一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

文字の大きさ
4 / 4
第一章

2-2 本気だったんだ

しおりを挟む

「ど、どした……?」

 あ、なんか忘れものとかしてたかな。でも財布もスマホもあるし。
 それ以外に緒川が俺に用事とか……あるわけない、よな?

「ごめん、驚かせた」と緒川ははにかむ。自分でも突然の行動だった、っていうみたいに。

 そして彼はポケットからスマホを取りだす。最新のiPhoneだ。
 値段を考えてちょっとびっくりしたけど、緒川が持ってるならそれも当然という気がした。

「体育のとき言っただろ? ライン交換しようって」
「あ……」たしかに言われた、けど。

「……本気、だったんだ」

 ぽろっと漏れた本音に緒川はさびしそうな顔をする。

「社交辞令に聞こえた?」
「い、いや、なんていうか……」
「俺は本気だよ。本気で、もっと夏稀のこと知りたい」

 聞きまちがいかと思うほど緒川はそれをさらりと言う。
 俺のこともっと知りたい、って、いま言った……?

 固まっていると「夏稀、スマホだして」と緒川に言われる。

「休み時間終わっちゃうよ」
「そ、そうだよな」

 うながされるままに俺はスマホをだし、たっくんと連絡先交換したのなんてもう一年も前だから操作の仕方が全然わからなくて――「ここ押して」「俺の画面読みとって」と緒川に優しく指示される通りに動く。

 そして、なにがなんだかわからないまま俺のラインの友達一覧に緒川が追加された。

「はい、できた」
「う、うん……」
「ごめん、どこか行くところだったよね。また」

 小さく手を振ると緒川は教室にもどっていく。
 俺は自分がトイレに行こうとしてたことを思いだして。それが、べつに行きたくもないけど行こうとしてただけということも思いだした。

 そんな感じで中休みは終わって、三限目の古文の授業がはじまったけど。

 ――え、スマホって生きてんの?

 ついそう思ってしまうくらいポケットの辺りが落ちつかなかった。理由はわかってる。緒川からのラインが来ないか気になっているから。

 当然、俺が授業中ということは緒川だって授業中だ。そして緒川はこういうときにスマホをいじるタイプじゃない。だから気にする必要なんてないんだけど。

 ……やばい。
 嬉しい、かも。

 クラスメイトとラインを交換しただけ。日常でありふれてるはずのそんな行為が――胸がじわじわ熱くなるくらい俺には特別だった。

 相手が緒川だから?

 たぶんそう、だと思う。たっくんとライン交換したときも嬉しかったけど、なんとなくあのときは安堵感のほうが強かった。これでもうぼっちじゃないっていう。

 緒川だから、こんなに嬉しい。

 たっくんのことはもちろん友達として好きだけれど、それは認めざるをえない。たっくんもさすがに緒川相手ならわかってくれるだろう。

 クラスの『アイドル』とライン交換してもらえるときがくるなんて。

 自分まで特別になったような気がする。そんなわけない。俺なんか緒川からしたらたくさんいる知り合いのひとりでしかないことは百も承知で。

「では緒川くん、ここの『聞かすな』とはどういう意味でしょうか」

 眼鏡で細身の国語教師――キボセンに指されて、緒川は「聞かせるなという意味です」となんなく答える。

「そのままここの文を現代語に訳してください」
「はい――」

 ふつうは何度も突っかかりそうなところを緒川はすらすら答え、『あいつ木彫りなんじゃねえの』と陰口を叩かれるくらい表情に変化がないキボセンが満足そうににっこりうなずく。「正解です。さすが緒川くんですね」

「すげーじゃん」と伊藤が振りかえって調子よく手を叩く。それにみんな乗っかって拍手をして、緒川は困ったように笑った。俺も近くの席(あいにく俺は後ろの扉から一番近くで、緒川は窓際の前から二番目の席だ)だったら手くらい叩いたかもしれない。

 ――イケメンって生きてるだけでドラマなんだな……。

 遠くの星の住民を見ているような気持ちで俺は思う。もうひとつの心臓みたいに意識していたポケットのスマホが急速に眠りについたような気がした。

 そしてつつがなく授業は終わって、昼休み。
 ゲーム同好会に与えられている部室のソファでひとり黙々と弁当を食べていたらスマホがメッセージを受信した。

 母親かたっくんからかな。そう思いながら俺はスマホの画面を確認し、え、と思わずつぶやいた。

『緒川聖夜きよや

 メッセージの送り主は、まさかの緒川だったから。

 驚きのあまり弁当箱をひっくり返しそうになりながら俺はラインを開く。そして、緒川からのメッセージを読んで首をひねった。

『俺、軽く見えるのかもしれないけど冗談であんなこと言わないよ』

 ……どういう意味だろう。誤送信?
 迷ったけれど、間違いなら間違いって教えてあげなきゃいけない。『どういうこと?』と俺は返信する。

 すぐに既読がついた。返信もすぐにくる。

『夏稀を知りたいってこと』

 え? と思ったのも束の間だった。すぐに信じられないようなメッセージが送られてくる。

『放課後、一緒に出かけない?』
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

可愛い系イケメンが大好きな俺は、推しの親友の王子に溺愛される

むいあ
BL
「あの…王子ーー!!俺の推しはあなたの親友なんだーーー!!」 俺、十宮空也は朝、洗面台に頭をぶつけ、異世界転生をしてしまった。 そこは俺がずっと大好きで追い続けていた「花と君ともう一度」という異世界恋愛漫画だった。 その漫画には俺の大好きな推しがいて、俺は推しと深くは関わらないで推し活をしたい!!と思い、時々推しに似合いそうな洋服を作ったりして、推しがお誕生日の時に送っていたりしていた。 すると、13歳になり数ヶ月経った頃、王宮からお茶会のお誘いが来て…!? 王家からだったので断るわけにもいかず、お茶会に行くため、王城へと向かった。 王城につくと、そこには推しとその推しの親友の王子がいて…!?!? せっかくの機会だし、少しだけ推しと喋ろうかなと思っていたのに、なぜか王子がたくさん話しかけてきて…!? 一見犬系に見えてすごい激重執着な推しの親友攻め×可愛いが大好きな鈍感受け

処理中です...