ペンギンなう❤ レベル100を目指して戦っていたが死んじゃったので、ペンギンに転生して友達作ってほのぼのする話

サカナタシト

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第四話 ペンギン meet garl その2

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「うちはそこの川をもう少し下った村にあって、父ちゃんと母ちゃんと・・・・・・」

 少女はなぜか自分の家族の話を始めた。
 なんだろ、隠しスキル【身の上話を聞く】が発動したのかな?

『そんな便利なものはないのじゃ』

 どこかからそんな声が聞こえた気がした。

「あと弟二人と、双子の妹と、爺ちゃんと婆ちゃんと、それから父ちゃんの弟とそのお嫁さんと、母ちゃんの妹とその子供と・・・・・・」

 まだ家族紹介が続いていた。・・・・・・ってか、家族多いな。

「うちは家族が多くて貧乏だから、あんまり贅沢は出来ないけど、この森や川にあるものは自由にとってもいいって村の決まりになってるから、いつもここで食料の足しになるものを採ってるんだ」

 貧乏子沢山って言うからな。子供だけじゃないみたいだけど・・・・・・。そうか、貧乏な家計を助ける為に森に食べ物を取りに来てるのか。けなげやの。
 オレも子供の頃には、よく小遣い稼ぎによく山に入って採取したものだ。
 ただそこは、レッドスネークやらアングリーボアやらが、やたらと出て大人でも危険な場所だった。まあ、そのお陰でレベルがどんどん上がったんだ。
 うろ覚えの記憶では、この森はそこまで危険ではなかったような気がする。だから少女一人でも森に入れるのかな。

「昔はねえ、この森もけっこう危険な魔獣が多かったんだって。だけど四、五年前にこの森の近くの山に住み着いた、謎の生き物が強い魔獣を全部やっつけて、その後その生き物も居なくなっちゃったんだって」

 少女が聞きもしないのに、まるで言葉を理解しているのを知ってるのように、森の事を話しかけてくる。
 でもそんな謎生物がいたのか、知らなかったな。
 オレはこの森の近くの川で修行中に死んだのだが、生前はこの森にも食料を採りによく来たものだ。だけどそんな、謎生物いたかな?
 魔獣の類は片っ端からやっつけて食ったけど、大して強い魔獣はいなかったんじゃないかな。今日出会った魔獣も二本角ウサギぐらいだし。

「あたしはね、実はその謎の生き物って、神様の使いかなんかで、あたし達のためにこの森の危険な魔獣をやっつけてくれたんじゃないかなって思ってるんだ」

 ふ~ん。神様の使いねえ。聖獣ってやつか? そんなのいたのか。戦ってみたかったな。
 駄女神’sに言えば戦えるかな、と思っていると、

『妾はそんな聖獣は飼ってないでおじゃる』
『人間ってときどき、自分達に都合のいいように勘違いするのよね。まあいいけどね』

 駄女神’sの呟きが聞こえた気がした。

「あっ」

 突然、少女はそういってオレの手を離して小走りに少し道を離れたと場所に駆け寄る。
 そこにあったのは草だった。だがあれは只の雑草に見えるが解熱作用のある薬草だ。まあ価値は低いが街で売れば小遣いぐらいにはなる。

「知ってる? この草は煎じて飲むと熱が下がるんだよ」

 少女は解熱作用のある草を手にして説明する。「この間母ちゃんと婆ちゃんがここに、木の実や薪を取りに来て、ヘビに噛まれたらしいんだ。それから熱が下がらなくなっちゃって・・・・・・」
 そうか母ちゃんと婆ちゃんがヘビに噛まれて・・・・・・。
 だったら、解熱作用のある薬草だけじゃなくって、毒消し作用がある薬草もあった方が良いんじゃないのか。

「ガーガーグワー(ついて来い)」
「え、何どうしたの? 」

 オレは生前、この森にこもって修行したことがあるので、森の何処に薬草があるかも知っていた。たしかヘビなどの毒に効くのは・・・・・・。
 オレは道なき道を進んで行く。時々立ち止まって振り返り少女がついてきていることを確認する。いぶかしげな表情ながら少女はちゃんとついてくる。
 少し歩くと、森の中でも少し開けた場所があり、そこに毒消しの薬草と解熱の薬草の群生地があった。

「あ、すごい」

 少女は群生している薬草に飛びつくと、急いで摘んでいく。解熱の薬草だけを。
 毒消し草には目もくれない少年に、業を煮やしたオレは毒消し草を口ばしでつまんで押し付ける。

「あ~、ダメダメ、それは雑草だから混ぜちゃ売り物にならないでしょ」

 どうやら少女は、解熱の薬草は知ってても、毒消し草は知らないらしい。
 仕方ない。オレは毒消し草をつまむと空間魔法を施された自分の巾着袋へ押し込んだ。

「大分取ったね、もう袋にも入らないから今日は帰ろうかな」

 しばらく薬草を摘んでいた少女が腰を上げる。見ると手にしていた麻袋にも、足元に置いてあるもう一つの袋にも、溢れるほどの薬草(ただし解熱用の薬草のみ)が詰め込まれていた。
 少女によると、最近引っ越してきた薬師に薬草を売って、代わりに薬に加工された解熱薬を買うらしい。
 ホントはオレの持つ解毒作用のある薬草も病人に使ってくれればいいのだが・・・・・・。
 そんなことを考えていると、

「いっけない、もうこんな時間だ。早く帰らないと父ちゃんたちが帰ってきちゃう」

 少女がふと空を見上げてびっくりしたような声を上げる。西の空が夕焼けに輝き、カラスがカーカーないている。
 少し開けた見晴らしの良い草原だったので、ある程度村の方向もわかっていたのだろう。少女は一目散に走り出してすぐに見えなくなってしまった。
 あれ、オレの昼飯は?
 一緒に帰ろうって言ったのは?
 ヒュウ、と夕暮れの冷たい風が吹きすぎた。草原にも、オレの心にも。
 第一友人と思っていた少女は、薬草と共に去っていった。
 だから近頃の若い奴はダメなんだ。自分の事しか考えていない。せっかくオレが解毒の薬草を探してやったのにありがとうの一言も無く、それに人の話を聞かないで自分で勝手な判断して、間違った薬草だけ持っていって・・・・・・。
 いい加減プリプリ怒ったが、ふと我に返る。
 オレはなんで怒ってるんだ。
 友達が出来た、と期待してたのか? 獣と人間で友達になれるわけがない。コミュ症で人間嫌いのオレに友達が出来る訳が無い。
 駄女神’sに乗せられて友達を作ろうと思ったのが間違いだったのだ。かってに期待した自分を殴りたくなった。
 ・・・・・・手が届かないから止めたけど。
 仕方ない、森に戻ってあの酸っぱい木苺みたいな実でも探そうかな。そして一人寂しく死んでいくんだ、レベル0で。
 そう思って森に向かってトボトボと歩き出す。と、少女がいた場所に麻袋が落ちていたのを見つけた。
 そういえば袋は二つあって、一つは少女の足元に置いていたっけ。

「・・・・・・」

 この袋をどうすればよいか、人間嫌いでコミュ症のオレにはなんとも結論が出せず、ただボウッと立ち尽くすだけだった。
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