ゼニスは視界の隅で笑う~争いはバトルで裁かれる、監視社会の現代版コロッセオ~

綴火(つづりび)

文字の大きさ
59 / 83

第59話:区分変更確定

しおりを挟む
「思ったんだけど、
 ゼニスって調停行かないことは否定しなかったよね。」

((──うん。遥の意思を尊重した上で、
  サポートすることが役割だから。
  遥の意思決定を否定するつもりはないんだ。))

「さすがにヤバそうなら止めるんでしょ?ふふっ」

((──そうだね。状況を精査し分析して、
  遥の生存確率が一定の数値を下回れば、
  抑止する可能性はあるかな。))

「だよね~......
 ってことは、自治体の調停が
 そこまで危険ではないってことじゃない?
 けっこう名推理だったり。どう?」

((──自治体の調停は、
  公営ギャンブルとしての側面がある一方で、
  あくまでも法の範囲内で暴力が行使される。
  遥の想像通り、
  必要以上に痛めつけるといった要素、
  命を奪うといった行為はないといってもいいだろうね。))

「ま~そうだよね。
 わたしの推理もあながち間違ってないね。」

((──うん。そうだね。
  ただし、不可抗力によって事故は起きる可能性はある。
  調停のデータ上には、命が奪われてしまったケースも確認できるよ。))

「なるほど、必要以上に暴力は行使されないけど、
 最悪のケースはあり得るってことだね。」

((──うん。その通り。
  あくまでも、
  合法的な事故として処理されるだけだからね。))

ソファからベッドに移動し、
横になりゼニスを見つめる。

「よくよく考えたら変な世界だよね......」

((──うん。そうかもね。))

「ゼニスは変だって思うことないでしょ?」

((──うん。))

「だよね......」

((──うん。))

「とりあえず、調停すっぽかして通知待ちかな。」

((──うん。))

瞼が徐々に重くなり、
意識が布団へと吸い込まれるように
眠りへと誘われた。

──いつも通り
カーテンから差し込む光が顔に当たり、
意識が少しずつ目覚めていく。

「いつの間にか寝落ちしてたね......
 おはよ、ゼニス。」

((──おはよう、遥。))

「何時だろ......もう終わったかな調停?」

((──今の時刻が、
  調停の開始時刻だから、
  不参加ということは確定したよ。))

「うん、OK。」

ベットから降り、
シャワーを浴びにバスルームへ。

サッと温かいシャワーで眠気を飛ばし
タオルで髪の毛を拭きながらソファに座る。

((──遥、調停センターから通知来てるよ。))

「あっ、えっ、早いね通知来るの......」

((──うん。))

「それで、なんだって?」

((──通知。ひより北地区調停センター事務局。
   本日11時00分開廷の指定調停に対し、
  被申立人の正当な理由なき不出頭を確認。 
  規定に基づき、当該案件の取り扱い区分を即刻変更する。
   今後の手続きについては、
  上位機関であるひより市総合調停センターへ移管される。 
  追って発出される当該センターからの召喚指示に従うこと。以上。
  通知内容は、こんな感じだよ。))

「ちゃんとした制度だけに、
 通知の内容もガチガチなんだね、ふふっ」

((──うん。そうだね。))

「まぁ、なんにせよ展開が楽しみだね~。」

((──うん。))

「1週間くらいは余裕あるんだよね?」

((──うん。
  ただし、調停センターの状況によって、
  早く開催される場合もあるよ。))

「あっ......そうなんだ。」

((──うん。))

「いつでもいいけどね~、あっはは」

((──......))

「ケガしないように気をつけないとだね。」

ゼニスの淡い光が、
いつもよりが少しだけ弱くなった。

心配しているような、呆れているような
なんとも言えない感じ。

「さすがに、明日とかはないでしょ?」

((──うん。可能性としては低いよ。))

「そりゃそうか......」

ソファから腰を上げ、
冷蔵庫から缶コーヒーを取り出す。

プルタブを引き上げ、
缶に口をつけて喉を鳴らした。

((──遥、通知が来たよ。))

「自治体の調停センターから?」

((──うん。))

「思ったより早いな......
 通知の内容はなんだって?」

((──通知。ひより市調停センター事務局。 
  本件、ひより北地区調停センターにおける被申立人の不出頭、
  および指定調停の不履行を確認。
   区分変更に伴い、本案件を市直轄の強制的調停へと移行する。
  被申立人・七瀬遥は、本通知受領より24時間以内に、
  市調停センター第1特殊調停準備室へ出頭せよ。
   正当な理由なき遅延、または再度不参加を試みた場合、
  市執行部による身柄拘束の対象とする。以上。 
  といった内容の通知だよ。))

「24時間以内なの?
 思ったより急なんだね~......」

((──うん。かなり急な出頭命令だね。))

「こんなケースもあるってことか......」

((──うん。稀なケースかな。))

「まっ、遅かれ早かれ行かなきゃだし、
 これはこれで、いいんじゃないかな~。あはは」

((──うん。そうだね。))

「じゃ~、準備して行こうか!」

((──うん。))

可能な限り動きやすい服装を選び、
バッグに財布を入れ肩から下げる。

スニーカーを履き、
玄関のカギを締め外へ。

不安はなく強い高揚感、
不思議と恐れは微塵も感じなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...