あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

出禁 第二十九話 JJ王都へ その1

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 オレは今、王都に向けた馬車に揺られている。
 正確には、王都へ向かう領主家の馬車の御者台にいる。
 なぜこんな事になったのか。
 
 十日ほど前、領主と会談したオレは領主から王都の学校に入らないかと誘われた。
 何をトチ狂った事言ってるのかと思ったが、一応理由はあった。
 それは、領主の娘シャーロットが今年から王都の王立魔法騎士学校に入学する事になったらしい。そこで、護衛代わりの同級生を一緒に何人か通わせるらしいのだが、頭が良くても腕っ節はからっきしらしく、心もとないらしい。
 そこで目をつけたのがオレらしい。
 ダンジョン下層でも生きて帰れる戦闘の実力がある。
 貴族の通う学校に入るので、大前提で読み書き計算必要だが、それも問題ない。
 話してみると敬語も一応使える。
 貴族相手に臆さない度胸もある。
 と言うことで領主のお眼鏡にかなってしまったようだ。
 オレは、丁重にお断りをしようとしたのだが、
「さすがに、高位貴族の方々も通われる学校など、ワタシにはもったいない程でございます。その名誉はどうぞ別の方に……」
「いやいや、その学校は貴族もいるが一般庶民も通っているんだ。学校にいる間は身分の隔てはない実に自由な学校なのさ」
 とは言ってもなあ。一歩外にでれば当然身分の格差はあるわけで、学校の敷地内で目を付けられて、学校出てから部下の騎士とかに囲まれて半殺しとか、充分ありえる。
 オレが返事を渋っていると領主が話を続けた。
「ではどうするのだ、冒険者を続けるのか」
 と言いながら領主は口ひげをいじる。出来ればそうしたいが……。
「戦うシェルパはダンジョン出禁だそうじゃないか」
 ニヤリと笑う領主。
 こいつ、計ったな。
 ダンジョン出禁になったオレに声をかけたんじゃなく、オレを王都に行かせたいから、ダンジョン出禁にしたんだ。
 あのザマスギルマスもグルだ。
 こんなんだったら、屋敷復元させるんじゃなかった。
 屋敷壊したまんまだったら、キレキャラでとても娘の護衛だなんて思わなかったはず。
 もう一度壊すか? だけどもう魔力が心もとない。と悩んでいたら、
「そうそう、娘の同級生候補はもう何人かいてね。キミの友達も一緒に行くことになったんだよ」
 ん、オレに友達なんていたかな。
「ディアと言ったかな。その娘も精霊魔法使いだそうじゃないか。魔法騎士学校に入ったら彼女の将来にとてもためになると思ってね、声をかけたんだ」
 こいつ、汚い!
「それでね、その娘の母親に話をしたら、大層喜んでね。母一人娘一人だから一緒に王都に行くことになったんだ」
 ……詰んだ。
 リベルタが王都に行くのなら、オレに否はない。まだ病み上がりだから、王都の慣れない生活で体調を悪くしてほしくない。
 それにディアの事だが……。
 精霊魔法が使えるので魔法騎士学校に入れば将来のためになるというのだが、はっきり言って未知数だ。なぜなら精霊魔法の使い手自体かなり数が少ない。
 冒険者の使い手はこの王国ではオレ以外にいなく、大陸全体でも五人いるかどうかと聞いた事がある。
 冒険者ではなく魔法騎士学校の教師なら使い手がいるのかな。いやそれはないな。だいたい精霊使い自体が少ないのだ。貴族の多い学校に精霊使いがいると思えない。だったら精霊魔法の教師を雇う必要も無いだろう。
 そうすると普通の魔法が使えないディアがその学校に行って、落ちこぼれる可能性がある。いじめられる事だってありえる。オレが守ってやらねば。
「そのお話、謹んでお受けいたします」
 こうして王都の魔法騎士学校に入学する事が決まった。
 一応クラス分けの試験は受ける必要があるようだが、基本は推薦入学だそうだ。

 その後、リベルタとディアに会いに行って話をしたら、オレの聞いた話とは真逆だった。ディアは友達もいない王都には行きたくないと最初は断ったが、ダンジョン出禁になったオレが行く事にしたと聞いて、それならと王都行きを決めたらしい。
 やはり領主は汚い男だ。物語の悪役がやりそうな事だ。
 改めて断ろうと提案したが、リベルタが領主の話を断るのは恐いというのでそのまま受けることにした。
 それにディアにはきちんとした教育を受けさせたいと言った。やはり母親だな。
 今回の領主の話に乗れば入学金授業料は無料だ。
 一応この街にも学校はあるが、この街の学校に行けばけっこう高い金がかかる。今のリベルタの経済力では難しいだろう。
 こうしてオレとリベルタ母娘は王都へ引越しする事になった。

 王都は物価が高いので、同じレベルで生活しても金がかかる。なのでそれから出発までの十日程、オレはリベルタ親子と一緒に金を稼ぐのに時間を割いた。
 一応、領主の指示で王都の学校に行くので、領主屋敷に住んでもいいと言われたらしいが、さすがにそれは恐れ多くて断ったので、安アパートを借りるしかないのだ。
 王都までの五日程の旅に使う物以外は全てマジックリングにしまうので引越しの荷造りはほとんどしなくてもいいから、薬草採集に集中した。
 街の外壁から外に出た所で、普段は魔物が出るので行かない場所に、薬草の群生地がある。リベルタ母娘だけなら行かないが、オレがボディーガードになるので、出発まではそこで薬草を荒稼ぎした。
 
 リベルタ母娘は領主が紹介してくれた、商隊の荷馬車に同乗させてもらう事になって、オレよりも二日先に王都へ向けて出発した。
 オレは領主娘の護衛なので領主娘と一緒に王都へ行くことになった。
 商隊は途中の街で取引をするので、道中六日かかるらしい。領主娘一行は普通の日程なので四日で行ける。到着は一緒なので俺にとっても否やはなかった。
「リベルタお姉ちゃん、ディア。また後で、王都で会おうね」
 リベルタの呼び方はとても困った。呼び捨ては変だしディアの母親だからオバサンでもいいかもしれないが、オレの気持ちがそれを拒否った。
 で、最近もう慣れたと言うか、諦めたというかお姉ちゃん呼びにしたら、リベルタには受けた。曰く「新鮮でいいわー」と言うことらしい。だがディアはなんだか恐い顔をしていた。解せぬ。
「王都で会おうね~」
 リベルタ母娘の出発を見送って、オレは領主娘の出発まで暇になった。
 そこでオレは、金のなる木というか塊の回収をする事にした。
 ダンジョン下層に残してきたキングスパイダーとクイーンスパイダーの死骸だ。
 オレは、こっそりとダンジョンに忍び込んで(ロックとナナイに出来たんだからオレにだって出来ると思ったら出来た)、同業の冒険者や魔物との戦闘を避けまくって下層まで降りて、キングスパイダーの死骸とクインスパイダーの死骸を回収した。
 中身の肉は多分、ジュニアたちに食べられたのだろうが、鋼鉄よりも堅い外骨格はそのままキレイに残っていた。
 コレを見たときは思わず笑いがこぼれて、引き付けを起こすまで笑いが止まらなかった。
 何の苦労も無しに、金の塊を手に入れたんだからな。
 これはかなり高い金額になるはずだ。この街のギルドでは換金が出来ないだろうけど、王都に行ったら換金するかな。

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