あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

文字の大きさ
93 / 103
第二章 王都編

第三十六話 魔法騎士学校入学試験 その6

しおりを挟む
「カルロ! 絶対勝て、負けは認めんぞ」
 観客席からオレの対戦相手の人宛に、声援というか、命令が下ったようだ。
 対戦相手の一八五番の少年はカルロという名前なのだろう。
 そのカルロが、命令をどう受け止めたのか。
 ため息をついて、苦笑いで顔を横に振ったことから推察する。
(やれやれ、我が主は心配性だな。私が負けるとでも思っているのだろうか)
 とでも思っているのかな。
 そのとき、審判の「試合開始」の声が会場に響いた。
 カルロはダッシュと共に、猛然と槍を突いてきた。
 ダンジョンで魔物相手にレベルを上げたオレにとってはまだ遅いが、それでも意外と鋭い。
「ハアッ! 」
 カルロは、初手に槍による突き入れてくる。
 オレはそれを剣で弾くと、カルロはすぐに槍を引き、さらに二度三度と、突きを繰り出してくる。
 槍と剣では長さが違うため、およそ二マイトル離れたこの位置では、オレの剣は届かない。もっと近寄らなくては。
 カルロが槍を突き入れて来たのを剣で大きく弾き、その瞬間槍が引かれるのと同時にオレは奴の懐に飛び込んで、剣で突きを入れる。
「フッ! 」
 槍を弾かれたカルロは、それに逆らわずにそのまま身体を半回転させ、槍の石突の方の柄でオレの剣を弾き、さらにその石突を伸ばして突いてくる。
 おお、そう来るか。
 その突きを剣で弾くと、カルロは槍の中央辺りを持ち、弾かれた反対側の槍の穂先で横殴りに打ってくる。
 それを弾くとまた反対の石突の方で打ってくる。
 槍術というよりも棒術に近いか。
 魔物相手の戦いとは全く違う戦い方で、ちょっと楽しい。
 槍は剣よりも長い分小回りが利かないので、懐に入られると不利になるが、カルロは槍の中央辺りを軸にして、穂先と石突の方と交互に振って対応してくる。
 回転が速くなって手数は倍になるので、攻撃数も多くなる。
 どうせこの試合は打撃の威力ではなく攻撃を当てた数、ポイント制なので穂先で当てようが、石突で当てようがあまり関係ないのだろう。
 オレはダンジョンで人の攻撃よりも早い魔物相手に戦ってきたので、カルロのスピードにはある程度対応できているが、人間相手に戦った経験はあまり多くないので、純粋な対人間相手に戦う事を目的として研究された槍術、棒術相手だとちょっと分が悪いかな。
 だったら、オレも戦い方を変えるか。
 純粋な剣術というのはやった事がないので、冒険者同士で喧嘩した時の経験を元に考えた体術、というか格闘技を混ぜてみる。
 カルロがオレの左上段から槍で打ち据えてくるのを左腕の盾で防ぎ、弾くのではなく、下方に受け流し気味に勢いを殺し、それを巻き取るように左脇に抱え、左手で槍の柄を掴む。
 喧嘩した時に、相手の右ストレートを左脇に挟んで封じたのの応用だ。
 これで槍は殺した。
 オレは無防備になったカルロの左側頭部へ剣を振り下ろす。
 カルロは両手で掴んでいた槍から、左腕を放し、オレの右手首を掴む。
 オレの剣も封じられた。
 お互いの武器は封じられて、一旦試合は弛緩する。
 喧嘩や、戦争などの殺し合いなら、ここで蹴りを見舞う所なのだが、剣術と槍術の試合なので、足は出さない。
「キミはJJくんだったね。中々やるね」
「うん。お兄ちゃんがさっき声援を受けたカルロって人? 」
「ああ。キミがその体格でここまで勝ち上がってきたのは賞賛に値するが、悪いがここは勝たせてもらう。我が雇い主の命令なのでね」
「だったら、全力で来てね、そんなんじゃ僕に勝てないよ」
「くっ、ほざけっ! 」
 カルロは右手に持った槍をそのまま右脇に抱えるように持ち直し。左手に取ったオレの手首を離すと、右脇に抱えた槍を体ごと回転させる。槍を掴んでいたオレは、体が軽いので、そのまま槍と共に回転させられ、二週したところで、オレの左手の握力が持たず遠心力で遠く吹っ飛ばされる。
 頭から落ちそうなところを、左腕を突いてトンボを切るように、後方へ宙返り捻りを加えて着地する。
 オレ達は再び距離が離れた、と思ったが、カルロはオレが身構える半瞬の隙を付いて猛然とダッシュしてオレに迫ると、今までの槍術とは打って変わって、槍を大振りに振り回し、オレの防具を壊す勢いで横殴りにぶん殴ってくる。
 大振りな分、隙が大きく懐に飛び込みやすくなったが、振り回された槍の衝撃が重く、体重の軽いオレは体制を崩して中々懐に飛び込めない。
 怒らせちゃったかな。
 だけどそのくらいじゃないと、オレが負けたときに怪しまれちゃうからね。
 横殴りに槍を振り回すカルロ、そしてその勢いに押され、次第に舞台の隅へと追い込まれていくオレ。
 疲れから足がもつれ、槍を身体で避けるのが辛くなり、盾と剣で弾くしかなく防戦一方になった、ように振舞う。
 そして槍を五回六回と受け止めてくるうちに、木の盾が限界になって盾の周囲を補強していた囲っていた金具か壊れ、十数回目には盾は半壊して壊れて半分以上が吹っ飛んでいった。
 そろそろいいかな。
 負けパターンはこうかな。

 今度、横殴りの槍が来たら左腕で受け止める。
 だが、盾は壊れているのでその衝撃は受け止めきれず、吹っ飛ばされる。……ように見せかけて、横っ飛びに勢いを殺しながら受けるので怪我はしない。
 そして、倒れた瞬間に剣を手放す。
 さすがに無手の者を槍で殴る事はないと思うので、最後首元か胸元あたりに槍を突きつけられて終わりだ。
 もし殴ってこようとしたら、土下座して降参しよう。

 などと思っていると、カルロは槍を大上段に振りかぶって、オレに向けて振り下ろした。
 あれ、横からじゃない。
 これは、壊れた盾では受けきれない。腕の骨が折れて、その後、頭に直撃して血を見るか下手をすると脳みそをぶちまける、そういう勢いだ。
 勢いを殺すためにワザと吹っ飛ぶことも出来ない。上から下へは逃げられないからね。
 横から来たら、自ら横に吹っ飛んで勢いを殺すのに……。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」 幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。 だが、彼らは勘違いしている。 俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。 パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。 俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。 つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。 「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」 その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。 一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。 これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。 そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

処理中です...