あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

文字の大きさ
1 / 103

出禁 プロローグ

しおりを挟む
 そこは湿度の高い、薄暗がりの洞窟の奥。
 壁は結露なのか、壁から染み出た地下水なのか、<明りの精霊>の光を反射してぬめぬめと光っている。
 足元は泥か何か、あまり考えたくもないもので満たされている。
 そんなダンジョンの奥の湿地帯に生息するのが【マッドキャタピラ】だ。
 虫か獣か、どちらともいえない鳴き声を発しながら奴らはオレに襲い掛かってくる。
 オレは剣を横なぎにふるって、大人の太ももほどはある薄茶色のそいつらをなぎ払う。
「オラオラオラッ、いい加減涌いてくるんじゃねえッ! 」
 背中側は鉄のように硬い皮に覆われていて、剣で叩くと本当に鉄の鎧を叩いたような金属音がする。だがひっくり返してやれば柔らかい弱点が丸出しの楽勝な魔物だ。
 やがて【マッドキャタピラ】は、ピーと最後の絶叫を残して動く物は一つとしてなくなり、洞窟を静寂が支配した。
 いや、オレの荒い息づかいだけがダンジョンに響く。
「はあはあ、やっと全部倒しきったか。数が少なけりゃ簡単な魔物なのに。珍しく数が沸いたな」
 息を整えたオレは、足元に転がる芋虫の魔物にナイフを突き刺し、皮を剥ぎ、体内から黄土色した石のような物を抉り取っていく。
 普段遭遇するときは、多くても十匹前後なのだが、今回はその三、四倍はいただろうか、大量だった。
 大量っていうよりも大漁だな。
 ここは地下ダンジョンの九階層、殆どの冒険者に知られていない穴場、【マッドキャタピラ】の特異沸きスポットだ。
「ヘヘヘッ、やっぱりここは穴場だな。同業者(ライバル)はいないし、獲物は楽勝だ。数が多いからそれだけはちょっと大変だが、その分身入りも多くなるってもんだ。ウフフ、ヒヒッ、フハハハッ、ファーハッハッハッ……ハッ!? 」
 おっとヤバイヤバイ。
 魔物を解体しながら笑っちまうのはオレの悪い癖だ。
 こんなグチョグチョに切られた芋虫型の魔物を見ながら笑ってるなんて、スプラッターのグチョグチョが大好きな変態か、かなり危険な殺人鬼にでもに見られかねない。
 だけど仕方ないんだ。
 その魔物が金貨に見えるからだ。
 え? 目がおかしい訳じゃないよ、ただの比喩だからね。
 でもこいつは、ホント金を産む魔物なんだよ。
 そう思うと、自然と笑みがこぼれるってモンだ。
「さって、もうそろそろ帰らないとギルドの今日の締め切りに間に合わなくなる」
 オレは【マッドキャタピラ】の硬い皮と魔石、数十匹分をマジックリングにしまうと、そそくさとその場を離れ一路地上のギルドの素材買取所へと向かった。
「よし帰るぞ」
 オレは自分で呼び出した名も無い下級精霊、<明りの精霊>に声をかけて、一緒に出口へと向かった。
  


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...