ゼニスは視界の隅で笑う

――気づいたとき、世界は“ほんの少しだけ”狂っていた。

AI開発会社で働く 七瀬遥(27) は、
研究室の回線ショート事故に巻き込まれ、意識を失った。

次に目を開けたとき、
彼女は“ほぼ現代と同じ”なのに、
どこか歪んだ別世界に立っていた。

争いは「バトル」で裁かれ、
国民全員が出生時に識別チップを埋め込まれ、
都市全体は徹底した監視網に覆われている。

そして遥の脳内には、事故の際に融合したAI――
《ZENITH(ゼニス)》 の声が静かに響く。

『遥、落ち着いてください。
あなたはまだ“生きている”。……少なくとも脳は正常です』

視界の隅に、小さく浮かぶルービックキューブ。
それは、かつて彼女が行き詰まったときに
無意識に手にしていた“癖”。

奇妙な世界、不条理なルール。
でもゼニスとなら歩ける気がした。

この世界は現実なのか、それとも――。
やがて張り巡らされた伏線が収束するとき、
遥は“本当の答え”に辿り着く。

SF×パラレル現代×バディドラマ。
静かに心を揺らし、最後に優しく泣ける物語。
24h.ポイント 207pt
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