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アルシア移住
ハグイェア大森林③
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アンディ君は、ゴブリンパパと何事もなく戻ってきた。
まじまじと私を見て、エルフだとやっと気が付いたようだ。
エルフ怖い、でも助けてくれたから失礼なこと言っちゃダメだ……
と目まぐるしく考えているのが良くわかる。
だってそう教えられて育ってきてるだろうし?残念ながらほぼ正解だから。
私は穏便な方だけど、損得勘定してマイナスになるなら絶対見捨てると思うし良心も咎めない。
そういうエルフらしい部分も、しっかりある。
(エルフは危険。特に子供は絶対そう思っていた方が長生きできると思うわ)
「エルフには近付いちゃいけないけど?今日だけは特別よ」
物凄く役に立つ国民カードの裏、王子の紋章を見せながらアンディ君に何が起きたか説明開始。
途中お腹がすいたと言い出したので野菜スープのリゾットを出して食べさせた。
ポーションをもう一度飲んだ後はプルナを剥いて一切れあげた。
残りはゴブリン子供(多分)が食べた。
アンディ君は──ここがハグイェアの奥の方で、これからエルフと一緒にアルシアに戻れる事は理解したようなので。
彼のお腹が落ち着いたら、すぐに帰る事にした。
食べてすぐ揺らすと吐いちゃうかもだし。
「歩いて一日半頑張るのと、揺れるけど特急コースとどっちがいい?」
やや意地悪な質問を投げ掛けるとアンディ君はちょっと考えて、特急コースを選んだ。
「じゃあちょっと着替えて来るから」
ちょっと奥のスペースを借りて軽装備に着替える。
薄くて軽いけど、物理にも魔法にも耐久性があるミスリル銀をあしらったオリハルコンのカッコいい鎧である。
腰に魔剣ベルシュナを下げれば魔法剣士の出来上がり。
プルナの実を気に入ったらしいゴブリンに果物を渡して、旅立つ準備をしておくように言い含めアンディ君を連れて洞穴を出た。
「エルフ様は魔法使いなの? 騎士なの?」
アンディ君が、ちょっと不安そうに聞いてくる。
「どっちもよ」
身体強化をかけ、アンディ君を左腕で抱えて右手に魔剣ベルシュナ。
抜き身のまま持っていく。
「魔法を使いながら走るから、話し掛けないでね。お口はキュッと閉じておきなさい」
目にもしっかり魔力を集中させ、私は最短距離を一気に駆け抜けた。
途中、進行ルート上にいた魔物を何体か倒したけど一度も止まること無く詰所まで十分程度の地点に到着した。
三時間かかったが、我ながら相当早かったと思う。
「ゼェゼェ…ご、五分分待っててね」
やや気持ち悪そうなアンディ君に気分の良くなるリフレッシュ魔法をかけて、息を整える。
さすがにキツかった、こんなに真剣に走ったの何千年ぶりだろうか。
どうにか呼吸が整ってから、剣は鞘にしまった。疲れていそうなアンディ君を両手で抱え、詰所まで早足で向かう。
アンディ君を連れ帰ると、詰所は大騒ぎになった。
駆け寄ってきた母親に子供を引き渡し、父親に魔力ペンで完了サインを貰う。
ご両親は忙しそうだし、顔色も良くない。
とても心配していたのだろう。
私からは特に話すこともないので、そのままキャンディの方に向かった。
キャンディは良くお世話されていたようでツヤツヤで機嫌が良く、私を見つけて前掻きをしている。
御褒美にプルナを一個あげ、木桶をしまって馬番の兵士にお礼を言ったら撤収だ。
キャンディは帰り道も快調だったで。
走り足りなそうだったが、あっという間に貸馬屋に着いてしまった。
ヒョコヒョコと外に出てきたお爺ちゃんが大声を上げた。
「嬢ちゃん!こりゃまたずいぶんと勇ましいカッコだなぁ」
と、下馬を手伝ってくれた。
若い男性がキャンディに威嚇されながらも?果敢に引き綱を引っ張って連れていった。
お爺ちゃんは丁寧に銀貨を数え、返却してくれた。
「良い馬だったろ」
「最高ですね」
成り行き的な勢いもあったが、お爺ちゃんのセールストークに乗ってキャンディを買い取る事にした。
「そうさな……ああ、普段はうちで面倒みさせて貰って…一ヶ月餌代込みで金貨三枚。
馬は白金貨こんくらいでどうだ」
そう言って、節くれだった指を三本立てる。
破格だ!
先祖返りの魔馬がこんな価格で出ることある?
