あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

出禁 第二十九話 JJ王都へ  その2

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 翌日、つまり領主の娘が王都に向けて出発する前日、オレは領主邸に呼ばれた。
 領主の娘、シャーロットとの顔合わせだそうだ。
 これから三年間(え、長っ? )、同級生として過ごしながら学園の中で彼女の身を守るのだ、顔合わせぐらいはするだろう。
 屋敷の応接室で待たされること大ロウソクが燃える時間の約半分ほど(大ロウソクが燃える時間二十四本分で丸一日)。
 領主に伴われて十二、三歳くらいの少女と、少し上くらいの少年が入って来た。
「やあ、JJくん待たせたね、元気だったかい」
 領主は優しそうな笑みを浮かべる。が、オレはもう騙されない。
 リベルタ母娘やオレを騙して王都の学校に入れさせるのだ。この後も何を企んでいるか。まあ、この場では言いなりになるしかないが。
「お陰様をもちまして、このとおり変わりなく過ごさせていただいております」
 おかげさまも何も無いが一応言っておく。
「キミは見た目はシャーロットよりも幼いのに、老成してるというか子供っぽく無いね」
「そ、そうでしょうか」
 しまった、領主相手と言うことできちんとした言葉遣いを意識しすぎたか。
「じゃ、じゃあいつもどおりの口調にするよ」
「ああ、それでいい」
 これも子供口調を意識してるのでいつもの口調じゃないが、仕方ない。もう慣れた。
「シャーロット、ロレンツォくん、この子がJJくんだ。君達の同級生で、シャーロットの護衛だ。JJくん、この娘が私の娘のシャーロット。そしてこちらが、ロレンツォ・ガレアくん。ガレア子爵の二男だ。三人は同じ学園に通う同級生になるんだよ。本当はもう一人いるけどもう王都に向かって出発してるから、明日同じ馬車で行くのは三人だな」
 最後のもう一人はディアの事を言ってるのだろう。シャーロットとロレンツォに説明していた。
「始めましてJJくん、シャーロットよ」
「始めまして、シャーロット様、JJとお呼びください」
 シャーロットが手の甲を差し出すので、手を取ってキスする真似事をする。
「ロレンツォ・ガレアだ、ロレンツォと呼んでくれたまえ。JJくん」
「始めまして、ロレンツォ様、JJと呼んでください」
 ロレンツォは右手を差し出してきたので、オレも右手を出して握手を交わす。
 互いに初対面の挨拶をしたのだが、高位貴族の子弟なのに気取った所が無く大変好感が持てる二人だった。
 シャーロットは金髪ツインテールで、年の頃は十二、三歳かな。ロレンツォはシャーロットよりちょっと上かな、JJよりは背がだいぶ高い。
 ちょっと年齢はバラバラだけど同級生になるのかな
 挨拶を終えたが、シャーロットは何か浮かない感じ。
「私たちはJJくんって呼んで、JJくんはシャーロット様って呼ぶのは変よね。同級生なんだもの」
「そうかい? ボクはどうでもいいけどね」
「では、ロレンツォ様はロレンツォ様とお呼びすると言うことで」
「私は嫌なの」
 男の子と女の子では感覚が違うらしい
「ではなんと呼びましょう」
 面倒臭いので聞いてみる。
「あなたが考えなさい」
 丸投げされた。面倒臭いのはお互い様みたいだ。
「えっと、シャーロットさん」「まだ他人行儀ね」
 他人ですけど。しかも高位貴族と平民。
「シャーロットちゃん」「なんかピンとこないわ」
「シャーロットお嬢様」「ダメダメダメッ、ウチのダメ執事と一緒じゃない」 
 執事はけっこう嫌われているようだな。
「お姫様」「ヤメテッ、王女様と同じ呼び方はダメ、絶対」
「シャーロット殿」「あなた何時代の人? 」
「シャーロット」「そうねえそれで――ッ!?」「それはダメだ私が許さん」
 呼び捨ては父親が反対した、せっかく娘がその気になったのに。
 もうネタ切れだ。
「もうちょっと新鮮な呼び方で~」「そう言えば。最近巷で流行ってる呼び方があるらしいぞ」「ああ、えっと、なんでしたっけ」
 シャーロットとロレンツォが腕を組んで考える。呼び方で流行ってる? そんなのあったか。
 もしかして。
「シャーロットお姉さま」「おしい、でもいい感じ」「何かちょっとだけ違う感じ」
「シャーロット姉上」「ハズレ、ちょっと遠くなった」「もっと砕けた感じで、なんだっけ」
 やっぱりこれか、
「えっと……、シャーロットお姉ちゃん」「「それだッ! 」」 
 なぜだ。なぜこの娘もお姉ちゃん呼びを好む。
「えっと、ボクら同級生になるんだから、お姉ちゃん呼びはちょっとどうかと」
「そ、そうだとも同級生なんだから、モット節度ある呼び方にした方が……」
「い~え、コレに決めたわ。いいJJくんコレからは私の事をシャーロットお姉ちゃんって呼ぶのよ。ロレンツォもシャーロットお姉ちゃんでいいのよ」
「僕の方が一コ年上だよ」
 結局、領主の願いもむなしく、シャーロットの呼び方はお姉ちゃんという事になった。
まあジェシカやリベルタをお姉ちゃん呼びするよりかは罪悪感は少ないか。

 そして翌朝、オレは領主娘の馬車に乗って王都へ向かい出発したのだが、出発後少しして一悶着あった。
 領主邸を出たときは、領主の娘シャーロットの馬車に同乗して出発した。
 シャーロットが学園で護衛してもらうので仲良くしたいと言い、冒険者としてダンジョンに潜った話を聞きたいと、カワイイ事を言うからオレも悪い気はぜず馬車に乗り込んでおしゃべりしながら王都へ向け出発したのだ。ちなみにロレンツォは自分のガレア家の馬車で寝ている。朝が弱いらしい。
 だが、街の外壁を出たところで馬車は止まり、オレは馬車から引きずり出された。
「出自もわからぬ身分で、たかだか護衛のクセに、シャーロット様の馬車に乗り込むなど不敬である」
 とシャーロット付きの執事に馬車を追い出されたのだ。
「閣下のお目こぼしで最初は馬車に乗せてやったが、それもここまでだ。優しい領主様はお嬢様と同乗をお許しになったが、オレはそんなに甘くない」
 という事だ。
 つまり領主の目が届かなくなったので俺を放り出すと。オマエの独断という事だな。
 シャーロットは執事に散々文句を言っていたが、「お嬢様のためです」と聞き入れられる事はなく、護衛なんだから歩いて行けと言われる。
 いやいや、それは無理だろ。
 今のオレは十歳の子供だ。馬車について行くには常に駆け足でいかなくちゃいけない。どう考えても無理だろ。
 シャーロットの取りなしで、なんとかオレは一台後ろの荷馬車の御者台へと乗る事になった。いや、乗せて頂ける事になった。
 今からでも、この仕事断ろうかな。ホント。
 後で知った事だが、シャーロットが嫌っている執事と言うのがまさにこの男だった。
 歳は二十台半ばでオールバックの典型的な執事髪。目つきが鋭い、心が冷たい、ナイフみたいに尖っては触るもみんな傷つけるような(だいぶ主観が入ってるが)男だった。
 さて、この先コイツがずっとシャーロットの側にいると、オレにも多大な迷惑がかかりそうだし、シャーロットそのものにも悪い影響がありそうだ。
 さてどうしたものか。
 オレは前方を走るシャーロットの乗った馬車を見ながら頭を悩ませた。

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