100回目の口付けを

ぽんちゃん

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その後

34 騎士団の仲間と仲直り

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 それからユーリの所属する騎士団にも足を運び、休憩中の団員全員の前で、ユーリが今までの非礼を謝罪した。

 そして、僕もユーリの隣でぺこりと頭を下げる。

 顔を上げると、何故か謝罪しているユーリではなく、みんなは僕の方を見ていた。

 学園に通っていたとは言え、基本的に引きこもりの僕は、あまり周囲に顔を知られていないから、お前は誰だ? と思われているのだろう。

 「あっ、僕、ヴィヴィアン・ゼロ・アルメリアです……。ユーリが心閉ざした根本の原因は、僕にあります。申し訳ありませんでした。本当のユーリは、すごく優しくて思いやりのある人なので、誤解しないでもらえたら……嬉しいです」
 
 大勢の団員がいるはずなのに、シーンと静まり返る中で、声がどんどん尻すぼみになっていく。

 そんな僕の腰に手を回して、体を引き寄せたユーリは、蕩けるような笑みを浮かべて「ありがとう」と囁いた。

 至近距離で大好きな王子様に褒められた僕は、人前なのにドキッとしてしまい、どんどん顔が熱くなっていく。

 「っ……まじかよ」
 「嘘だろ、」
 
 いきなり団員達がざわめき始めて、ユーリはにっこりと笑ってみんなに笑顔を向ける。

 「ヴィーは俺の恋人だから。よろしくな?」

 なぜか騒いでいた団員達が顔色を悪くして、再度シーンと静まり返った。

 「そんでもって婚約者だから。ちなみに十年前から両思い」
 
 また言ってる。さっきもユメルさんに話したことを繰り返すユーリは、僕を辱めているのだろうか?

 「ユ、ユーリ、恥ずかしいから……やめて」
 「事実だろ? 念のために言っておかないと」
 「そそそ、そうかもしれない、けど……」

 平然とした態度のユーリを恨めしく見上げると、ぐっと眉間に皺が寄る。

 僕が恥ずかしがって二人の関係を隠すようなことをしたからか、ユーリの機嫌をそこねたみたいだ。

 「ご、ごめんね、怒った? 僕、ユーリが大好きだよ! ユーリと恋人になれて嬉しいよっ!」

 僕もユーリみたいにみんなの前で堂々と宣言してにっこり笑うと、なぜかユーリは軽く舌打ちをして、仲間達に碌に挨拶をせずに、ズカズカと歩き始める。

 「ユーリ?! どこ行くの?!」
 「ヴィーの部屋。やっぱりヴィーを連れて行くべきじゃなかった」
 「えっ……」

 それって、僕を恋人だとみんなに宣言したことを後悔してるってこと?

 ユーリに腰を抱かれてただ足を動かしていた僕は、ピタリと足が動かなくなってしまう。

 そんな僕を見てハッとしたユーリは、罰の悪そうな顔をして綺麗な金髪を掻き毟る。

 「ヴィー、悪い。勘違いしないで? あいつらがヴィーに見惚れてたから腹が立って……」
 「……んん?」
 「ヴィーは可愛いから、特に俺らみたいなむさ苦しい連中の間では、すごくモテるんだよ」

 それは初耳だ。
 僕は断然、筋肉質で逞しい人がタイプだけど、僕みたいなひょろい人が好きって人もいるんだな。

 僕の存在がユーリにとって、恥ずかしいとかそういう理由じゃなくて、ほっとした。

 昔のユーリはいつも余裕があって大人だなって思っていたけど、今はしゅんと捨てられた子犬のような顔をしているのがすごく可愛くて、たまらずぎゅっと抱きついた。

 「僕、ユーリにさえ好かれてたら、それで良い」
 「っ…………やばい、まじで可愛すぎて死ぬ」

 僕の背中に腕を回したユーリは、ぎゅうぎゅうと強く抱きしめる。

 「ふふ、可愛いと死ぬの? 変なのっ。……それなら、ユーリはかっこいいのに可愛いから、きっと僕の方が先に死んじゃうね?」
 「~~っ、」

 元気を出してもらいたくて、微笑みながらこてりと首を傾げると、絞め殺されるんじゃないかと思うほど強めに抱きしめられた。

 そしてすぐさま僕を横抱きにしたユーリは、全速力で走り出す。

 ……廊下は走らない方が良いと思う。

 だってノロマな僕ならまだしも、ユーリはチーターみたいに速いんだ。

 そして自室に戻って寝台の上にぽすりと優しく下ろしてくれたユーリは、そのまま僕を押し倒す。

 「ヴィーに触れたい」
 「っ、ユーリ? ぁっ、ん」

 いつにも増して真剣な表情のユーリは、優しく僕の唇を啄む。

 それから顔中にキスを落とされて、擽ったくてぎゅっと目を瞑った。

 耳朶を喰んで「好きだよ」と囁かれた僕は、ゾクゾクとして甘ったるい声を出してしまう。

 恥ずかしすぎて慌てて両手で口を押さえると、その手を優しく取られて指を絡められる。

 シーツに縫い付けられるように押さえられて「もっと聞かせて」と艶っぽい声が耳を擽る。

 そのまま耳をぺろりと舐められて、堪えきれずに喘ぐような声が出てしまう。

 「ひぁ……ユーリっ、んんっ、や、やぁ……っ」

 触れられていないのに下半身が熱くなってきて、僕の陰茎はガチガチに硬くなってしまう。

 恥ずかしすぎて、そのことがバレないようにもじもじと太腿を擦らせていると、ユーリの腹部に当たってしまうのだった。

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