「裏なんぞないぞ。この馬はワシが取り上げてワシが育てたんだからな。こんなに走るええ馬なのに、誰にも乗って貰えないのは哀れだろうて。
世話代でちっと稼がせて貰えればええわ」
私はキャンディを買った。
行き当たりばったりだが、これも縁だ。
「宝貨3枚あるけど」
「いらんいらん、使えるとこがないだろ」
相変わらず宝貨は人気がないなぁ。
私は使えない宝貨にがっかりしながら白金貨三十枚と、一年分の維持費白金貨三枚をお爺ちゃんに支払った。
譲渡の魔法契約をして、丁寧にお金をバッグにしまったお爺ちゃんは破顔して言った。
「いっぱい走らせてやってくれなぁ」
この貸し馬屋はそのまんま【貸し馬屋】という屋号らしい。
良い馬が多いので夜番も必ずいるらしくて、夜中でも明け方でも好きな時間に連れ出せるそうだ。
──治療が必要になったら都度請求。
世話以外の費用が発生したら、ギルドを経由して請求して貰うことになった。
(素敵な馬具を揃えなくては!)
私、実は乗馬が得意で裸馬でも乗れるけどせっかくだから素敵なのが欲しいわ。
帰り道、トボトボと歩きながら色々考える。
──もう帰ってお風呂に入りたい。
だけどギルドに報告に行かなくちゃ。
お腹も空いたし。
そんな愚痴っぽいことを思いながら、道中あちこちのお店の美味しそうな物を買い込んで、ギルドに到着した。
入るなりチェシャが音もなく素早く忍び寄ってきて
「うふふ、ジューンさん!任務完了ですねっ」
そう嬉しそうに言った。
いつものように別室に行って報告。
アンディ君の件は報告をして、チェシャがカタカタと情報を打ち込んで終了。
すぐに清算が終わり、口座に報酬が入金された。
貸し馬屋の請求の件で書類にサインをして手続きを終えて、遺骨のことを思い出した。
遺骨とカード、剣を出すとチェシャの顔が急に真面目な顔になった。
四枚のカードを確認して魔道具にかざし、手元の端末であれこれ調べた後にチェシャが説明を始めた。
「六年前に行方不明になったパーティーですね」
持っていったざっくりとした地図に遺骨とアンディ君を発見した場所の印を付けてあったので、地図を渡す。
地図自体が大まかすぎて、本当に多分この辺って位だけど。
「それでも無いよりは助かります。この地図はお預かりしても良いですか? 後、調査後に報償金が出ると思うのですが……」
「要らないわ」
私は剣と報償金の権利を放棄して、調査結果だけ教えて貰うことにした。
「弱いパーティーではなかったのですけどねぇ……」
チェシャは浮かない顔だ。
「うーん、パーティーと関係性あるかどうかの証拠はないけど……近くにハグイェアヘルペトンがいたわね」
「ヘルペトンですか! それはジューンさんが見たんですか? 良くご無事で」
倒したって言わない方がいい感じなのかな?
言わない方がいいな、絶対。
まじまじと私を見て、エルフだとやっと気が付いたようだ。
エルフ怖い、でも助けてくれたから失礼なこと言っちゃダメだ……
と目まぐるしく考えているのが良くわかる。
だってそう教えられて育ってきてるだろうし?残念ながらほぼ正解だから。
私は穏便な方だけど、損得勘定してマイナスになるなら絶対見捨てると思うし良心も咎めない。
そういうエルフらしい部分も、しっかりある。
(エルフは危険。特に子供は絶対そう思っていた方が長生きできると思うわ)
「エルフには近付いちゃいけないけど?今日だけは特別よ」
物凄く役に立つ国民カードの裏、王子の紋章を見せながらアンディ君に何が起きたか説明開始。
途中お腹がすいたと言い出したので野菜スープのリゾットを出して食べさせた。
ポーションをもう一度飲んだ後はプルナを剥いて一切れあげた。
残りはゴブリン子供(多分)が食べた。
アンディ君は──ここがハグイェアの奥の方で、これからエルフと一緒にアルシアに戻れる事は理解したようなので。
彼のお腹が落ち着いたら、すぐに帰る事にした。
食べてすぐ揺らすと吐いちゃうかもだし。
「歩いて一日半頑張るのと、揺れるけど特急コースとどっちがいい?」
やや意地悪な質問を投げ掛けるとアンディ君はちょっと考えて、特急コースを選んだ。
「じゃあちょっと着替えて来るから」
ちょっと奥のスペースを借りて軽装備に着替える。
薄くて軽いけど、物理にも魔法にも耐久性があるミスリル銀をあしらったオリハルコンのカッコいい鎧である。
腰に魔剣ベルシュナを下げれば魔法剣士の出来上がり。
プルナの実を気に入ったらしいゴブリンに果物を渡して、旅立つ準備をしておくように言い含めアンディ君を連れて洞穴を出た。
「エルフ様は魔法使いなの? 騎士なの?」
アンディ君が、ちょっと不安そうに聞いてくる。
「どっちもよ」
身体強化をかけ、アンディ君を左腕で抱えて右手に魔剣ベルシュナ。
抜き身のまま持っていく。
「魔法を使いながら走るから、話し掛けないでね。お口はキュッと閉じておきなさい」
