あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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出禁 第二十三話 死亡フラグ立てし者 

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『コノ先マッスグー、魔物イッパイ』『チッチャイノー』『ウジャウジャー』
 魔物が集まってるのか、下層にしては珍しい。下層は魔物は強いがエンカウントが少ないので稼ぎづらかった記憶がある。ウジャウジャって言う事は……。
「誰か……けやがれーーー」
 風の精励を通して何かが聞こえた。
「おい、JJ追いつかれるぞ」
 最後尾のマッスルからも報告が来る。
『人ノ声スル』
『クオン?』
「ギルマスッ、ナニがきたって」
 精霊も、マッスルもジェシカも、そして多分ヒャッハーも。急に皆で話しかけるな。
 昔作った地図を見る。縦抗があって中層まで上れる階段とエレベターがついている。
 仕方ない、前と後ろで挟み撃ちにはなりたくない。
「ジェシカねーちゃん!」
 オレは後の指揮をジェシカに頼む事にする。
 走りながら話をする。
「この先、四、五百マイトル位先に、上にいける階段があるんだけど、ヒャッハーはそこに向かったみたい。精霊がそこで人の声がしたって言ってた」
「そんな事分かるの? 」
 分かる。ジェシカの疑問はもっともだが、答えてる暇はない。
「キングスパイダー二匹とジュニア数匹だ」
 マッスルの報告が混ざる。
「そこでヒャッハーは多分魔物に襲われてるみたい、魔物イッパイらしいからキングスパイダーの子供ジュニアスパイダーがイッパイだと思う」
「……それで」
「風の魔法で吹き飛ばすか、水の魔法で流し去るかすればヒャッハーをすくえると思う。あと、クモも動物だから、基本的に火は苦手だと思うよ。得意な人いるかな」
 ジェシカは風魔法が得意だと知っているが、JJが知ってるのは不自然だからあえて聞く。ウサ耳冒険者のネー姉も。攻撃は出来ないけど水か火の魔法は使えたはずだ。
「できる」
「救出の指揮はお願いね」
「それはいいけど、JJくんは」
「後ろから来るクモを食い止める」
「無茶よ」
 でもマッスルの獲物の大戦斧だとキングスパイダーならともかく、ジュニアスパイダーを相手するの細かすぎて多分得意じゃないと思う、得意な相手が違いすぎる。
 細かいのたくさんだったらオレのほうが得意だ。
「僕だったらクー・シーに頼めば後で合流できるから」
「でも――」
「クー、ヒャッハーの匂い覚えてるな。このお姉ちゃんたちをヒャッハーの所へ連れて行ってくれ。それで後でオレが呼んだら来てくれ」
『クオン』
「ケイロン、クー・シーが見えるよな」
「おお」
「ジェシカお姉ちゃんとクー・シーがはぐれないように頼む。あとヒャッハー救出してる時は、ジェシカお姉ちゃんの後方警戒お願いな」
「任せろ」
 ジェシカの反論を無視してクー・シーとケイロンに指示を出す。
「光の精霊、ミストをもうちょっとあげるからこのお姉ちゃんたちを守ってね」
 名も無い精霊にミストを分けて光量アップで準備完了。
「じゃちょっといってくる」
「JJくん待って! 」
「急いで! 」
 そう言ってオレは最後尾へ移動。ジェシカは優先順位を間違えるような人じゃない、唇を噛みながら前を向く。
「JJくん?」「どうしたの?」
 トゥインクルガールズの面々から不思議そうに声をかけられたが、いやちょっと――、と適当にごまかす。
「フラウ」
「なんや」
「頼むな」
「へいへい」
 空中をフヨフヨ飛んでいるフラウにも一応挨拶。
 最後尾でマッスルと、やはり走りながら打ち合わせ。
「JJどうする? 」
 マッスルがオレに指示を仰ぐ。仮にもギルマスなんだからオレに聞くな。と言いたいがマッスルにそれを言っても無理というもの。
「マッスルおじちゃん交代だよ。ジェシカお姉ちゃんがヒャッハーを見つけたって言うから手伝ってあげて。後ろは僕が食い止めるから、後は任せて先に行ってて」
 あ、一度言ってみたかったんだよねこのセリフ。
「食い止めるったって――オイッ」
 そこでオレは足を止める。マッスルはそのまま臨時パーティについていく。
 そのオレに背中にマッスルの声が刺さる。
「後は任せて先に行け、ってそれ死亡フラグだぞッ! 」
 ガーン。
 まさか自らフラグを立ててしまうとは。それをマッスルに指摘されるとは。
 いやフラグはへし折るためにある。やるぞ!
 後方に目をやるとすぐにキングスパイダー三匹とジュニアがウジャウジャいるのがが目に入った、かなり増えてるようだ。
 キングスパイダー三匹を相手なんてはっきり言えば無茶だ。だがやるしかない。
 幸いクイーンスパイダーはまだ来てい無い。今のうちに速効で片をつける。
「炎の世界の住人イフリート、わが呼びかけに応じ顕現せよ」
 とたんに、ミストが奪われる感覚、けっこうゴッソリ持って行かれる。そしてオレの横に熱い塊が現れた。炎の魔人イフリートだ。
 どんな魔物にもオールラウンダーに強いのが炎系統の精霊だ。
「……」
 コイツは話が出来ないのか一言も喋らない。だがオレが指示を出すとミストを消費した分だけきちんと仕事をする。
 下層に落ちたときに契約した精霊、オレの切り札だ。コレでやっつけられない時はアウトだが、それは多分大丈夫。ミストを大量に使うので多分一回しか召喚出来ないが、その代り超強力だ。
「なぎ払え! 」
 オレが手振りを交えて命令すると、イフリートは激しく輝き、一瞬にして炎の温度を上げた。アチッ。
 そして通路を一直線に飛んでいく。イフリートが通った後は、ウジャウジャいたはずの子グモが、次々に炎に包まれそしてすぐに灰になっていった。
 親グモのキングスパイダーは、さすがにそれだけでは灰になる事はなかったが、やはり炎に包まれて動かなくなっていった。
 イフリートが通り抜けただけで、キングスパイダー三匹を含め、数百匹のクモが一瞬で死んだ。
 威力がえげつない。壁の岩が溶けかかっているほどだ。
 よし、今のうちに逃げよう。……と、振り向きかけたオレの視界の片隅に、黒い何かが現れた。早すぎる。大物はもっとゆっくり登場しやがれ。
 キングスパイダーよりも大きなクモ。
「……クイーンスパイダー」
 黒い巨体に、赤と黄色のまだら模様が毒々しい。牙をカチカチ鳴らしてこちらを威嚇している。ジュニアスパイダーは引き連れていないようだ。
 イフリートがいれば負けないと思うが、もうすでに一度召喚している、再度の召喚となるとミストが足りない。残る頼みの綱は……。
「わが呼びかけに応じ、憑依せよ<タロス>」
『ほう、ここは下層か』
「ああ、約束どおり大物相手だ、頼むぜ」
『うむ』
 オレはタロスを憑依させ、無謀にもクイーンスパイダへ飛び掛った。

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