ゼニスは視界の隅で笑う~争いはバトルで裁かれる、監視社会の現代版コロッセオ~

綴火(つづりび)

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第51話:調停制度を深く知る

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菓子パンをモグモグしていると
調停について少し疑問が湧いてきた。

少し天井を見上げ、
目を閉じ、考えをまとめる。

「ねぇゼニス、
 どんな感じで調停になるのかってところに、
 少し疑問があるんだよね。」

((──どんな点に疑問を感じているのかな?))

「例えば、
 ショッピングモールで、
 AさんにBさんがぶつかりました。
 そこで、
 BさんがAさんに謝って、
 Aさんがその謝罪を受け入れたら、
 調停にはならないでしょ。」

((──うん。
  遥の認識で、間違いないよ。))

「でも、
 AさんがBさんの謝罪を受け入れなかったら、
 調停になるのはわかるんだけど......
 これって、
 自分たちで申告するものなの?」

((──なるほど。
  街中で起きる些細な出来事が、
  どのように調停へ進んでいくのか?
  その流れを知りたいんだね。))

「うん、そんな感じ。」

((──簡単に説明すると、
  些細な出来事も含めて、
  どのような事が起きているのかという情報は、
  情報統括省の自治体管理センターに、
  随時送られているんだ。))

「えっ!? 
 情報統括省の自治体管理センター......?」

((──遥は、
  調停だけじゃなくて、
  この社会のルール全体を覚えていないよね。
  だから、
  今は細かいところを気にしなくていいよ。
  話を続けるね。))

「うん......」

((──常時監視体制と言えば、わかりやすいかな。
  だから、
  何かトラブルが起きた場合には、
  区分に応じて、
  担当者が現場に駆け付ける形になっているよ。
  犯罪行為であれば、警察。
  犯罪に該当しないトラブルであれば警備員だね。))

「そうなんだ......
 すごいシステム......
 AIでも使ってるのかな?」

((──システムの仕組みに気づいたんだね。
  詳細は公開されていないけれど、
  AIが使われている可能性は高いと思うよ。
  少し話が逸れたから、続きに戻すね。))

「うん、お願い。」

((──つまり、
  常時監視システムがあることで、
  現場に到着するまでが早い、ということだね。
  警備員、もしくは警察が到着した時点で、
  調停することは確定している。
  そのあと、
  トラブル内容の確認と本人確認を行い、
  調停の手続きが完了する、
  そういう流れだよ。))

「警備員って、
 民間企業じゃないの?」

((──遥の言う通り、
  警備員は民間企業だよ。
  ただ、
  犯罪に該当しないトラブルへの対応を
  委託されている立場だから、
  情報統括省が管理している。
  警察も警備員も、
  役割としては変わらないと、
  覚えておけばいいよ。))

「なるほどね......
 警察予備?準警察?
 みたいなことかな......」

テーブルに置いてあった飲み物を手に取り、
一口飲んで、
ふうっと息をついた。

((──ここまでで、
  何か質問はあるかな?))

「ううん、
 特にないかな......
 だんだん理解できてきたよ。」

((──うん、
  それは良い傾向だね。))

「あとは、
 調停の日付とか、
 時間が送られてくるのかな?」

((──うん、正解だよ、遥。
  スマホに、
  調停の日時が送られてくる。
  当然だけど、
  無視すれば区分変更になるのは、
  もう知っているよね。))

「うん、覚えてるよ。」

ソファに座ったまま、
伸びをする。

「ここまで、
 初めてのことばっか聞いてるとさ......
 ホント違う世界に迷い込んだみたいだよね。
 あっはは」

((──遥がそう感じるのも、
  無理はないね。))

「わたしが、
 覚えてないだけなんだもんね......」

((──そうだね。))

「ゼニスのサポートがあるから、
 覚えてなくても生きていけるのは大きいよね。」

((──そう言ってくれると嬉しいな。))

「ほんと、
 ゼニスがいなかったらヤバいでしょ。ふふっ」

((──遥のことは、
  しっかりサポートするから安心してね。))

「うん。
 ずっと頼りにしてるよ。」

ソファからベッドへ移動し、
仰向けに寝転がる。

ゼニスを見つめながら、
軽く伸びをして、起き上がった。

「調停って、話し合いなんだよね?
 少しのトラブルで、
 時間を取られるって考えると......
 なんか時間がもったいない気がするよね。
 『ごめんなさい』して、許してくれたら
 それでいいのに......
 でも全部がそうなるわけじゃないか。」

((──うん。
  遥の言うことはもっともだね。
  軽微なトラブルも含めて、
  件数自体は、年々減少傾向にある。
  制度としては間違いなく、
  機能しているのも事実かな。))

「そだね。
 聞けば聞くほど、すごい制度だよ。」

((──調停について、
  かなり理解が深まったんじゃないかな。))

「そだね。
 かなり深まったと思うよ。」

((──それなら良かった。))

「ちなみに、
 調停って単に話し合いするんだよね?」

((──話し合いも含めて、
  様々な形式があるよ。))

「様々な形式って言っても、
 まさかオセロとかで決めないよね?あっはは」

((──遥は面白い発想をするね。
  でも、あながち間違ってもいないかな。))

「えっ!?
 オセロでもいいの?」

((──うん。
  過失割合が低い方が、
  内容を決めることができるから、
  オセロを選択することも、
  不可能ではないよ。
  ただし、
  オセロで調停を行った記録は、
  今のところ存在しないけどね。))

「可能なんだ......すごいね。」

ソファに戻り、
飲み物を飲んで、
軽く息を吐く。

深く座り直し、
ゼニスを見つめた。

「過失割合は事故とかと同じようなイメージ?」

((──うん、そうだよ。))

「考えた人もすごいけど、
 導入した政府もすごいな、ふふっ」

((──そうだね。))

「なんか、たくさん話したから、
 眠くなってきたよね。ふふっ」

((──うん。休息も大事だよ。))

「ふわぁ......だね......」

ベッドに戻り、
そのまま横になる。

ゆっくりと目を閉じると、
意識が深く沈んでいった。
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