目にもしっかり魔力を集中させ、私は最短距離を一気に駆け抜けた。
途中、進行ルート上にいた魔物を何体か倒したけど一度も止まること無く詰所まで十分程度の地点に到着した。
三時間かかったが、我ながら相当早かったと思う。
「ゼェゼェ…ご、五分分待っててね」
やや気持ち悪そうなアンディ君に気分の良くなるリフレッシュ魔法をかけて、息を整える。
さすがにキツかった、こんなに真剣に走ったの何千年ぶりだろうか。
どうにか呼吸が整ってから、剣は鞘にしまった。疲れていそうなアンディ君を両手で抱え、詰所まで早足で向かう。
アンディ君を連れ帰ると、詰所は大騒ぎになった。
駆け寄ってきた母親に子供を引き渡し、父親に魔力ペンで完了サインを貰う。
ご両親は忙しそうだし、顔色も良くない。
とても心配していたのだろう。
私からは特に話すこともないので、そのままキャンディの方に向かった。
キャンディは良くお世話されていたようでツヤツヤで機嫌が良く、私を見つけて前掻きをしている。
御褒美にプルナを一個あげ、木桶をしまって馬番の兵士にお礼を言ったら撤収だ。
キャンディは帰り道も快調だったで。
走り足りなそうだったが、あっという間に貸馬屋に着いてしまった。
ヒョコヒョコと外に出てきたお爺ちゃんが大声を上げた。
「嬢ちゃん!こりゃまたずいぶんと勇ましいカッコだなぁ」
と、下馬を手伝ってくれた。
若い男性がキャンディに威嚇されながらも?果敢に引き綱を引っ張って連れていった。
お爺ちゃんは丁寧に銀貨を数え、返却してくれた。
「良い馬だったろ」
「最高ですね」
成り行き的な勢いもあったが、お爺ちゃんのセールストークに乗ってキャンディを買い取る事にした。
「そうさな……ああ、普段はうちで面倒みさせて貰って…一ヶ月餌代込みで金貨三枚。
馬は白金貨こんくらいでどうだ」
そう言って、節くれだった指を三本立てる。
破格だ!
先祖返りの魔馬がこんな価格で出ることある?
「裏なんぞないぞ。この馬はワシが取り上げてワシが育てたんだからな。こんなに走るええ馬なのに、誰にも乗って貰えないのは哀れだろうて。
世話代でちっと稼がせて貰えればええわ」
私はキャンディを買った。
行き当たりばったりだが、これも縁だ。
「宝貨3枚あるけど」
「いらんいらん、使えるとこがないだろ」
相変わらず宝貨は人気がないなぁ。
私は使えない宝貨にがっかりしながら白金貨三十枚と、一年分の維持費白金貨三枚をお爺ちゃんに支払った。
譲渡の魔法契約をして、丁寧にお金をバッグにしまったお爺ちゃんは破顔して言った。
「いっぱい走らせてやってくれなぁ」
この貸し馬屋はそのまんま【貸し馬屋】という屋号らしい。
良い馬が多いので夜番も必ずいるらしくて、夜中でも明け方でも好きな時間に連れ出せるそうだ。
──治療が必要になったら都度請求。
世話以外の費用が発生したら、ギルドを経由して請求して貰うことになった。
(素敵な馬具を揃えなくては!)
私、実は乗馬が得意で裸馬でも乗れるけどせっかくだから素敵なのが欲しいわ。
帰り道、トボトボと歩きながら色々考える。
──もう帰ってお風呂に入りたい。
だけどギルドに報告に行かなくちゃ。
お腹も空いたし。
そんな愚痴っぽいことを思いながら、道中あちこちのお店の美味しそうな物を買い込んで、ギルドに到着した。
入るなりチェシャが音もなく素早く忍び寄ってきて
「うふふ、ジューンさん!任務完了ですねっ」
そう嬉しそうに言った。
いつものように別室に行って報告。
アンディ君の件は報告をして、チェシャがカタカタと情報を打ち込んで終了。
すぐに清算が終わり、口座に報酬が入金された。
貸し馬屋の請求の件で書類にサインをして手続きを終えて、遺骨のことを思い出した。
遺骨とカード、剣を出すとチェシャの顔が急に真面目な顔になった。
四枚のカードを確認して魔道具にかざし、手元の端末であれこれ調べた後にチェシャが説明を始めた。
「六年前に行方不明になったパーティーですね」
持っていったざっくりとした地図に遺骨とアンディ君を発見した場所の印を付けてあったので、地図を渡す。
地図自体が大まかすぎて、本当に多分この辺って位だけど。
「それでも無いよりは助かります。この地図はお預かりしても良いですか? 後、調査後に報償金が出ると思うのですが……」
「要らないわ」
私は剣と報償金の権利を放棄して、調査結果だけ教えて貰うことにした。
「弱いパーティーではなかったのですけどねぇ……」
チェシャは浮かない顔だ。
「うーん、パーティーと関係性あるかどうかの証拠はないけど……近くにハグイェアヘルペトンがいたわね」
「ヘルペトンですか! それはジューンさんが見たんですか? 良くご無事で」
倒したって言わない方がいい感じなのかな?
言わない方がいいな、絶対。
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