここでまたフォックスは嫌な予感がした。
エドワード二世だ。
エドワード二世は誇り高き独裁者だ。
果たしてそんな輩がアーマン大佐の味方などと言うだろうか。
恐らく、しないだろう。
戦略など関係無いのだ。
エドワード二世は。
どうしても自分のプライドを傷付けたく無い。
そういう人間なのだ。
部下が何を言っても無駄だろう。
このままでは交戦してしまう。
何としても止めなければ。
だが、どうやって?
ここで飛び出した所で、何にもならない。
フォックスは自分の無力さが情けなかった。
そして遂にその時は来た。
「オマエラ、アーマンノテキカ?」
黒人のリーダーらしき人物がエドワード二世に問う。
「何だと?そんな訳無いだろう。アーマンは我が軍の敵だ。」
結果はある程度覚悟していたが、予想通りの受け答えをエドワード二世はした。
今すぐにでも止めに入りたかった。
しかし、時すでに遅く、エドワード二世の返事を聞いた黒人達が、武器を構えた。
「貴様ら!やる気か!全員一斉に砲撃しろ!」
フォックスは思わず首を横に振った。
ドドドドドドドドォン!
銃の轟音が鳴り響く。
いったか?
フォックスは期待した。
しかし、次の瞬間、倒れたのはスペンサー島軍だった。
やられたか!
撃ち出しの速度で負けたのだ。
元々スペンサー島は比較的平和な島である為、軍隊が弱い。
その性格が顕著に現れている。
フォックスはそう痛感した。
このまま戦っても自滅するだけだ。
逃げてくれ!
頼む!
これ以上ここで戦力を失うのは分が悪すぎる。
フォックスが把握する限り、アーマン大佐に引き抜かれていない優秀な戦力は、六人はいる筈だ。
フォックスは戦う一行を見渡す。
いた!
見つけたのは、ベックだった。
ベックは『火の魔神』とも呼ばれる、軍隊で唯一火炎放射器で戦場に繰り出す奇人だ。
だが、その実力はフォックスも認めていた。
奴ならまともに戦えるか?
フォックスは目を凝らしてベックを見る。
背負った火炎放射器をこれでもかというくらい噴射している。
奴の利点は回り込まれない限り無敵だという事である。
そう。
知能の低い猿共にそんな事はわからない。
チャンスだ。
ベックならいける!
フォックスは祈る様に彼を見つめた。
「かかってこいよお前らァ!」
ベックが挑発すると、見事に黒人の一人が奴の罠にかかる。
前に出て勝ち目は無い。
最初は勢い良く発砲を続けていた黒人だったが、火炎放射器に怯み、後退する。
こうなればベックのペースだ。
後は逃げ場の無い所へ追い込み、火に溺れさせれば良いのだ。
さあ行けベック!
火ダルマにしてやれ!
ベックが黒人をジワジワと壁際に追い詰める。
黒人が観念した様子で目を瞑る。
フォックスが瞬きしたその時、倒れたのは、黒人では無く、ベックだった!
別の黒人に背後を取られ、銃撃されたのだ!
頭を見事に撃ち抜かれた。
畜生!
また一人戦力が!
フォックスは唇を全力で噛みしめた。
「おい待て!あれは…!」
何とか西海岸を脱出した一行を先頭のニックが引き留めた。
前方に誰かがいるのだ。
フォックスはすぐに察した。
スペンサー島軍だ。
間違い無い。
しかも、エドワード二世率いる本軍だ。
恐らく、西海岸の戦いの援護の為に現れたのだろう。
「ここで見つかるのはまずい。あの廃墟に隠れるぞ!」
ニックが廃墟を指差す。
一行は身を隠しやすい物陰に腰を下ろす。
スペンサー島軍はそれに気付く事無く、進み続ける。
フォックスは嫌な予感がした。
このままだと、キートソン帝国軍とスペンサー島軍が鉢合わせするのでは!?
もし鉢合わせすれば、アーマン軍の敵であるスペンサー島軍と戦いになるのでは!?
恐る恐る海岸を見る。
もう上陸しているではないか!
何とか鉢合わせを回避出来ないものか。
しかし、西海岸は見晴らしの良いエリアだ。
大勢で現れれば、すぐに見つけられてしまう。
ここまで来たら鉢合わせは避けられないか。
「おい見ろ。あいつら。キートソン帝国は大してやる気が無いらしいぞ。」
クリスがそう言う。
クリスの言う通り、キートソン帝国はやる気が無かった。
何故なら、黒人が来ていたのだ。
キートソン帝国は奴隷として黒人を支配している。
しかし、その黒人達はほぼ原始人と変わらない知能の低い連中で、言葉もまともに分からない様な集団だ。
つまり、そんな猿の様な連中を送り込んで来たという事は、キートソン帝国は真面目に戦うつもりは無く、悪を罰する者に味方するという姿勢を見せつけたいだけだったのだ。
見せしめ主義のキートソン帝国らしい行動だった。
フォックスはこれを好機だとも、危機だとも感じた。
頭の悪い連中だという事は、スペンサー島の複雑な構図など理解している筈も無い。
という事は、アーマン軍の味方だと聞けば攻撃は受けない。
逆に言えば、敵だと聞けば、すぐさま攻撃をしてくるだろう。
話の通じない猿は、その程度の事で済むのだ。
しかし、ここでまたフォックスは嫌な予感がした。
エドワード二世だ。
エドワード二世は誇り高き独裁者だ。
果たしてそんな輩がアーマン大佐の味方などと言うだろうか。
恐らく、しないだろう。
戦略など関係無いのだ。
エドワード二世は。
どうしても自分のプライドを傷付けたく無い。
そういう人間なのだ。
部下が何を言っても無駄だろう。
このままでは交戦してしまう。
何としても止めなければ。
だが、どうやって?
ここで飛び出した所で、何にもならない。
フォックスは自分の無力さが情けなかった。
そして遂にその時は来た。
「オマエラ、アーマンノテキカ?」
黒人のリーダーらしき人物がエドワード二世に問う。
「何だと?そんな訳無いだろう。アーマンは我が軍の敵だ。」
結果はある程度覚悟していたが、予想通りの受け答えをエドワード二世はした。
今すぐにでも止めに入りたかった。
しかし、時すでに遅く、エドワード二世の返事を聞いた黒人達が、武器を構えた。
「貴様ら!やる気か!全員一斉に砲撃しろ!」
フォックスは思わず首を横に振った。
ドドドドドドドドォン!
銃の轟音が鳴り響く。
いったか?
フォックスは期待した。
しかし、次の瞬間、倒れたのはスペンサー島軍だった。
やられたか!
撃ち出しの速度で負けたのだ。
元々スペンサー島は比較的平和な島である為、軍隊が弱い。
その性格が顕著に現れている。
フォックスはそう痛感した。
このまま戦っても自滅するだけだ。
逃げてくれ!
頼む!
これ以上ここで戦力を失うのは分が悪すぎる。
フォックスが把握する限り、アーマン大佐に引き抜かれていない優秀な戦力は、六人はいる筈だ。
フォックスは戦う一行を見渡す。
いた!
見つけたのは、ベックだった。
ベックは『火の魔神』とも呼ばれる、軍隊で唯一火炎放射器で戦場に繰り出す奇人だ。
だが、その実力はフォックスも認めていた。
奴ならまともに戦えるか?
フォックスは目を凝らしてベックを見る。
背負った火炎放射器をこれでもかというくらい噴射している。
奴の利点は回り込まれない限り無敵だという事である。
そう。
知能の低い猿共にそんな事はわからない。
チャンスだ。
ベックならいける!
フォックスは祈る様に彼を見つめた。
「かかってこいよお前らァ!」
ベックが挑発すると、見事に黒人の一人が奴の罠にかかる。
前に出て勝ち目は無い。
最初は勢い良く発砲を続けていた黒人だったが、火炎放射器に怯み、後退する。
こうなればベックのペースだ。
後は逃げ場の無い所へ追い込み、火に溺れさせれば良いのだ。
さあ行けベック!
火ダルマにしてやれ!
ベックが黒人をジワジワと壁際に追い詰める。
黒人が観念した様子で目を瞑る。
フォックスが瞬きしたその時、倒れたのは、黒人では無く、ベックだった!
別の黒人に背後を取られ、銃撃されたのだ!
頭を見事に撃ち抜かれた。
畜生!
また一人戦力が!
フォックスは唇を全力で噛みしめた。
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